第247話●日向夏へべす公式チャンネル「つむぎの実家へ遊びに来たよ!」突発生配信前半戦
機材のセットも終わって、出演者は2枚のモニタの前に置かれたマイクスピーカーと時間を確認するための時計を中心に半円になる形で座っている。半円の真ん中にはもちろん彩春さんと朋夏さん。二人の前には彩春さんの部屋から持ってきた折りたたみ式のテーブルが置いてあって、同じく彩春さんの部屋からもってきたマウスとキーボード。パソコンの操作には必要だもんね。
出演しない俺たちはモニタの裏側に座って、明貴子さんが持ってきたノートパソコンを部屋に元から置いてあったテーブルに置き、配信チャンネルを開いてコメントが見られる状態。俺たちの真ん中には華菜恵さんが座って、なぜかスケッチブックとペンを持って待機している。カンペとか出すのかな?それにしてもいつの間にスケッチブックとペンを用意したんだろう……。
「じゃあ、準備出来たね。カウントしたあと配信開始のボタンを押すよ。5、4、3、2、1……しめなったか!みんな、聞いちょるかな?日向夏へべすちゃが!突発配信!ということで今日は声だけのラジオ配信だけどよろしくね!まずは私の隣にいるこの人に話してもらうね。」
「こんばんは!岡里いろはです!」
「さっき告知ツイストでも書いたけど、実はつむぎの実家に来ていてね。」
「例のBSでやる番組のオープニングとエンディングの曲が無事に完成したので、打ち上げっていうことで、来られる人たちだけになっちゃったけど、うちの実家にやってきたんだ。」
「打ち上げを兼ねてスキーをしに来たんだよね。」
「私はどちらかといえば実家の温泉へ入りに来たんだけどね。」
「確かに昨日から何度も大浴場に入っているよね!」
「実家の温泉、本当に大好きなんだよねー。」
「どこってコメがけっこうあるね。ということは新しい人が増えているっていうことか!」
「そういうことだねー。私の実家は安比温泉なんだ。ペンションやっているよ。どのペンションかはなんか見つけられていた記憶がある。」
「それで凸してこないのが織物組のすごさだよね。」
「まあ、安比は全体的に宿代高いから。その中でもうちは一泊二食税サービス料込みダブル二人利用でも一人1万8000円で、ちょっと高めだからねー。」
「それでもいつも満員だからすごいよね!」
「うん、常連さんも多くて本当にありがたいよー。」
「そんなわけで、今日は彩春の実家で打ち上げなんだけど、突発配信に出るのは私たち二人だけじゃないよ!それから偶然つむぎの実家に来ていた人たちも出てくれることになったからすごい人数になったんだ!それじゃあ、自己紹介してもらおう!私の隣から!」
「みんなー、こんばんは、早緑美愛だよ!いろはの実家に初めてきたよ!じゃあ、次はこの人!」
「皆さん、こんばんは。柊瑠乃です。いろはとへべすから話は聞いていたけど、ここは本当にいい宿だね。では、隣にバトンタッチ!」
「こんうめです。赤梅エンジェルです。私は西陣さんたちの打ち上げとは関係なく、ナイメン4人で来たんですけど偶然みんなと会いました。でもこういうのって嬉しいですよね。そうしたら反対側にいるこの人です。」
「クリクリース!織田クリスだよー!本当にビックリしちゃったよー!渋谷のライブで会う前に早緑さんにも会えちゃったしね!それじゃあ次行くよ!」
「レインボーパワー充填完了!虹色こはく参上!今日は安比を虹色に染めるためにやってきた!そうしたら早緑さんに会えちゃうなんてね!クリスちゃんと一緒に大はしゃぎ!よし、ラストはこの人だ!」
「いちばんわー!銀杏秋桜だよん。私もまさか柊さんとお話し出来るなんて思ってなかったよー!うれしいよねー!じゃあ、へべちゃんにもどすねー!」
「こんな8人で今日は大騒ぎ配信するよー!ちなみにいまこの周辺にはマスケイさん、儘田先生、朱鷺野先生、あと早緑様のフィアンセもいたりして、見守ってくれてます。」
「えっ、雨東さんだけ名前が省略された!」
「早緑様のフィアンセっていえば判る……ほら、みんな判っているよ!」
「さっきも話していたけど、日本国民の中で一番有名なのは美愛だしね!」
「確かにつむぎちゃんのいうとおりだね!あっ、そうだ!せっかく一緒に配信出られたし、みんなともっと親しくなりたい!美愛ちゃんって呼んでいいかな?」
「呼んで呼んでー!私もクリスちゃんって呼びたい!」
「いいよ!」
「二人だけずるい!」
「私たちもそんな感じで呼びたいな!」
「なんか早緑様きっかけでみんなが親しく呼び合う感じに!」
「そういえば、バーチャルライバーのみんなはやっぱり出だしに特定のあいさつがあるんだね。」
「瑠乃も考える?」
「美愛が使っていないのに私が使うのもなんか変じゃないかなあ。いろはもライバー時代は使ってたの?」
「Vのときは使ってたよー。いまはもう封印しているけどね!」
「こんつむぎー、はい、日向夏へべすだよ!」
「ちょっと、へべす!?」
「これがつむぎがVTuberの時のあいさつ!」
「やっぱり、あるんだね!」
「なつかしい!つむぎちゃん、もうバーチャルライバー活動しないの?」
「実は、オーディション受けると監督さんとかプロデューサーさんとかからクリスちゃんと同じことをいわれることもけっこうあるんだよね。コメントでもみんなからの要望がすごいからなんか方法ないかなって、事務所と相談しているよ。」
「そうなんだ!そうしたらまた共演出来るね!」
「そっかー、そうだよね。真面目に考えるよ!」
彩春さんのかわしは本当に上手いんだよね。いつも聞いていてすごいなあ、って感心する。
「最近はライバーがリアルステージでシンガーとかアイドルとかと一緒に歌える機会とかも増えているから美愛ちゃんとかと一緒に出る機会もあるかも!」
「こはくちゃん!そんなゆめみたいなことがあるかもね!」
「クリスちゃんも美愛ちゃん、大好きだもんね!」
「ありがとう!」
「私は柊さんと知り合えて、瑠乃ちゃんと呼べるのが嬉しいよ!」
「秋桜さん、配信でよく語ってますものね。」
「赤梅ちゃんはさすが良く聴いてるね!」
「まさか私の配信きっかけで秋桜ちゃんが瑠乃のファンになったとはなあ。」
「歌声にビビッと来ちゃったよ!」
「秋桜ちゃん、ありがとう!なんか照れるね。」
「もしかしたらファン一号かも。」
「美愛違うよ!私の方が先だよ!」
「へべすが秋桜ちゃんに対抗してる!」
「♪私を巡って争わないでー。」
「瑠乃が突然名曲『争わないで』を歌い出したけど、やっぱり上手いよね。」
「頑張って歌でも表現力を付けるよ!」
「瑠乃のトークスキルはすごいからVのみんなの配信にも出られるかもよ。」
「私の配信に来て欲しい!」
「秋桜ちゃんから早速予約が。」
「マネージャさんに聞いてみるね。」
「安比から始まるコラボ、なんかキャッチフレーズになりそう。」
「クリスさん、それはさすがにないと思いますよ。」
「えー、赤梅ちゃんはすぐそういう夢のないこというんだもん!」
「つむぎもすぐ夢のないこというよね!」
「えー、へべす、それはひどいなー。現実を判っているっていってほしいなあ。」
「つむぎちゃん!ファンのみんなに夢を見てもらうのも大事なことだよ!」
「ゲーム実況とかで夢を見てもらえるように頑張っているからね!秋桜ちゃんもそうでしょ?」
「まあつむぎちゃんのいうとおりだけどさー!」
配信のコメントもすごい盛り上がっている!このまま後半も盛り上がるんだろうなあ!
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