第300話○「My dream, Your dream」渋谷公演当日前半です!
さあ、いよいよ、渋谷公演本番!
昨日はリハのあと、前に泊まったことのある渋谷ワードホテル東鉄で圭司とゆっくり過ごして、英気を養った。みんなは今日直接くる予定。あっ、そうそう、私の割り当て招待チケットは、前回からついに6枚になった!有明も渋谷も大きな会場なのでそれくらい割り当てられたそうだ。バンドメンバーも4枚になって、それぞれ友達とかバンドメンバーとかを呼んでいるみたい。ちなみにいつもの仲間は、朋夏・慧一くん・明貴子・志満・紅葉・幸大くんがアリーナ席に用意された招待席、紗和・彩春・瑠乃・磨奈・百合ちゃん・圭司がラウンジエリアに用意されている関係者席。華菜恵は、前回同様事務局の仕事、心菜ちゃんはバラエティ番組の収録で残念ながら見られない、ということになった。
「おはようございます!」
「美愛、おはよう。」
今朝は智沙都さんの運転する社用車で9時に会場入り。事務局部屋から出てきた人影は……やっぱり、太田さんだ。
「いつものように楽屋入りから特典の撮影はじめる。楽屋で準備してラウンジまできてね。」
私は用意された私服風衣装を身につけ、さみあんモードにチェンジして、ラウンジまで移動する。
「来たわね。楽屋入りの撮影はB4B11のほうでするから。小道具とかも含めてセッティング済み。」
「別の楽屋を使うとか贅沢ですね!」
「自前の施設だから出来ることよねー。普通だと利用料が余分にかかるけど、自前の施設なら別費用を払ったとしても結局グループ全体としては出費になっていないようなものだし。」
「そういえば撮影は大部屋のほうなんですね。」
「今回は楽屋で過ごす風景も撮りたいそうだから機材をいろいろと入れる必要があったの。詳細はスタッフから説明があると思うからよろしくね。」
「判りました!」
B4B11に顔を出して、軽く打ち合わせをした上で、Blu-ray特典用に楽屋入り風景の撮影を済ませる。さみあんモードのまま、トレーニングウェアでリハをこなして、圭司・華菜恵と楽屋でケータリングを食べて、リハを受けて若干修正の入ったところを確認して……という流れは相変わらず。
「今回もすごかったよ。」
「本当だ!」
圭司がまた外の様子を撮ってきてくれたので、見せてもらうと行列がすごい!
「外に並ぶのかと思ったらエントランスホール内に並ぶんだね。」
「うん、ホールにパーティションポールが立てられていて、そこに並ぶようになっている。確認したら1階で入りきらない時のためにこっちの階段に……ほら、こんな風に警備員さんがいて並べるようになっている。」
「すごいね!?」
「ちなみに入り口近くのこの行列はこの物販用の行列だよ。」
「ほえー。」
「何か実感なさそうだね。」
「なんか、未だに自分のことじゃないみたい。でも、頑張らないとね!」
「うん、そんな感じで気合い入るのが未亜のいいところだよ。」
「そうかな?」
「そうだよ。」
「そか!」
圭司と話をしていると心がほぐれていくから本当にありがたいよね。そんな話をしていたら圭司が席へ移動する時間となり、そしていよいよ私もコールされる時間となった!
楽屋を出て、ステージ裏へ。今日もバンドメンバーは下手から入るので、私一人となる。華菜恵からマイクを受け取り、軽くハイタッチをして、出番を待つ。渋アリは演劇公演もあるので、緞帳があるという珍しいアリーナ。せっかくなので今日は緞帳を閉じてもらっている。
『まもなく開演6分前です。5分前から配信入ります。』
『配信了解。』
今回は配信があるということで、イヤモニにこうした事務連絡が入る。いつもはプロンプターに指示が出て、イヤモニに入るのはタイムキープだけだからなんか楽しい!
『配信インしました。リアルタイムとは30秒ディレイ。』
『30秒ディレイ了解。最終コールお願いします。』
『最終コール了解。』
最終コールこと開演直前の諸注意を告げるアナウンスが始まると同時にバンドメンバーは所定の位置にスタンバイした。
「長らくお待たせいたしました。早緑美愛ライブ『My dream, Your dream』渋谷公演、まもなく開演となります。」
〈ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
開演のブザーが終わるやいなや、一曲目、「Silky Force」のイントロが演奏スタート!同時に緞帳が最速で開いていく!半分くらいまで上がったところでライブスタッフからGOサイン!さあ!行くよ!
「みんなーーーーーーーーーーー!早緑美愛だよ!!!渋谷公演へようこそ!会場のみんなも配信のみんなも今日は楽しんでいってね!」
最初から快調!「Silky Force」は長めの間奏があるので、ここでメンバー紹介。今日もみんなすごいパワフルな演奏だなあ!2曲目の「バラードなんか歌えない」の間奏でラウンジ席にいる圭司たちを確認完了!圭司は百合ちゃんと並んで座っているんだね!「Best Smile」まで歌いきって、MCに入る。
「あらためまして、早緑美愛だよー!」
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
「今日は早緑美愛ライブMy dream, Your dream渋谷公演へようこそー!今日はみんな来てくれて、そして、配信で見てくれてありがとう!!!いつものようにここで給水!会場のみんなも配信を見てるみんなもちゃんとお水を飲んでね!」
ステージの先端に置いてあるお水を飲んでから0番へ戻る。
「今日は、『Silky Force』『バラードなんか歌えない』『Best Smile』と歌いました!『バラードなんか歌えない』と『Best Smile』は有明では歌えなかったから渋谷公演を見てくれている人だけが聴けた感じだね。有明三日間でけっこう歌ったんだけど、まだ歌っていない曲があるというのが本当にありがたいよ!」
ここから少し今回のアルバムの収録に関するトークをする。みんな笑ったり、手を叩いてくれたり、反応が嬉しい。
「それじゃあ、そろそろ次の曲に行こっか!ここからの曲は5thアルバムからお届けします。まずは一曲目、聴いて下さい。『Frozen Spark』。」
「Frozen Spark」「記憶の中のプリズム」「真っ赤な雲」とロック盤から3曲披露したあと、ポップス盤から「Rainy Walking」を歌う。そして「大きなあなたと小さな私」へ入ると同時に上手のステージ袖から誰か出てきた!……百合ちゃん!?
『ここから早緑優璃さんがスペシャルダンサーで入ります。曲終わりMCで紹介お願いします。』
ちょっと!聴いてないですよ!?危うく動揺しそうになったけど、圭司と目が合って、体勢を立て直す。もう、太田さんたちはすぐそうやって人を驚かせるんだから!!
百合ちゃんをバックに全力で歌う。間奏で少し後ろへ下がると百合ちゃんが少し前に出てくれた。相変わらずすごいダンス!私ももっとがんばって歌わないとだね!オーラスまで百合ちゃんとの初共演を楽しみつつ、よし、無事に歌いきったよ!あっ、百合ちゃんを紹介しなきゃ!
「5曲続けて聴いてもらいました!そして、5曲目の『大きなあなたと小さな私』ではスペシャルなゲストが来てくれました!この前デビューした早緑優璃ちゃんです!」
「皆さん、初めまして!早緑優璃です!今日は
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「優璃ちゃんは雨東さんの妹さんでね。私と同じ早緑の名字を使ってくれています!でもまさか優璃ちゃんが出てくると思ってなくてビックリしたよー!」
「えへへ、サプライズ成功ですね!」
「サプライズされたよー!みんな、優璃ちゃんのダンスどうだった?」
「「「「すごかったー!」」」」
「ぅおおおおおおおおおおっっっっ!!!!!」
『MCエンド1分前です。優璃さんは下手ハケでお願いします。』
「優璃ちゃん良かったね!」
「はい!」
「そろそろ、次の曲の時間かな。スペシャルダンサー早緑優璃ちゃんにもう一度盛大な拍手を!今日はありがとうね!」
「こちらこそ、ありがとうございました!皆さん、最後までたのしんで下さいね!」
「……いやあ、ビックリしました!今日、優璃ちゃんが出てくるって聞いてなかったんですよー。うちのスタッフさんたちはたまにこういうドッキリを仕掛けてくるから、まったく!じゃあ、次の曲へ行くね!」
ここから3曲「時計台の下で」「広い道で向かい合う二人」「あなたがくれた人形」と歌い継いでいく。MCを挟んだあとの渋谷バラードでは、バーチャルな姿に切り替わることになっている。さあ、いよいよ後半戦だね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます