第二十二章 2回目の安比旅行
第355話●テニスのあとはどうしよう!
バーチャルライバーフェスも21時に無事終わり、打ち上げみたいなのは特にないということで、みんなで社用車に分乗して帰宅する。華菜恵さんの運転する軽自動車には、未亜と華菜恵さんと彩春さんと俺という組み合わせになった。朋夏さんは赤梅さんの運転するナインショート組の社用車に同乗しての帰宅。未亜は打ち上げがなかったのが少し不満そう。珍しい。
圭司「未亜、なんか打ち上げがなかったのが不満そうだね。」
未亜「うーん、当日だけ来て後日の打ち上げには来ないスタッフさんとかといろいろとお話ししてお礼を伝えられる機会だから中打ちって好きなんだよね。いままで参加したフェスって、どこも中打ちしたんだけどなあ。」
彩春「中打ちかあ。最初の年はやったんだけどね。フェス直後に早速配信するVが多くて出席率が悪いんで、2回目から無くなったなあ。」
未亜「そんな過去が!」
彩春さんは最初から関係しているからやっぱり詳しいよなあ。ちなみに中打ちは、中打ち上げの略で本来はツアーや「渋谷アリーナ2Days」みたいな複数日連続公演の途中に居酒屋などで行われる打ち上げのことを差す業界用語。転じて、フェスやライブが終わった後に会場でやる軽い打ち上げもそのあとにちゃんとした打ち上げや慰労会があるので、中打ちと呼ぶようになったんだとか。ライブハウスツアーで大阪の居酒屋へ行ったときに中打ちなるものの存在を初めて知ったけど、もうなんかだいぶ昔な感じがする。
そんな話をざっくばらんにしながら社宅へ戻り、風呂に入って、寝られる準備まで済ませた上で、寝る前にちょっとした打ち合わせの時間。急遽決まった安比旅行は、彩春さんと朋夏さんが忙しい合間を縫って、いろいろと調整をしてくれたのだけど、諸々確認したいことがあるそうだ。
もう22時を回っていて誰かの家に集まるような時間でも無いのと出張中の人も多いので、すっかり「へべすTlack」という名前が定着した仲間内のTlackに作られている「#第2回安比旅行」なるチャンネルにての最終確認となった。
岡里いろは 22:39
という感じで、まず2日目午前中はみんなでテニスなんだけど、スクールがあるから受けたい人の予約を明日のうちにしたい。あと午後をどうするかだね。
午前中はみんなでテニスなのだけど、午後はどこかの大学の体育会系テニス部が合宿に入るらしく、だいぶ前から貸し切りになっていたそうだ。みんなそれぞれスクール希望かどうかを書き込んでいる。
鶴本ラン 23:39
私も未経験だからスクール希望。
岡里いろは 23:39
えっ、ランさん、テニス未経験だったんですね。
朱鷺野澄華 23:39
なんか意外です!
鶴本ラン 23:39
なんか機会がないままだったのよね。逆にゴルフは経験あるの。駆け出しの頃にゴルフ番組のアシスタントやっていたから番組でみっちり仕込まれたのよ。
へえ、と思って、事務所の公式プロフィールを見たら確かに「テレ首都系 Essence of Golf 3代目アシスタント」って書いてあった!
日向夏へべす 23:40
ランさんがゴルフ経験者なら一緒にゴルフやりたい!
七条磨奈 23:40
ランさんとゴルフしたい!
岡里いろは 23:40
そうしたら午後は安比温泉カントリークラブのアフタヌーンプレイでもよいかもね。
彩春さんから安比温泉カントリークラブのアフタヌーンプレイを楽しもうということで詳細の説明と確認があったのだけど、ゴルフ経験者は、彩春さん、朋夏さん、磨奈さん、ランさんのみで、あとはみんな未経験だった。ちなみに明貴子さんが新潟組にも聞いてくれて、ゴルフはやったことない、とのこと。
岡里いろは 23:45
安比カントリーはゴルフスクールないんだよねー。久しぶりにゴルフも楽しみたいけど、どうしようかな。
日向夏へべす 23:45
ゴルフいけない人はブナ林森林浴ツアーでいいんじゃない?
岡里いろは 23:45
それだ!
つづけて彩春さんが詳しく説明してくれたところによると安比には「ブナの
「二次林」というのは、大規模に伐採したり、山火事などで全部燃え尽きてしまったあとに再生した林のこと。安比では、昭和の初めに自分たちで使用する木炭の材料などとして、地元の人たちがブナの原生林を大規模に伐採したあと、
岡里いろは 23:58
安比スキーセンターから、牧場も含めて案内してくれるガイドツアーが出ているからランチ食べたら移動だね。うちの親に移動を頼んでおくね。
儘田海夢 23:58
牧場があるの?
このブナ林の中にぽっかりと空いた草原のことを地元では
岡里いろは 23:59
牧場には放牧している馬がいるからなでるくらいは出来ると思うよ。
朱鷺野澄華 00:00
馬を放牧したら自然破壊になっちゃうんじゃない?
早緑美愛 00:00
お馬さん!いいね!
儘田海夢 00:00
馬、愛でたい!
岡里いろは 00:00
むしろ逆で、環境を維持するために放牧しているんだよ。
馬が適度に草を食べてくれて、ふんが草のいい肥料になるんだ。
上水ここな 00:00
おうまさん、見てみたいです!
朱鷺野澄華 00:01
なるほどね!
彩春さんは地元だけあって詳しいよね。
そんなわけで、午後はゴルフ組とブナ林ツアー組に分かれることになった。送迎の手配は俺の方で完了しているのでその辺も共有して打ち合わせはお開きとなった。
未亜「いやあ、みんなすごいよね。」
圭司「行動力があってどんどん決まっていくよな。」
二人でダイニングテーブルに向かい合ってノートパソコンを経由して文字で話をするのは何度やっても面白い。もちろん目の前にいるから口頭で話もするんだけどね。
未亜「明日はせまじょアニメ二期発表だね。」
圭司「未亜が主題歌をクロティルドとして歌うのも発表だよ。」
実は、未亜が無事に2回目のオープニングシンガーとして決まったのだ!ただし、今回は「早緑美愛」ではなく、「クロティルド(早緑美愛)」という名義。未亜が朗読劇とオーディオブックで演じたクロティルドは、朗読劇に出てくるほかのキャラクタも含めて、アニメの二期として制作されるせまじょ2巻で初登場するので、主題歌もその役名での歌唱となるという感じ。ちなみにクロティルドは未亜が演じている関係もあって、名前だけで全く出番のなかった原作や少しだけ登場していたコミカライズと比べて割と厚めに登場すると聞いていて、了承している。
未亜「なんか嬉しいよね。自分が大好きだった作品世界のアニメに出られるだけじゃなくてその出演者として主題歌まで歌えるんだもん。」
圭司「前とは心持ちが変わった?」
未亜「うん、前は外から全体を俯瞰する感じで歌ったんだけど、今回は中から全体を見上げる感じだったかな。」
圭司「そうか、やっぱり世界に入り込んでいるとそんな気持ちになるんだなあ。」
未亜「結構変わるものだよ。今回初めて知ったけど。」
圭司「未亜のいい経験になったなら嬉しいなあ。」
未亜「なった!なった!ありがたいよね。」
未亜と二人で一緒に進めている感じがして嬉しい。よし、明日が楽しみだ!
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