第292話○明貴子と紅葉のバースデイパーティー!

「おはようございます!」

「おはよう!」

「あれ?峰島さんは一緒じゃないんですね。」

「さすがに早いからね。みずほテレビに来てもらって、そこから合流よ。」

「なるほど!」


 ラジオの翌日は朝から忙しい。土曜日は午前中にテレビの生放送がたくさんあるので、4時に家を出て、放送局をはしごしていく。もちろん、5thアルバムの宣伝のため。朝は早いけどそのかわり午前中で終わるスケジュールにしてもらえた。というのも今日は夜に明貴子と紅葉のバースデイパーティーをするんだよね。

 去年は紗和と心菜ちゃんのバースディパーティをやって楽しかったという話がへべすTlackで盛り上がった流れで、彩春が「今年は誕生日をみんなで祝おう」って提案したんだけど、誕生日を確認していったらなんと一番最初が4月9日生まれの明貴子と紅葉。二人が同じ誕生日って判ったときはビックリしたよー。ちなみに心菜ちゃんと百合ちゃんを除いて、一番最後に20歳になるのは私。私が20歳になったら飲めるみんなでお酒を飲もうっていうことになっている。


 まず最初は半蔵門のMetropolitanFMで6時からの「Metropolitan Radio News」に出演。「いま注目の話題」で取り上げていただいたのでアルバムの話をする。すぐに局を出て、汐留のジャパンテレビへ向かう。7時半からのコーナーゲストで出演したあと、今度はレインボーブリッジを渡ってお台場へ。みずほテレビの受付で峰島さんと合流、9時過ぎのエンタメコーナーに顔を出して、CDの宣伝をする。全て終わらせて、地下駐車場の社用車へ向かうと峰島さんが運転席へ乗り込んだ。


「あっ、ここから峰島さんの運転なんですね。」

「そうよー。このまま順調にOJTが進めば、5月1日には共用車をもらえると思うんだけど、予定より早く共用車の新車への置き換えが進んでいるから大きい車の運転にも慣れて欲しいのよね。美愛の仕事が終わったらロケ終わりの瑠乃を迎えに行くけど、智沙都に任せるわね。私はその間後ろで仮眠取らせてもらうけどよろしく。」

「安全運転で頑張ります!」


 太田さんってやっぱりスパルタだよなあ。まあ、それだけ峰島さんが信頼の置ける人でもあるということなんだろうけどね。

 峰島さんの運転する車はレインボーブリッジを渡って、すっかりおなじみの場所になった浜松町の文明放送へ滑り込む。11時からサタデーソングという音楽番組のゲストとして出演。


「お疲れ様でした。」

「おつかれ!」

「お疲れ様です。」

「美愛は朝から頑張ったわねー。」

「昨日が遅めだったのでちょっと眠いですね、さすがに。」

「今日はここで仕事おしまいだからゆっくりして。」

「はい!」


 瑠乃を迎えに行く二人と別れて、私はタクシーに乗って自宅へと帰る。


「ただいま!」

「お帰り。ランチ、出来てるよ。」

「ありがとう!」


 圭司の作ってくれたシーフードドリアを食べて、シャワーを浴び、あとは目覚ましを17時にセットして仮眠を取らせてもらう。おやすみなさい……。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 目覚ましが鳴って目が覚めると17時。うん、ちゃんと起きられたね。部屋で着替えてリビングに出ると圭司はキッチンで料理をしているところだった。


「おはよう!」

「あっ、ちゃんと起きられたね。今日のパーティで食べる料理を作っていたよ。」

「美味しそう!手伝うところある?」

「おっ、ちょうど良かった。そうしたらこの大皿のグラタン、チーズ載せて焼き上げないといけないから、その間にそっちお願い。」

「この生ハムをスライスしてお皿に載せていけばいいのかな?」

「冷蔵庫にモッツァレラチーズがあるからいい感じに切って、生ハムを巻いて、楊枝で刺して欲しい。」

「了解!」


 今日のパーティ、志満と磨奈がこのマンションに入れないと思っていたので、最初はどこかのパーティスペースを借りてケータリングを頼もうかって話していたんだけどね。志満はBSのオンエアにあわせた食事会の時に問題なく入館出来ると判ったし、あと、磨奈が入れればホームパーティでいけるなあ、という話になって、彩春から大石さんに確認してもらったら、大崎所属タレントや社員、アルバイト、家族といった関係者以外の人が大崎管理の居住物件に入るための規定がちゃんと用意されていた。


 ・18歳以上の成人であること

 ・該当の物件に居住している大崎エージェンシー本所属タレントもしくは正社員の身元保証が得られること

 ・当日は顔写真入りの身分証明書を持参のこと、その際、受付にてコピーを取ることを許諾すること

 ・当日は身元保証をした人が受付に立ち会い、本人であることを証明する書類にサインをすること

 ・宿泊は認められないため、24時までに退去すること


 大崎の本社ビルに入るよりも面倒だけど、実際にタレントさんがたくさん住んでいる場所だからこれくらいは仕方ないのかも。とりあえず、無事に入れることが判ったので、彩春が早速手続きを進めてくれて、無事に入館の許諾が降りたのでほっとしたよね。

 そんなわけで見事に全員入れるようになったので、1803を使わせてもらって、主賓の二人以外のみんなで料理を持ち寄って、盛り上がることになっている。こういうときに高級レストランで豪華にパーティなんていう話が全く出てこないのが価値観も近くていいなあって思うんだよね。

 我が家は二人で準備を進めて、全部出来たので朋夏に連絡して1803へ入れてもらうと慧一くんが料理中だった。


「慧一、料理するんだな。」

「いま勉強中だよ。雨東先生の連載を参考させてもらってね。」

「マジか!なんか照れくさいな。」


 ここに連載の愛読者がいた!ターゲットである男性に読まれているのであればいい連載なんだろうね。

 ダイニングのテーブルを見ると……あれ?なんか伸びてる?


「あれ?テーブルの長さがなんか伸びてない?」

「あっ、気がついたね、さすが未亜!このテーブル、両方とも伸縮式になっていて、スライドして伸ばせるんだ。ギリギリになっちゃうんだけどね。イスは元々準備してあったのを17階から持ってきたよ。」

「さすが朋夏!」

「えへへー!」


 慧一くんの料理を二人で手伝っていたら志満から磨奈も含めて一階まで着いたという電話があった。彩春が出迎えに行って、一階から磨奈、志満、紅葉、幸大くんを連れてきたので、一安心。その後も少しずつ集まり始めて、スタート時間である19時が近づいてきたなあ、時計を見たタイミングで瑠乃が慌てた感じで入った来た。


「間に合ったー!」

「瑠乃、けっこうギリギリだったね。」

「うん、ロケ先に太田さんたちが迎えに来てくれたんだけど、帰りの高速がけっこう混んでいたんだよ。」

「えっ、高速?どの辺まで行ったの?」

「志満、どこだと思う?なんと、佐野!」


 えー!峰島さん、そんな長距離を運転したんだね!すごいなあ。


「昨日から二日掛けて佐野ラーメンの食べ歩きロケだったんだよ!佐野のラーメン、どこも美味しかった!それでね、帰りに休憩で羽生はにゅうのパーキングエリアによったんだけど、江戸の街を再現した感じのフードコートになっていて、なんか面白かった!」

「それは面白そう。みんなでドライブとかもしたいよね。」

「あー、いいね。」

「それなら長野の上田とかどう?」

「えっ、磨奈?」

「私、上田出身でね。親が上田でそば屋をやっているの。美味しいって評判で市内に4店舗構えているからぜひみんなに食べて欲しい!」

「あっ、それはいいね!大学が休みのタイミングで計画したいかも!」

「よし、賛同した彩春におまかせしちゃおう!」

「そんなこといわないで、明貴子も手伝ってよ!」

「仕方ないなあ、手伝ってやろう!」

「なんか恩を着せられた!」


 いやあ、この仲間は本当にみんな気さくで楽しい!もちろんバースディパーティも大盛り上がり!23時くらいまで食べて話して、有意義な時間を過ごせたよ!次回も楽しみ!

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