第286話○BS「日向夏へべすのリアーチャルことはじめ」初回収録!

朋夏「……しめなったか!みんな、見ちょるかな?日向夏へべすちゃが!日向夏へべすのリアーチャルことはじめ、今日からはじまったよ!事前予告でも説明したとおり、番組は最初にバーチャルサイド、後半でリアルサイド、それぞれを半分ずつで放送するんだ!まずバーチャルサイドからお届けします。それでは自己紹介からどうぞ!」

彩春「こんつむぎー、はい、西陣つむぎだよ!」

未亜「みんな、こんばんはー!早緑美愛だよ!」

朋夏「この番組は以上のレギュラー3人……」

慧一「ちょっと、まった!」

朋夏「えっ!なになに!?」

慧一「バーチャルサイドは俺たちも参加するぞ!」

圭司「そうだよ!」

朋夏「誰だか判らないから姿を現して!……あっ!?」

未亜「えっ!?」

彩春「さすが、彼女ふたりはバーチャルになっても彼氏のことはすぐ判るんだね!でも、見ている人は判らないから、はいっ!自己紹介して!」

慧一「改めまして、歌い手やってます、マスケイです。よろしくおねがいします。」

圭司「えー、作家の雨東晴西です。よろしくおねがいします。」

朋夏「ということで、バーチャル側の準レギュラーとして、マスケイさんと雨東さんが参戦してくれることになりました!つむぎとしては初めましてだよね?」

彩春「そうだ!初めまして、西陣つむぎです!」

慧一「初めまして、マスケイです!」

圭司「お初にお目にかかります、雨東です。」

朋夏「なんか、三人のやりとりが面白い!」

未亜「へべす、ほんとだね!」

朋夏「じゃあ、タイトルコール行くよ!日向夏へべすの」

全員「「「「「リアーチャルことはじめ!」」」」」


 今日は、BSの初回収録日。一日掛けてバーチャル・リアル両方とも一ヶ月分の収録をまとめて行ってしまう。オンタイムであることが重要な番組だとこういう手法は難しいけど、この番組では基本的に旬な話題はやらずに朗読劇や決められたコーナーを放送するそうだ。そういう旬な話題なんかは彩春も朋夏も自分の配信でやりたいって言っていたから、あえてそういう構成にしたのかも。また、収録したあと、編集などの手間があって放送までにそれなりの時差が発生する分、テロップや効果音などで雰囲気を作り上げられるテレビ放送と大きな編集は加えずにほとんど撮って出しに近い形となる配信とで、上手くバランスが取れているのかもね。ちなみに冒頭のミニコントみたいになったやりとりはもちろん台本通り!もっと仰々しく二人を紹介するのかと思ったら乱入からあっさりした紹介でなかなか面白かった。

 初回放送分は準レギュラー二人がバーチャルに挑戦することになった理由なんかを説明して終わる。本編を12分収録、スマイル公式チャンネル用有料動画5分を収録、その後に10分の休憩を入れながら1か月分、4回の収録を済ませる。みんな同じデザインのモーションスーツを着ているからなんか珍しくて楽しい。そんな格好なのに圭司はかっこいいんだからすごいよね。

 バーチャル側の収録が終わると次はリアル側の収録。慧一くんと圭司はそのまま外で見学していくようだ。


朋夏「さあ、ここからはリアルサイドだよ!あらためまして、日向夏へべすちゃが!」

彩春「こんばんは!岡里いろはです!」

未亜「みんな、こんばんはー!早緑美愛だよ!」

朋夏「リアルサイドはこの三人でお送りするわけだけど、いろはだけバーチャルとはあいさつが違うね。」

彩春「私は名義が違うからちゃんとそこは分けてるよ!」

未亜「なるほどね!」


 彩春のこだわり!でも、ファンのみんなにとってはとても大事なことだよね。その姿勢、私も見習わないと!

 今日は極力台本に従って、収録を進めていく。時間が限られているのでその中でやろうとするとどうしても台本から外れられない。時間内でどうを入れられるか、この辺は今後の課題だなあ。

 そんなこんなでリアルサイドも無事に収録が完了した。1か月分4回の収録ともなると半日以上かかるんだなあ。ラジオの収録はまだだけど、あっちも多分同じような感じなんだろうね。できるだけ前の日はちゃんと休んで英気を養っておかないと収録を乗り切れないから気をつけないと。


 番組が終わると見かけない女性がお一人。沢辺さんがそのままその方の隣に立つ。


沢辺「早緑さん、岡里さん、雨東さん、紹介しますね。私のところに配属になった那珂埜なかのさんです。」

那珂埜「初めて、那珂埜なかのはなと申します。」


 沢辺さんのところに配属になったアシスタントマネージャさんだったか!このあと沢辺さんと那珂埜さんは挨拶周りがあるということで話もそこそこに沢辺さんたちとわかれ、みんなでマンションまで帰る。20時からの初回オンエアにあわせて食事会をすることにしているんだよね。

 いつも通り、地下の車路まで送ってもらって、いったん自室に戻る。朋夏は17階と18階を直接移動できるから17階までいったん降りて、みんなで乗り合わせて上がってくることになっている。ラフな格好に着替えてから19時半に二人でエレベーターホールへ向かうとちょうど下の階からみんなが上がってくるところだった。


華菜恵「あっ、もういたんだね。」

未亜「華菜恵、みんなちょうど出てきたところだよ!」

瑠乃「楽しみだなあ!」

彩春「瑠乃のプレッシャーが!」


 そんな話をしながら1803へ入る。慧一くんが出前を予約しておいて帰宅してすぐに準備してくれていたそうで、14人で座れるイスが用意されたテーブルにはすでに料理が並んでいて、このマンションには住んでいない志満、紅葉、幸大くん、百合ちゃんが既にそろっていた。もちろん事前に朋夏が入館申請済み。ちなみにこの中で唯一大崎所属ではない志満、本当は入館できないのだけど、朋夏が何か特例みたいな規定はないのかと沢辺さん経由で会社に確認したら、BSオープニングコーラスは、発注元がBSでそこに音楽の権利関係先としてブラジリアさんが関わっていることもあって、契約や報酬の支払いがスムーズに行くように「業務委託契約」ではなく「業務提携契約」となっていたとのこと。つまり、志満は大崎としては所属タレントに準ずる人なので、特に例外でもなんでもなく、「ここに住んでいないタレント」という扱いとなり、正規の申請ルートで入館が認められたのはちょっと面白かった!ちなみに「業務提携契約」というのは大崎に所属しているわけではないものの何か芸能関係で仕事をする場合に大崎が窓口となるための契約とのこと。志満が個人で芸能活動をしているとある種の縛りになるのだけど、もし漫画家としてデビューできることになってもこの契約の範囲外なので、影響は皆無だそうだ。


 みんなで乾杯をして料理を食べ始めるとちょうど放送が始まるタイミング。バーチャルサイドもリアルサイドもオンエア自体は無事に終了。リアルタイムで反応も見ていたけど、男性陣二人の登場も含めて概ね好意的で一安心。放送後に雑談している流れで朋夏が百合ちゃんをへべすTlackへ招待をして、へべすTlackは見事に全員そろう場所となった!芸名登録を薦められた百合ちゃんは「早緑優璃」と登録した上で、あらためてあいさつをしているけど、自分の使っている早緑をこんな形で別の人の芸名として見ることになるとはね。しかもそれが義妹になる百合ちゃんとは、なんか面白いと同時に照れくさい。それにしても最近、この仲間内ではほとんど出番のなかったRINEだけど、もし磨奈まで加わったら仲間内の連絡用では使わなくなるかもしれないなあ。

 番組を見ながら一通り盛り上がったところで時計を見ると21時半になっていた。朋夏と彩春はこのあと22時から反省会と称した配信をすることになっている。


未亜「せっかくだからみんなでここに残って見ようか!」

朋夏「えーっ!?未亜、それはすごいプレッシャーだよ!」

彩春「朋夏が珍しい!私は大歓迎!」

朋夏「つむぎはこういうとき度胸あるよねー。わかった!よし、みんなで見ていていいよ!あっ、そうだ。ここに住んでいないメンバーはどうする?」

百合「私は華菜恵さんの住んでいる部屋で宿泊する申請を太田さんに出して許可もらってあります!」

華菜恵「ゆりっちが住めるようになったらすぐ寝泊まりできるように布団を実家から持ってきておいて正解だったよ!」

紅葉「私たちは元々三人でタクシーに乗って帰る予定だよ。」

志満「もみーの事務所がある桜新町に三人とも住んでいるからね。」

未亜「なるほど!じゃあ、堪能できるね!」

朋夏「ああ、プレッシャーが!」


 そんなことをいいながらいざ配信が始まってみると二人ともいい感じに話を進めていたのはさすがだよね。ゆるゆる楽しんでいたところに太田さんからTlackで「二人の配信に出て」というメッセージがきて、私と瑠乃まで出演することになるとは思わなかったけどね!でも、楽しかった!

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