第351話●せまじょ五巻発売記念サイン会からよろしま先生との打ち合わせ再び

 今日は伊予國屋書店でサイン会!夜は未亜がバーチャルライバーフェスへ出演するので、9時頃に華菜恵さんの社用車で一緒に社宅を出ると先に伊予國屋書店新宿本店前で俺が下りる。


圭司「志満さんとの打ち合わせも含めて、開演までには間に合うと思うから楽しみにしているよ。」

未亜「うん、圭司も頑張ってね。」

圭司「ありがとう!」

華菜恵「たかっち、ファイト!」

圭司「おう!未亜をよろしく。」

華菜恵「うけたまわり!またサイン会が終わるくらいの時間に来るよ!」

圭司「よろしく!」


 二人を見送るとそのまま伊予國屋の事務所へ顔を出す。


圭司「おはようございます。」

受付「いらっしゃいませ。」

圭司「本日、こちらでサイン会をさせていただく雨東と申しますが、千住様はおいでになりますか?」

受付「はい、少々お待ちください。」


 事務の方が受付をしてくれて、そのまま楽屋スペースとなっている会議室へと誘導される。未亜のときも過去2回もここだったからなんか安心する。応接椅子に座ってお茶をいただいているとすぐに二人の人影が入ってきた。一人は千住店長、もう一人は陽介さんだ。


千住「先生、おはようございます。」

圭司「店長ご無沙汰しております。」

千住「今日は西脇も立ち会います。」

陽介「先生、よろしくお願いします。」

圭司「こちらこそ、よろしくお願いします。」


 実は陽介さん、今年に入ってから未亜がステージに立つときは関係者席後方で麻衣さんといっしょにこっそり見ている。だから未亜のご両親とは割と良く話をしているんだけど、プレッシャーに感じるといけないから内緒にしておいて欲しいということなので未亜には話していない。陽介さんはきっと照れくさいから話してほしくないだけなんじゃないかっていう気もするんだけどね。まあ、これは男同士の約束だから!陽介さん、実は今日もこのあと見に行くことになっている。本当は一緒に行こうと思っていたのだけど、よろしま先生こと志満さんとの打ち合わせがあるので、現地でお目にかかることとなる。


 サイン会は前と同じ特設スペースで、ブースそのものも前と同じ。唯一違うのは今回から声を出せるマイクがオンになっていること。もちろん太田さん経由で依頼をした。まあ、ラジオで散々トークしているから「ありがとうございます」くらいはいいたい、ということでセットしてもらった。ブースの使い方なんかを再度おさらいして、少し休憩したらいよいよ2時間くらいのサイン会がスタート!


 サイン会自体は順調に進む。いままでは女性の比率が高かったのが全体に男性比率、しかもモニタで見ていると父親と同じくらいの年代が増えている。前に少し「実はラジオ出演の効果でタクシードライバーとかからの反響があるんですよ」と白子さんから聴いてはいたのだけど、こうやって実際に見てみるとなかなか驚きがある。でもそれだけファン層が広がりを見せているということだからありがたいことだよなあ。


 10時から2時間ちょっと掛けて100人のサインが終わり、ご挨拶をして、再び華菜恵さんの車で渋谷へと移動する。バーチャルライバーフェスが始まるまでの間で打ち合わせをこなすため、今日はKAKUKAWAの本社ではなく、渋谷シアターアリーナ内にある大崎の渋谷営業所会議室を使わせてもらうことになっている。到着して未亜の楽屋へ戻る華菜恵さんを見送ってから早速会議室へ。中には白子さんと志満さん、もとい、よろしま先生が既に待っていた。


圭司「お待たせしました。」

志満「私もいま来たところです!」

白子「それじゃあ、早速確認をはじめましょうか。よろしま先生、お願いします。」

志満「はい、こちらが用意してきた原稿です。」


 よろしま先生も少し打ち合わせになれてきたのか、段取りが良くなってきた。あわあわしなくなったもんなあ。朱鷺野先生のほうでも打ち合わせをこなしているだろうし、やっぱり慣れっていうのは大事なのかもしれない。

 志満さんの持ってきた素案とラフ画を元に冒頭の流れを確認したけど、特に問題がなかった。というよりも行間が上手く汲み取られていて、初見の人にも分かりやすい感じになっている。コミカライズはこの辺が難しいのにやっぱりすごいなあ。


圭司「すごくいいと思います。白子さんはいかがですか?」

白子「なかなかいい感じですね。じゃあ、よろしま先生、この線でお願いします。」

志満「判りました!」


 3時間くらいの打ち合わせを終わらせた白子さんは満足げに帰って行った。志満さんはせっかく渋谷まで来ているということでこのあと一緒に関係者席でバーチャルフェスを見ることになっている。予定より早く終わったのだけど、今回、楽屋エリアは出演者と主催側スタッフ以外は付添として一人しか入れないことになっているので、開場までの間、引き続き会議室で志満さんと少し時間を潰すことになった。コミカライズの話から志満さんたちの漫画家事務所へと話題が移っていく。


圭司「紅葉さんとか幸大とかも含めて、いまは何人でやっているの?」

志満「変わらず6人でやっているよ。ただ、いままでもみー以外がアシスタントだったんだけど、いまは3人がプロの漫画家になって、一人は幸大くんでプロのイラストレーターでしょ。あとの二人ももちろんプロを目指しているんだけど、さすがに本業やりながらほかのメンバーのアシスタントは無理だから社長の判断で急遽高校時代の漫研仲間に声を掛けて、プロは目指していないけどいまでも趣味でイラストとか漫画とかを描いているよっていう友達とか先輩とか後輩とかに10月くらいから交代でアシスタントで入ってもらうことになったんだ。だから今後は週に一日しか来ない人も入れると全部で20人くらいになるのかな?」

圭司「社長?」

志満「あっ、もみーのこと。」

圭司「なるほどね!確かに社長だ!」

志満「そうなんだよ、もみーはえらいからね。それで、いまのマンションだとちょっと人が入らないんで、なんと桜新町で売りに出ていた一軒家を会社で買いました!」

圭司「ええっ!?すごいね!?」

志満「面白い物件が出ていたんだよ。その今度漫画家デビューする友達が見つけてきたんだけど、こんな感じ。」


 志満さんはスマホで間取り図と内装の写真を見せてくれる。なんだこの物件!?えっ、どうなっているの!?

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