第七業 絶体絶命の血戦、その後。
鬼柄猛の鬼柄家は
史実では復讐せず、尼となったのみだ。
復讐は何も生まない、それが
父親を殺され一族郎党滅ぼされた。
だからこそ、隠れた怨念は鬼女となった。
怪力の娘と鬼の娘の
鬼は生まれるべくして生まれる。
その末裔は今、自宅、新宿のヤクザマンションの一室で四人対戦のゲームをしていた。
ストライクブラザーズ、略してストブラ。
その中でゲームボックスのストライクブラザーズEXであり、ストブラEXとも呼ばれる。
李緋走と賀茂吉輝と一緒にである。
「やっぱりゲノンだよな」
李緋走が言った。
「ミュートゥーが一番だよ」
賀茂吉輝がそのキャラをぶっ飛ばした。
「お前、陰陽師なのにそれかよ」
残機が減り、復帰した。
「? 陰も統べてこそ陰陽師だろ」
「そうか? カバリストなんてのはセフィロトかクリフォトの二択なんだぜ?」
「だからお前は駄目なんだよ」
そうした二人の戦いに水が指された。
空から降ってきた灼熱の剣士は、B下の溜め技を最大限まで溜めながら落ちてきた。
「あ?」
「は?」
爆発した、そして三人共、ぶっ飛んだ。
「どういう戦術だよ」
鬼柄猛のやり方に不満を垂らす李緋走、そのキャラは三ストック残機があったが今の攻撃によって全て無くなってしまった。
「お前はせっかちな性格なのにスロースタータータイプなんだよ、ヤル気満々になるのはいつもいつも後の方になってからだ」
「だからってなぁ」
「お前が一番最初に戦線離脱するとツケがこっちに回ってくるしな」
賀茂吉輝が愚痴りながら黒い球を灼熱の剣士のキャラに当てた。
そのキャラへのダメージは百%を越えた、このゲームの体力ゲージはなく段々攻撃を当てて%を高めてぶっ飛びやすくなる、そうして画面外にぶっ飛ばして初めて勝ちに近づく。
「ケルピス作ってこようか」
そうして李緋走は台所に行った、食事用の机と椅子があり、そこには女性がいた。
赤い髪の長髪、セーラー服こそ着ているが、その上に羽織っているのは鬼が描かれたスカジャンで腕まくりされた右腕からは和彫りの
「おい」
「なんですか?お姉さん」
ケルピスの原液をグラスの半分以上注いでいる彼を今日ではガラパゴスケータイ、略してガラケーと呼ばれる携帯電話、アクセサリーをじゃらじゃらつけメールを打ちながら彼、李緋走に向かって話しかけた。
「アイツ、また借金してたんだってな」
それは大方ろくでなしのアイツだろう。
「あぁ、帰りによった闇カジノで大当たりして、そのお金で返金したらしいですよ」
まるで見てきたように言う。
「…………………ならいいか」
今、打ちかけたメール文章をメールごと削除して、携帯電話を閉じた。
「じゃあ」
その場を後にする李緋走。
「お前さぁ」
それを止める彼女。
「なんです?」
「ケルピスいれすぎじゃねぇかそれ」
「かもしれませんね」
「半分よこせ」
「嫌ですよ」
そのまま彼女を無視して彼は友達が四人いる部屋に戻っていった。
「どっちが勝ったんですか?」
「ミュートゥーだよ」
賀茂吉輝がそう言い、まだ飲み干していないグラスのイチゴジュースを少し飲んだ。
一方、ケルピスの前に李緋走はコンビニで買ったロカ・コーラのペットボトル一つを飲み終えて家に来て真っ先にペポシ・コーラの缶を冷蔵庫から漁って、部屋で飲んでいた。
なので飲み過ぎ故に一回トイレに行った後、ゲームが終わってからケルピスを作った。
この家に来る前には戦闘を仕掛けてくる者達がいた、彼等は
どこからか取り出した方天画戟の使い方は三國志の呂布を思い出させてしまう。
それによって五人同時に
「
その後、体が揺れ動き過ぎたためか、ロカ・コーラを開けたら中身が溢れてしまった。
なんか足りない気持ちをペポシ・コーラで補ったのはそういう話だ。
普通ならロカ・コーラ派かペポシ・コーラ派で世界は二分化されるほどの話題だが彼のような者にはどうでもよいらしかった。
そうして、ケルピスを飲んだ。
飲み物の他にもこの家にあったお菓子を開けていた、ポテトチップスである。
「結局、お前が一番強いらしいな」
鬼柄猛がポテトチップスをボリボリ食べながら呟いた。
「そうでもないね、自爆を戦術に組み込むのが悪い、それは英断ではなく愚行だよ」
賀茂吉輝はうんざりとしていた。
「そうかぁ?」
鬼柄猛は疑問を発した。
「新しい戦術を取り入れるのはいいが、それでも、自爆をしない方が何よりもいいさ」
賀茂吉輝はまるで見てきたように言う。
「死ぬより嫌な目に合っててもか?」
鬼柄猛はそう返答した。
「自殺には否定的になっておけよ」
賀茂吉輝はその言葉に釘を刺した。
「そうだよ、その後なんていくらでもifがあるわけだよ、まぁ死にたきゃ死ねばいい」
李緋走は生きていようが死んでいようがどっちでもいいしどうでもいいとばかりに、その問答に対して一歩距離を置いていた。
「………じゃ次、俺、キラチュウ使うか」
賀茂吉輝がその二人の言葉に意見を返すことをやめた、投げ出した方が良い話だった。
「俺もキラチュウ使おう」
李緋走が同じキャラを選んだ。
「じゃ、俺も」
鬼柄猛も同じ事をして同じキャラを選んだ。
それを一番使いこなせるのは誰か分かっていたが、結局、李緋走が生き残り勝利した。
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