第359話●せまじょアニメ二期発表記者会見!

枩沢「ただいまよりアニメ『セントハイディアン王国の魔物と聖女』二期制作会見を開始いたします。本日の司会進行を務めさせていただきます枩沢と申します。よろしくお願いいたします。なお、この会見はMeTubeとスマイルにあります、アニメ『セントハイディアン王国の魔物と聖女』公式チャンネルにて同時配信されております。それでは、まず本日の登壇者の皆様に壇上へ上がっていただきたいと思います。」


 枩沢さんの手慣れた仕切りで会見がスタートした。最初に駒元さんが呼び込まれたあと、紹介されたお歴々がどんどん壇上へ上がっていく。もちろん俺も紹介され、配信画面上ではアバターがすっと壇上に表示される。今日はあまり精度がいらないみたいで、簡易型のモーションキャプチャカメラでの参加だ。


枩沢「最初は今季の詳細からですね。皆様が一番知りたいオンエアスケジュールはこのようになります。」


 オンエアに関しては、今シーズンも基本的にはほぼ変わらないスケジュールになっているけど唯一違うのはBSの配信局が増えたことかな。年明けの1月6日から3月24日まで、毎週金曜日23時にジャパンテレビ、24時にBS21、毎週土曜日18時にCSアニメキャス、毎週日曜日朝9時にBS鶴亀大崎でオンエアとなる。BS21は元々制作委員会に参加しているので今季も参加しているところにBS鶴亀大崎がオンエア放送局に入ってくるのがほんとさすがだよ。どうやって話を付けたのか判らないけど、白子さんによると最近本のアンケートなどで小学生の回答が徐々に増えているそうなので、最速全国オンエアは譲りつつ、所謂「ニチアサ」枠は大崎側で確保した、とかそんな交渉術なんだろうなあ。また、第一期と同じくスマイル動画、オクダイチャンネル、bアニメでも毎週金曜日25時から最速配信が開始されることになっている。さらに今季からは、Savanna Premiere Video、Holo、Abame、NetFreedomでも毎週日曜日朝9時から定額制動画配信、所謂SVODされることが決まり、こちらもありがたい限り。


枩沢「つづきまして、オープニングとエンディングになります。」


 こちらは前回と同じ陣容になった。未亜がクロティルドとして歌う曲はWeb連載第2章タイトルであり、2巻のサブタイトルにもなった「仲間との絆、信頼、そして助け合うこと」をモチーフにした「あなたとの絆」というタイトルが付けられている。エンディングで駒元さんがオリーブとして歌う曲も同じモチーフから「トラスト」というタイトルになっている。作詞作曲はもちろん両方とも紗和さんで、未亜が持って帰ってきた「あなたとの絆」の仮歌入りデモソングを聴いたけど、原作の流れを活かした渾身の作品に仕上がっている。


枩沢「それでは、ここからは制作委員会各社の代表者から本作に関する思いなどをお話しいただきます。トップバッターは株式会社KAKUKAWA第一出版事業部長の小西様です。」


 各社から本当に熱い思いが次々と語られる。前シーズンのアニメは反響も売り上げも本当に予想以上だったんだなあ。BS21を運営している日本BSテレビジョンの方からの話に出てきた「次シーズンの同枠アニメにもいい影響があった」とか、原作者としては本当に嬉しいよね。オクダイさんからはアプリの現況についても話があった。太田さんからは随時情報共有をもらっているけど、特に問題なく進んでいるとのことで楽しみ。


 その後は枩沢さんがインタビューをする形で駒元さんと俺のトークを展開する。枩沢さんはいい感じに台本から話を広げてくれるので楽だった。しかもちゃんと原作を読んでくれているのが判る突っ込みとかもあって、この人がいろいろなところでMCとして重用されているのが判る感じだった。


 関係者が再度登壇して、締めの挨拶か。結構あっという間だったな。


枩沢「それでは、ここで、先ほど決定したばかりの駒元さんはもちろん雨東先生もご存じない重大発表を僭越ながら私からさせていただきます。実は、アニメ『セントハイディアン王国の魔物と聖女 The Movie』の制作が決定しました!劇場版は外伝が舞台、来年春公開予定、詳細はまた後日お知らせ、とのことです!皆様続報を楽しみにしていてくださいね!それでは、本日登壇いただいた方々にご挨拶を頂戴したいと思います。」


 ええっ!?劇場版!?とびっくりしながら最後の挨拶をこなし、楽屋へ戻る。今日は太田さんも帰ってしまったから詳細聞けないなあ、どうするかな、困ったなあ、と思っていたら楽屋へ岡田プロデューサーがやってきた。


岡田「先生、今お時間大丈夫ですか?」

圭司「はい、大丈夫です。」

岡田「ありがとうございます。劇場版の件、先生には意図しないサプライズになってしまって申し訳ないな、と思いまして、お詫びかたがた事情説明に伺いました。」

圭司「いえいえ、大崎とはもう握っているんですよね?」

岡田「はい、そこは先ほど完了しています。」

圭司「それでしたらその辺は問題ないです。ちょっと驚きましたけど。」

岡田「良かった、ありがとうございます。こういう原作者を無視して進めるスタイル、私は嫌いなのですが、実はギリギリの進行状況で、今日発表できるかどうかはもちろん、下手すると流れかねない状況でもあったので先生をぬか喜びさせる訳にもいかず、こんな感じになってしまいました。」


 岡田さんの説明によると実は朗読劇の頃から外伝のアニメ化は動いていたそうだ。当初は朗読劇でやったあたりをメインとした30分くらいのOVAを配信するくらいのイメージでいたのが、いざ検討に入るとだんだん話が大きくなり、ついには外伝一巻分をフルにアニメ化する120分超の劇場版として制作することになったのだとか。

 2時間ものの劇場版ともなると配給会社の決定なども含めて制作スケジュールには余裕が必要で、来年秋頃の公開を目途に動いていたところ、関係各社から「アプリのリリースもあるので二期オンエア直後となる春休み公開としたい」という意見が出てしまい、二期の制作スケジュールと近すぎると難色を示すアニメの制作会社との調整などもあって、責任者が会見のために集結するのを利用して、今朝10時から緊急会議を実施して、本当に会見直前、ようやく5月下旬公開で各社の合意が取れた、とのこと。


圭司「なんかすごいですね。」

岡田「率直に申し上げてしまうとせまじょが弊社も含めた各社にとってそれだけ重要なIPになっているということです。先生にはプレッシャーかもしれませんが。」

圭司「いえいえ、自分の作品がそれだけ多くの方に愛されているということでもありますので、本当にありがたいことです。」

岡田「私としてはこういう形で原作者の方にご迷惑はおかけしたくないのですが、正式に時期が決まった以上は今日を逃すと間延びしてしまうので、急遽差し込みました。本当にバタバタで申し訳ありません。」

圭司「特に迷惑はかかっていないので大丈夫ですよ。私としては大崎がOKとしたことは問題ないというスタンスなので。」

岡田「そういっていただけると助かります。あっ、そうそう、ヤン聖のアニメ化は制作会社が別なこともあって、こういう問題になっていないのでご安心ください。オンエア時期と制作委員会の構成が決まり次第、改めてご報告します。」

圭司「ありがとうございます。ヤン聖については、配役とかで実はご相談もあるので可能な段階でお知らせ下さい。あっ、早緑を使いたいということではないです。」

岡田「なるほど、そうすると執筆されていて、声のイメージが浮かんでいる声優さんとかがいらっしゃる感じですか?」

圭司「はい。二三考えているところがあって、可能でしたら考慮いただけると助かります。」

岡田「判りました。ヤン聖に関する情報共有も含めて、今後の進捗はこまめに太田さん経由で共有します。」

圭司「ありがとうございます。よろしくお願いします。」


 いやはや、いろいろあるもんだなあ。まあ、外伝もヤン聖もアニメ自体は楽しみだから頑張って欲しいよね!


 ――――――――――――――――


【作者より】


 ゴールデンウィークに改めて読み直しされる方もいらっしゃるかもしれないので、書き上がっている5話分を1日1話ずつ17時に公開しました。この後も書き進めているのですが、安比旅行中の物語でどうにもしっくりきていないところがあって、時間を見ながら書き直し続けているものの未だいい塩梅になっていないため、いったん5話分の公開とさせていただきます。しっくりきていないところの後ろはある程度書き進められているのですが、ここがちゃんとしないと公開できないので……。


 追加公開の部分も含めて、よろしければ、連休中に改めて読み直していただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。

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恋人があこがれの人でしかも自分のファンだったなんてそんなことあるんですか!? 週刊歌らん作者 @weekly_utaran

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