第九業高級旅館、交差する運命

ガイアキャッシング、GPS/GNSSを利用した、地球規模で行なわれている宝探しゲームである。語原はGaia、「地球」「大地」を意味する "" と、動詞としての「隠す」「畜える」を意味する "cache" を元にした造語である、日本においては馴染みが薄い方だ。


もっとも、これはいつも通り、フィクション作品における実在の商品などの言い換え表現というやつである、問題はここからだ。


ルール、1。


設置すべきキャッシュを作る、容器は防水性のタッパーウェアが一般的である。容器の中には、ログブック(キャッシュを発見した時に記録するためのメモ帳)と、『宝物』を入れておく。宝物といっても特に高価なものを用意する必要はなく、簡単な、そして特色のある小物やおもちゃ、コインなどでも良い。ただし、キャッシュの難易度に応じた価値のあるものが望ましいとされている。


ルール、2


キャッシュを隠しに行く、隠し場所は一般に見つかり難く、不可抗力で失われないよう留意する必要がある。また、継続的に維持管理できる場所に置かなければならないほか、同意なく私有地に置くことやテロの標的となりやすい場所など、設置が禁じられている場所がガイドラインで定められている。


ルール、同意なく私有地に置くことやテロの標的となりやすい場所など、設置が禁じられている場所がガイドラインで定められている、この部分、これが裏の世界ダークサイドでは違う。


裏ルール、3、私有地に置くことやテロの標的となりやすい場所など、設置が禁じられている場所も特定の人間は置いても良い。


ここから言えるのは悪い金持ちの道楽によって、キャッシュを求めるゲームがある。


今も昔も、デスゲームというのは様々あるが、これほど悪趣味なものはない。


それは


昔より日本各地では他の地方から来た人間を稀人まれびと異人いじんと呼んで、丁重ていちょうにもてなした。


「いらっしゃいませ」


そう今日も女将は繰り返した、今日は一人旅よりもの人間がかなり来ている。


二人や四人、恋人や家族連れ、団体客も様々来るがこうした偶然は必然に見える。


外国人三人、筋骨隆々きんにくりゅうりゅうとした三人組、格闘技団体かと思うが、身にまとモノオーラが違った。


あれはそう、軍人の雰囲気オーラがしていた。


ギターケースを持ち歩いていた男もいた、あれの中身はおそらく、狙撃銃だろう。


他にも苛烈かれつさをかもし出す女性、部屋をよからぬ理由で汚していくタイプ、被虐体質マゾヒズム加虐体質サディストの組み合わせ、彼女の持ち物の中には鞭があるだろう。


最後の眼帯をした超高身長のアメリカの都市伝説足長おじさんスレンダーマンのような男がいる。


表向きの顧客名簿では一般客である、それの日本人版なら恐らく日本の軍隊だろう、だが、それらは異質いしつ異端いたんに見えた。


どこまでも濁った両眼に深いくまをした青年、服装は赤と黒のチェックがらの下に萌えアニメの美少女キャラクターを描かれたシャツを着ていて、下はダメージジーンズ。


その二人目は高級ブランドのスーツ姿、眼鏡をしているが眼光は鋭い、まるでインテリヤクザのようだが、その後ろの三人目のジャージ姿の巨漢の方が一番、気迫があった。


その二人よりもカタギじゃないように見える三人組もいた。純粋培養された健康不良少年達、麻薬はせずナチョラルハイで生きる馬鹿達、女将も自分も昔はそんな時期があったと一旦回想する、ナチョラルハイな自分を。


割愛。


長髪は肩まで垂れ流して、ぞんざいながら野性味を感じさせて文明開化の音が響くざんぎり頭、それをオールバックにしていて妖怪がしゃどくろが描かれた赤いスカジャンをして下は学生服の黒いズボン、靴は見逃した。


それにやたら服を着込んだ女性、ここでは一応許可しているが刺青が入ってるだろう。


その三人目の男は銀髪アッシュグレーに片方の目が緑色オッドアイだった、妖精ティンカー・ベルのような色合いだった。


それとは対照的たいしょうてきに明るい三人組がいた。


髪色は茶髪、茶髪、そして金髪、活発的であり、渋谷にいそうなギャルも呼ばれる種類、それらの顔は全てテレビでお馴染みの顔だ。


服装は若者の間で流行しているようだが、あの大きな旅行鞄には衣装もあるのだろう。


彼女達は俗にアイドルと呼ばれている。


表社会の人間だ、決していの一番にこの旅館に朝早くから来たスパイや殺し屋のモテモテカップルを察せられる裏社会三人組とも対極に位置するだろう、彼等達と彼女達が闘うことになったら大変なのも察せられた。


他にも007のようなのと言えばイギリスから来た三人の老いた英国紳士達だった。


英国紳士という概念が英国紳士なファッションそのものに反映された三人からは血と死の匂いが今日来た中で一番匂ってきてしまう。


最後のは顧客名簿の名前からして異様いようだった、光無邪鬼こうなしじゃき光無邪姫こうなしじゃき、そして、黒人の男、キング・BBと書かれた。


光無邪鬼こうなしじゃきと黒人の男、キング・BBは顔が何故なぜ似通にかよっていた。


それらがここに集っていた、従業員達は思う、障らぬ神に祟りなし、お客様は神様だ、


露天風呂の男湯で男達の大半が集っていた。


どこまでも濁った両眼に深いくまをした青年、服装は赤と黒のチェックがらの下に萌えアニメのキャラクターを描かれたシャツを着ていて、下はダメージジーンズをした男は他の人達と同じように裸になって旅館の露天風呂に入っていた。


正確にはまず入る前に体を洗っていた。


彼の脳内は危険信号アラートが鳴り響いていた、それは旅館内部は伏魔殿ふくまでんだからだ。


危険だやべー危険だやべー危険だやべー危険だやべー危険だやべー危険だやべー危険だやべー危険だやべー危険だやべー危険だやべー危険だやべー危険だやべー危険だやべー危険だやべー危険だやべー、と。


頭をシャンプーでわしゃわしゃさせている、風呂に入っても同僚の男は眼鏡をつけたままだ、それはもはや気にする暇などない。


右隣にいる少年、左隣にいる青年。


どちらも


片方の少年、その子供が連れてきた二人も一般客としてそれぞれ別々に宿泊した三人組、それらからは高位の霊能力者や陰陽師のような雰囲気オーラがあり、その二人のうち一人はそれと同様でありもう一人は真逆だった。


青年は念入りに長髪を洗っている、それだけでシャンプーを切らしてしまいそうだ。


少年は股間を入念に洗っているようだ。


まずお祓いやれや!!!と心の中で怒鳴る。


「はぁ~~~」


わしゃわしゃしながらため息が漏れていた。


「じっちゃん!」


一般客としてそれぞれ別々に宿泊した三人組、それらからは高位の霊能力者や陰陽師のような雰囲気オーラがあり、その二人のうち一人はそれと同様なのも当然。


祖父と孫、そうした関係性にある。


風呂の中で二人は話しているようだ。


「なんだ」


風呂にも関わらず気が抜けてない表情、その仏頂面は永久凍土より地球温暖化の影響を受けないと思えるほど、強く固まっていた。


「バックトゥーザフューチャー見た?」


「タイムパトロールが出ない話だな」


「………いやそうだけど」


「過去や未来を変える事はいけない事だ、まぁもっとも、例外的なのはあるだろうな」


「ドッペルゲンガーとか過去の自分や未来の自分に出会っても何もないらしいね」


「そのようだ、真名しんめいを多く持っているか改名を未来でしていれば同一個体とはみなされないことはあるらしいな」


その横では英国紳士達にお湯に浮かせたお盆に置かれたお酒を振る舞おうとした老人がいたが、英国紳士達はそれを拒んでいた。


「日本酒は口に合わないのでな」


「それはそうですなぁ」


「私はそもそもお酒が嫌いです」


「あぁ、自分もです」


「………ふーむ、まぁ郷に入って郷に従えというのは傲慢極まる思想ですからなぁ」


「「「傲慢極まる!?」」」」


英国紳士達は三人同時に驚く。


「どうしました?」


「いや………なんでもないです」


老いた英国紳士の一人が言う。


「フフッ、プロテスタントの人ですか」


そう訪ねればもう一人の老いた英国紳士は


「………まぁそうですな」


と返した。


「そうかい?赤い帽子レッドキャップという妖精がそこら中にいるんだが?」


彼から見る世界は


銀髪に片方の目が緑色オッドアイ妖精ティンカー・ベルのような色合い、

それは生粋の魔眼、妖精眼だった。


「………そうなるな」


三人目の老いた英国紳士が答えた。


「戦争の基本的な勝利方法は兵力差、それを覆すのは特権的な暴力を保有するやつさ」


「………」


「今はやらねぇよ、そんな事したら思い出話を女王の前で話せなくなるだろう?」


「日本人の若僧も英国の若僧と似てるな」


「それはどうも」


「俺と疑似したり酷似するヤツはいねぇよ」


オールバックの長髪を洗った後、またオールバックにしている男が銀髪緑目の男の横でぼそりと言う、それは的を得た発言だった。


他にも老いた老人と少年はいたが、誰とも話さず、ゆっくり、自分の精神を整えていた。


露天風呂、女湯ではヒジャブを脱いだセーラー服の巨乳姿とジェニファー・ロールスロイスの巨乳姿に嫉妬の嵐が発生していた。


やはり、刺青をしていた女性が特に根強い胸の大きさ格差社会を憂いてしまう、屈強な肉体をした女性はどうでも良いらしかった。


光無邪姫こうなしじゃきの肉体も巨乳であったがむしろ安産型そのものの大きく丸みを帯びたお尻をしていたが、彼女はそれ以上にこの旅館で一番魔力マナを張り巡らせていた。そんなのに余裕がなくなり、お酒を飲めなくなる者達も当然いた。


それを気にしないのがアイドル三人組、彼女達も他の女性達と同じように入浴していた。


「でも、やっぱり瑞葉みずはちゃんが一番この中で巨乳だね」


「貴女はそうでもないけど」


「じゃーあー、あぁたしはーどーう?」


「「………」」


「なーんでー、黙るんですかー?あぁたしの胸も結構大きくてーキレイでしょー?」


「だって………」


瑞葉みずはが黙る、このろてんぶろにいる女性全員がそれを考えないようにしていた。


彼女の片胸はそもそも存在していなくて、もう片方の胸も傷だらけであった。父親の虐待によって悲惨な目に遭ってきたからだ。


彼女のセクシーショットや水着姿が一人だけ無いのはそうした理由からであるが、こと、テレビ局もそうした事情は組んでくれる。


彼女は吸血鬼であり日光に肌を晒すと焼き焦げてしまって一度大変になったというを盛り込んでいた、瑞葉みずはは王道アイドル、最後のおっとり刀でその清楚系な感じオーラとは違い、一皮剥けば見る人の心をズタズタにするスキャンダルクイーン、吉備吉子きびよしこ、もはやスキャンダルそのものが彼女の芸能人人生の寿命を伸ばす原動力ハイオクであった。


その空間おんなゆを外から覗こうとしていた巨漢は女将が雇ったくの一に追われていた。


「畜生!!!」


「はやっ!ラグビー選手かよ!」


という叫びがどこかでした。


「………」


眼鏡をした男がそれに呆れる事も無く、男湯で男湯の一人の男に注目していた、その眼鏡は特殊なカメラが内蔵されており幻術や因果律操作がされたことも明確に記録する事が出来る。


五回死んでるよな?


妖精眼をした銀髪の男から一回、狙撃されて一回、軍隊仕込みの長い足に後頭部を蹴りまくられたのが一回。赤い帽子レッドキャップ達のが一回、そしてオールバックの髪を洗った後、またその髪をオールバックした男で一回、合計五回、彼は一度死んでる。


いや、死んだことそのものが時系列から、それがどこに行ったか分からない。もしかするとかもしれない、つまり方が驚異になると。


………杞憂きゆうか。


昔から自分は頭の賢さから考えすぎる事があり、そこから様々な拡大解釈をしたり、論理を飛躍させる事もある。インターネット中のSNSや掲示板をする者達がよく陥る誤謬。


という妄想に近い考え方。


まぁ計算してもこの旅館の中で、俺のが一番が高いがな。


そう、自惚れもしていた。


『特班』と呼ばれる特殊部隊の班長が。








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