始まりを告げる青年期の予告

第二業禁断の過去、光と闇のマリアージュ

八咫烏塗色乱々羅々乱々乱やたがらすぬればいろらんらんらららんらんらん


本名大海原滝子おおうなばらたきこ


父親は漁村の漁師、大海原滝也おおうなばらたきや、母親は大海原時恋おおうなばらじれん実の父、実の母は不明。


海を漂流していた小舟に乗っていたの女性の赤ん坊であった。


大海原滝也おおうなばらたきやは彼女が養子であり肌の違いで虐められた彼女をこう励ました。


「人間皆、海の子だ、めんどくせぇ話だ」


その言葉を聞いて、彼女はに執着した。


大海原滝也おおうなばらたきやに連れられて居酒屋に出向いた時、彼女がいた。


獅子崎九里亞ししざきくりあだった。


「久しぶりだなぁ、何年ぶりだ?」


「さぁね、何十年だろうね」


「あの頃は皆、悪かったなぁ」


「えぇ……そうね」


「お前、


「そう……誰の血だと思う?」


「さぁな、誰だろうな」


そのような物騒な会話をしていた。


そんな父親が死んだ。


死因は


お葬式で獅子崎九里亞ししがきくりあもいた。


彼女は幼い私を哀れんでいた。


それはこれからの宿命デスティニーの話だろう。


八咫烏の超新星スターシードに選ばれたのは数年後の話だった。


母親から離れて寮生活になった。


そこで様々な子供達と出会った。


「私、梶木鮪三千世界かじきまぐろさんぜんせかい!」


偽名をつける風習があった、真名まなはかなりの術者かわざとかバカしか教えない。


「なげーよ」


赤い髪をして赤いフードをしているのが特徴的な少年、黒い半ズボンをして靴はスニーカー、高めであり、ゴツゴツとしている。


彼の名前は李火走りひばしである。


「てかそれ何?お父さんと同じだけど」


「煙草って言うんだよ」


「お前何歳だよ、飴にしとけ飴に」


彼の隣にいた子供、賀茂吉輝かもよしてるが彼を注意する。


「そうだぞ、飴にしとけ」


上半身裸に鬼の入れ墨をしていて、下半身は和服に下駄の少年、鬼柄猛が言う。


「うるせぇ、どうせ骨は伸ばせばいい」


「あと肺炎になるぞ」


老人がいた、彼は自分達の監督役せんせい


下町出身で幸運な男なので下町吉朗したまちよしろうと名乗っている。


彼が煙草を取り上げた。


「なにすんだよ!」


「子供には早いわい」


そういって禁煙パイポを口に咥えた。


「それ俺にもくれよ、等価交換だろ」


李火走がそんな事を言う。


「あぁ~~……今ポケットにねぇや」


あったらあげたのかと嘆息した。


「ほらよ」


「おっサンキュー」


手癖の悪い子供、元孤児の元気はつらつとした男、髪型は短髪で金色に染めている、服装はジャージに高いスニーカーを履いてる。


天狗塚牙怒てんぐづかがどである。


彼が孤児になったのは彼は寺生まれであるがその寺が『魔導具』と呼ばれる忌まれた物体、呪物じゅぶつを封印していた蔵があった。


それを強奪するために家族も寺に住んでいた人々も殺されてしまったのである。


彼一人を残して………


そんな彼の心の支えになりたかった。


「なんだ?お前も吸いたいのかよ?」


「別に……幼い頃から吸うと背延びなくなるし」


「気にするなよ、こっちのバカはそもそも毒に耐性あるから上手く吸えてねぇし、俺だって『人体に有害な全て』は拒絶するんだ」


「じゃあなんで吸ってるの?」


「喫煙の効果はリラックス、ストレス発散、プラシーボ効果ってのもあるからなぁ」


「煙草って有害なのか有益なのか意見が分けるそうね」


「心に効くなら何だっていいさ」


「良くないわい!」


拳骨おしかりが二人に飛んだ。


「クソガキ共め!」


「体罰は今時禁止だぞ~」


「親父に殴られたことあるから気にしないがな」


「御託を言うな!これより修行するぞ!」


彼等五人一組と老人、それで始まるのは雑木林での模擬戦だ、それが悲劇を呼んだ。


牙怒がど君!」


雑木林の中悲鳴と落下音が同時に聞こえた。


「しくじってしまったなぁ………」


目の前にいるのは黒い鎧甲冑をした男、その男が持つ大太刀に彼は左腕を切断された。


どこまでも禍々しい殺気と邪気を放つ男。


「香ばしいな、我が末裔がここにいるのではないか?」


「誰だよ!」


「よっと」


「甘い」


李火走りひばしによる背後から不意打ちの一太刀が浴びせられるが受け止める。


「貴様が我が因子の継承者か………ふん、そうだな、貴様に試練を与えようぞ!!」


瞬間、天狗塚牙怒てんぐづかがどの肉体が肩から腰にかけて一刀両断される。


「フハハ!フハハ!フハハハハ!我を憎め!そして高みへ来い!我は暗黒大将軍あんこくだいしょうぐん!」


その男は去っていった。


墓が一つ出来た。


その墓の前で賀茂吉輝かもよしてるは敬語を崩した。


「おい、ジジイ」


「………」


「なんでこうなった?」


「………」


「なんでこうなったと聞いてるんだよ!」


その夜、寝室で梶木鮪三千世界かじきまぐろさんぜんせかいは布団で泣いた。


「何で………」


訓練はその後も続いた、彼はいない。


彼とはこの間の五人一組になる前から付き合いがある、自分に初めて声をかけてくれたのも彼だったし、仲良くなったのも彼だ。


彼ともう一度出会いたい。


その願いを李火走が叶えてくれた、不思議な煙草だった、彼が目の前にいるようだった、それをやめると虫達に群がられる幻覚を見る、それらは彼の転生体に見えた、だから好きな限り群がられたのだ。


下町吉朗が彼女を人間でありながら『魔導具』だと断じて李火走に詰め寄った。


「彼女は


になったのか?」


蟲毒外道公こどくげどうこう


「そうか、貴様を殺す、彼女もな」


その時、雅な笛の音が響き渡る。祭り囃子によく聞くような横笛の音色だ。


音色だけ聞けば甘美、甘露、それそのものの音が毒である、毒電波ならぬ毒音波だ。


黒い着物はかつて喪服として扱われた。


彼はそれを着ている。長髪は腰まで伸びていて、片方の眼は妖気ようきにじむ義眼だ、その眼に入り、どんな惨事が起きてきたのか、想像したくないものだ。


「両方、使い道が多い、どうです?この八咫烏十二鳥十二位の毒山蝮也どくやままむしやに預けてみては」


「どうだい?俺のは?」


「存外に素晴らしいものですね」


「おい、子供に猫を次々に殺させる気か?」


「確かに人間の被験者かのじょたちを子猫ちゃんと呼ぶのは流鏑馬やぶさめではないですな」


やぶさかだろ」


素で間違えたらしい。


「そうそれだ、私は文系ではなく理系ですからね、文系の言葉は分かりずらい、子供なので読書する、つまり知識欲旺盛との事」



李緋走は嘆息しながら言った。


「人間失格ならぬ読書家失格ですね」


「文学読んでるじゃねぇか」


「いえ、やたら人間失格と言われるので検索してみたところ、本があったので近くの町の図書館をサイエンス最新号を見るついでに見たのですが、あぁいう人間は死に値する」


「自分を棚にあげるな」


「はて?自分が猫になるライカンスロープについてはまだ自分は試行錯誤してないですが」


「問題を先送りするってニュアンスだよ」


「?自分のどこに問題があるので?」


どうやら罪悪感がないサイコパスのようだ。


「もう良い、貴様ら二度とワシの前に現れるな、お前は孫娘の墓参りにも行くとよい」


「あぁ彼女ですか、墓暴いてクローンにしました、今度感動の再会が出来ると思います、反魂の術の完成度が向上しましたし」


と、そんなことをつらつらと述べる。


「貴様ァッ!!」


癇癪かんしゃく気をつけて下さいね、頭の血管を切れそうになるの本当に大変ですからね」


そうしてうみに焦がれた女は恋い焦がれ心の傷のうみ寄生虫治療マゴットセラピーを始めた。


あらゆる麻薬はあらゆる魔界の蟲を呼び寄せる、剥き出しの精神、魂のエネルギーと霊界との繋がりがある、開放的になった。


門や鳥居は境界線を張るためにある。


玄関や扉、そうしたのもある。


家のそれらを開けっぱなしにすれば言うまでもない、


彼女も一緒であった。



そう、蟲毒こどくの中、孤独こどく愛撫あいぶしていたのであった。



























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