第参業 亜流精鋭組と羅刹女と太古武術


暗黒大将軍、こと裏社会においては年期がものをいう世界ではある、中には数百、数千生きているのも当然のようである。


表社会にある様々な秘密結社、フリーメーソン、イルミナティは彼等への自警団として生まれた側面がある、無論八咫烏もだ。


暗黒大将軍は1500歳は軽く越える。


鬼がまだ八百万ではなく『異なる神々』や亜神あじんと呼ばれていた時期である。


それが土蜘蛛つちぐもと呼ばれるようになったのはまた次の機会に話そう。


平安京において有名な貴族藤原氏は渡来した一族であるともされている。


渡来というのは今でいう日本国籍を取得した外国人というやつである。


それらは知識が豊富であるとされて、様々ながあったのであった。


だから暗黒大将軍の暗黒四天王よりもまず、亜流精鋭組ありゅうせいえいぐみと羅刹女についての話が必要になるのだ。


暗黒大将軍復活祭、いやとして。


鬼柄猛は在日メキシコ人の子供今崎ホセと十年前からの因縁があるようであった。


「よぉ、鬼柄ァ!」


暴走族の特攻服、邪牙じゃがと書かれてる、街中、渋谷の夜中の繁華街にはまだ黒ギャル達がいたが、それよりも異様なまでにどす黒い特攻服を着た男がそこにいた。


「小学生風情にそんな怒気どきを飛ばすなよ、ちびっちゃうだろうが」


対する少年はジャージを着ている。


「そうはならねぇだろう?」


「まぁな」


「能書きをだらだらしなくていいぜ?なんたったって!俺はプライドがズタズタだからなぁ!折角!強姦致死をもみ消そうと思ったのによぉ!抵抗するんじゃねぇよッ!」


性同意せいどういしろよ」


「下らねぇ!世界がネジ曲がってその言葉が消え失せようとしても知ったことじゃねぇ」


「ま、チン毛を燃やされたからねぇ」


「あれは熱かったな!」


鬼柄猛のの炎だった。


それをまた、片腕に発火させた。


「そんなのでビビる俺じゃねぇぞ!」


「金玉ひくついてるぜ!」


「黙れ、殺す!殺す!」


今崎ホセが攻撃開始とっこうした。


一方その頃、横浜中華街のひろめの裏路地には四人の者達が集っていたのである。


殺人鬼一家戮一族さつじんきいっかりくいちぞく、中国の歴史において最も忌まれた闇の御三家ごさんけが一角、中華包丁使い、戮裂龍りくれつりゅう、毒ナイフ使い、戮蝕蛇りくしょくだ

刺剣スティレット使い、戮抉蜥蜴りくえぐとかげの三兄弟、正確には次男は次女であり長女である、長男には女装趣味があり長女であるためやはり次女、三男は無性別を自称しており三女にはならない。


戦国時代、昔の南蛮より渡来した製鉄技術、それが有名な妖刀を作る村正と有名ではない魔改造妖刀を作る村邪の境となったが、という矛盾した性能を持つ村邪の武器。


それは吸血刀きゅうけつとうと呼ばれ、やりにも転用されてそれは戦国武将、森長可もりながよし人間無骨にんげんぶこつというのにもなり、忍者の使う忍者刀、苦無クナイ手裏剣しゅりけん戦輪チャクラムにも技術は転用されるようになったのだ。


最狂さいきょうの殺人鬼と最凶さいきょうの武器職人、まさに矛と盾だ。


李緋走も愛用する、その苦無クナイがその三人に向けて三方向に放たれた。


「飛び道具か、下らん」


三男、戮抉蜥蜴りくえぐとかげがそう呟いて苦無クナイを刃で弾いた。


「いいや下らなくない、奴の殺気を見ろ」


長男戮裂龍りくれつりゅう苦無クナイを刃で粉砕した。


「能ある鷹は爪つめを隠す、本当に力のあるものは、みだりにそれをひけらかすようなことはしないというたとえ。能ある猫は爪を隠す北条氏直時代諺留(1599頃)よりだね」


次女、戮蝕蛇りくしょくだ苦無クナイをかわした。


「日本かぶれはよせと言ったはずだろ」


「でもアニメとか漫画、面白いじゃん」


「「………」」


男二人の指摘に姉であり妹である戮蝕蛇りくしょくだがそう返して騙させた。


「確かにそうだが………お前らもまた、時系列が滅茶苦茶だと思えてくるなぁ」


時系列としては今更ながら2002年初夏だ。


第三の目サードアイ半分覚醒はんびらきになって未来視も少しは可能な李緋走。この頃の彼の暗黒三位一体邪眼ダーク・トリニティ・イーヴィルアイズで、右目、左目、第三の目サードアイの三つとも本物の邪眼イーヴィルアイだ。


なのでなら戦闘が楽になる。


対する戮三兄弟りくさんきょうだい暗黒三銃士ダークネス・スリー、全員の意識を共用して同時攻撃をする技である、それによって一斉攻撃をした。


可能にした。


「「「|戮家殺法・三人成虎りくけさっぽうさんにんせいこ!」」」


可能にしてしまった。


定向進化ていこうしんかは代々殺意を研ぎ澄ませた事での産物であるが、では格が違った、それはの違いでもあるのであろう、格が違う。


のとというのは殺害件数キルスコアも違う。意味も意義も違う。


そして何より、


ではなく、この場合は憎悪犯罪ヘイトクライムのニュアンスではなく仮定の対義語だ。人間は差別カテゴライズされた人間を殺すのに躊躇が無くなってしまう、敵だから、目障りだから、嫌いだから、怖いから、お化けだから、悪霊だから、化け物だから、妖怪だから、人外だから、いてはいけない者だから、存在してはいけない者だから。


惨殺ざんさつが可能となる。


暗殺という話でもあり退魔の話でもある。


『絶対悪』や『世界の敵』はしないといけない、八咫烏やたがらす暗部の殺戮王族さつりくおうぞく、悪の貴族でもあり、天皇てんのうの番犬でもある、シンクロニシティかオマージュかパロディーか、鶏が先か?卵が先か?でもあるだろう。



瀬古せぶる家、獣祖じゅうそ虎祖とらそ人虎じんこである。


虎は四方を守る四聖獣では白虎と呼ばれる、つまりは黒虎は白虎に逆反転ぎゃくはんてんしたのだ。


だが、それをまた先祖帰りはんてんさせたのもまた李緋走という男であった。


使


それによって三人同時に撃破ころした。


戮家殺法・冥導乱遊キラーアーツ・キリングゲームス


かつて中国のとある武術家はこう述べた、は力なり、どんな技術体系、知識財産も家族の伝統があってこそ、これは渡来して家学かがくという学問へと成ったのだった。中国封書館禁因殿ふうしょかんきんいんでん所蔵、暗王出版あんおうしゅっぱん、『全ての哲学は中国より始まる』、腐乱肉ふらんにくより。


話は戻り鬼柄猛の家系も渡来系から始まっている、それは卑弥呼が鬼道きどうというのを使っていた頃からの話になってしまうのだ。


邪馬台国太古武術やまたいこくたいこぶじゅつ、中国の闇の御三家、贄一族にえいちぞくが使った暗殺拳が渡来した姿である、権力者いるところ暗殺手あり、だ。


太古武術は世界各地にある、アステカ神話においてのアステカ文明がアステカ太古武術たいこぶじゅつを生み出したのだった。


インドの仏教が編み出したカラリパヤット、古代ギリシャのパンクラチオン、それでさえでありではない。


そも卑弥呼は武術の師範である、こと鬼道きどうとは女性専用の護身術でもある、それによって羅刹女達は生まれたりした。


その太古武術同士のぶつかり合い。


それが現代社会にあってしまった。


「鬼道演武!亜天焔輪牙あてんえんりんが!」


真っ直ぐに突き出された両拳は指と指が交差して握りしめられて


「■■■■■■■■!」


古代アステカ語で叫ばれたと思しき言葉、それによって放たれたのは黒い氷であった。


それが、動き回る蛇の群れのように、そして、凍てついた津波として襲いかかる。


炎と氷が絶え間なくぶつかり合い、その場にいた都民や地方から上京したおのぼりさんは避難して逃げ惑う事となってしまった。


事後処理じごしょりする身になって欲しいなー」


清掃の用務員と思しき髭の男が一人、その場から逃げずにその戦いを見守っていた。


氷が段々溶けていき、その水蒸気が熱せられて、水蒸気爆発が起こってしまった。


「またもや俺の勝ちだな!」


今崎ホセはまた鬼柄猛に敗北してしまった。


渋谷のどこかでとある黒ギャル達のリーダーが言う。


「あれがかつて?皆もそー思うじゃんか?じゃん?」


と。


ポッケにいれたをポッケにいれた手で触りながら。





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