第248話○日向夏へべす公式チャンネル「つむぎの実家へ遊びに来たよ!」突発生配信後半戦

 目の前にはモニタが2枚あって、1枚は配信用のアプリが映っていて、もう1枚にはコメントが出ている。

 コメントを見ていると誰か一人のファンでそれ以外の人の声は初見(初聴?)の人が多い。それをみんな判っているからなのか、できるだけ、お互いの名前を呼び合いながら会話しているのがすごいと思った。いろはやへべす、赤梅さんたちだけじゃなく、瑠乃もそうしていることに気がついてからは、私もわざとらしくならない感じで名前を呼ぶようにしている。こういう細かいところがきっとファンのみんなに快適に聞いてもらえる工夫なんだよね。本当にみんなといるとすごい勉強になる。上手く生かしていきたいなあ。


 引き続き、そんなところを注意しながら雑談で盛り上がる。こんな雑談をしているだけの配信で大丈夫かな、と思うんだけど、どうやら同時接続数が10万人を突破して、Twinsterのトレンド一位にへべすの公式チャンネル用実況ハッシュタグ「#へべちゃん」が入っているらしい。

 らしい、というのは、モニタの奥でみんなと一緒に座っている華菜恵がスケッチブックにカンペを出して教えてくれるから。華菜恵ってすごいなあ、とは思っていたけど、こんなことも出来るんだね!?それにしても華菜恵、スケッチブックなんていつ用意したんだろう……。

 そして、かなりの視聴者がいるのでコメントは流量が本当にすごい。そんなものすごい流速でもだいぶ読めるようになってきたなあ、と思って眺めていたらこんなコメントが流れた。


 :マスケイさんと雨東先生にもトーク入って欲しい!


 そのコメントがきっかけでコメント欄は二人も出て欲しいというリクエストで埋まった。思わず私はコメントについて話してしまった。


「気がついたらなんかコメント欄がすごいよ。」

「えっ?本当だ!すごいね!?」

「おふたりは出ても大丈夫なのかしら?」

「実は二人のマネージャにもあらかじめ確認して、OKもらってあるんだ!だから二人がいいなら大丈夫だよ。」

「さすがへべすちゃん!」


 二人はどうするのかな、と思ってみていたら、ひそひそ話をしたあと両手で丸を作った。おっ、出演だね!


「二人からOKが出たので早速出てもらおう!」


 場所を少し空けて、圭司は私と瑠乃の間、慧一くんは私と朋夏の間に座った。


「じゃあ、自己紹介からかな。まずは私の隣に座った人から!」

「こんばんは、マスケイです。」

「……えっ!?それだけ!?」

「いやいや、トークは不慣れなんだから容赦してくれよ。日向夏さん。」

「しょうがないなあ。じゃあ、もう一人!」

「こんばんは、雨東です。なんか緊張していますがよろしくお願いします。」

「マスケイさん、雨東先生の方がちゃんと話出来てるよ!」

「いろはさんまで、無茶振りしないでくれよー。」

「この前の日向夏さんとマスケイさんの交際発表配信は拝見したんですけど、あのときはもっとトーク出来てましたよね。」

「あれは、日向夏さんの失敗談を語るだけだったからそんなに緊張しなくて良かったんです。」

「っていうことは、へべすちゃんの失敗談を語ってもらえばいいんだ!」

「クリスちゃん!?」

「それいいね!」

「つむぎまで!ひどい!」

「へべちゃんは本当にいい突っ込まれキャラだよねー!」

「秋桜ちゃん、それ喜んでいいか判らないよ!?」

「べすべすがかわいそうだから許してあげよう!」

「こはくちゃんのそれは許してもらえたのか判らないよー。」

「許してあげよう!」

「ちょっ!マスケイさん!?」


 コメント欄は大盛り上がり!やっぱり、マスケイさんのファンもまだまだけっこういるよね。というか、コメントを見てると果肉の人たちでマスケイさんのファンになった人がかなりいるのか!?

 華菜恵のカンペによるといまの時点で「#へべちゃん」は全世界トレンドで一位になったそうだ。同時接続数は、えっ!?


「えっ、30万人!?」

「なにがなにが?」

「本当だ!同接30万ってすごいね!?」

「ねえ、へべちゃん、スマイルの方ものべ接続数が10万人になっているよ!?」

「なんだかすごいね!?」

「紅白出場歌手がいるからだね!」

「へべす、多分私よりバーチャルライバーのみんなといろはのファンがたくさん集まっているからじゃないかと思うよ。」

「否定のコメントが流れているよ!」

「早緑さんはやっぱりすごいですよね。」

「赤梅ちゃんのいうとおり!美愛ちゃんはすごいよね!」

「クリスちゃんに賛成!」

「こはくちゃんまで!?私をほめてもなにも出ないよ!?」


 みんなでほめたりほめられたり。けなさないところがすごく心地いい。雑談は大いに盛り上がったけど華菜恵のカンペによるとそろそろ日付が変わりそうだ。締める時間だね。


「あっ、もうこんな時間だ!」

「時間がたつのは早いねー、へべすちゃん。」

「またコラボしたいですね。」

「赤梅ちゃん、今度BSで私の番組が始まるからみんなをゲストで呼べないか調整するよ!」

「本当ですか!ありがとうございます。」

「みんな楽しみにしていてね!それじゃあ、さっきとは逆に順番で締めていくよ!それでは、今日のお相手は」

「銀杏秋桜と」

「虹色こはくと」

「織田クリスと」

「赤梅エンジェルと」

「柊瑠乃と」

「雨東晴西と」

「早緑美愛と」

「マスケイと」

「日向夏へべすと」

「岡里いろはでした!」

「みんな」

「「「「「「「「「「さじーなら!」」」」」」」」」」

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