第243話○二日目も大満足なディナータイム!

 赤梅さんたちと圭司が自室に戻って10分もしないうちにみんなが帰ってきた。楽しく会話をしながら、みんなはウェアから私服に着替えて、レストランへと移動する。男性陣はもう席に着いていて、赤梅さんたちも席に着いていた。


「今日も定刻にみんなそろったからディナーのコースをはじめるね。ランチで一緒だった四人も偶然同じ時間だから仲良く食べよう!さっき、早めに帰ってきたメンバーとは自己紹介しあったんだけど、残りのメンバーもあとでよろしくね。」


 厨房から昨日と同じセルヴーズさんがやってきて、ドリンクオーダーのために各テーブルを回る。


「お飲み物のメニューです。なお、ファーストドリンクはコースに含まれております。」

「ありがとうございます。」

「今日はどうしようかな。」

「俺は赤のノンアルコールワインにしようかと思うよ。」

「私は今日もノンアルコールのカクテルにしよう!」


 今日はシンデレラというノンアルコールカクテルを注文してみた。


「じゃあ、今日も乾杯しよう!」

「今日は誰が乾杯する?」

「もちろん、いろはっちでしょ!」

「今日も私!?」

「ペンションのオーナー令嬢だしね!」

「もう、朋夏!……そっちの四人にも期待の目で見られたら断れないじゃないかー!わかったよー。よし、じゃあ、偶然私と朋夏の知り合いが来て、人数が多いけど、このあとみんなで仲良くなりたいと思うので、よろしくね!乾杯!」

「「「「「「「「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」」」」」」」」


 今日も乾杯の発声を聞いてからセルヴーズさんが早速料理を持ってきてくれる。


「最初はオードブルです。今日のオードブルは、八幡平ポークの生ハムを用いたグリッシーニ、八幡平で生まれ育った鶏から採れた卵を使ったポーチドエッグのバジルソース和え、安比温泉ファーム特産のモッツァレラチーズと八幡平産トマトのカプレーゼになります。アレルギーの申告忘れなどがあればあらためてお申し出下さい。」


 とことんまで地場産のいい食材にこだわっていることがよく判る。きっとこういうこだわりが彩春にも受け継がれているんだろうなあ。そして今日もパンが3つずつ皿に載せられていく。


「今日の自家製パンになります。バタール、パン・ド・カンパーニュ、フーガスです。プレーンバター、ガーリックバター、バジルバターをお好きなだけ付けてお召し上がり下さい。いずれのバターも自家製です。パンがなくなりましたらお申し付けいただければおかわりをご用意いたします。コース料金に含まれておりますのでご安心ください。」


 フランスパンって本当にいろいろな種類があるんだなあ!そしてどれもとても美味しい!毎日取り寄せて食べたいくらいだよー。


「こちらは八幡平名物のほうれん草をふんだんに用いたポタージュスープです。お好みでこちらのクルトンを入れてお楽しみ下さい。冷めないよう、お皿が熱くしておりますのでやけどにご注意ください。」


 このスープも濃厚で本当に美味しい。ほうれん草のえぐみは全く感じられなくて、さわやかな甘みがある。彩春のお父さんってすごい料理人さんだよね。

 圭司と感心しながら話をしつつ、フーガスで口の中をリセットしていると魚料理が出てきた。


「ポワソンはイワナのポワレ梅肉ソースがけです。梅肉は紫蘇を練り込んであります。岩手県軽米町かるまいまちで採れた梅を自家製の梅干しにしたものを用いており、まろやかな酸味がお楽しみいただけます。ソースが余りましたらバタールに付けてお召し上がりください。バタールがない方はおかわりを持って参りますのでお申し付けください。」


 イワナの臭みが全く感じられない!梅肉ソースと紫蘇ももちろんあると思うんだけど、下ごしらえが丁寧なのもあるんだろうなあ。本当に一品ずつ感心してばかりだよ。


「今日のソルベはりんごです。岩手県のオリジナル品種の紅いわてとアップルリキュールを軽く凍らせました。器を冷やしております。早めにお召し上がりください。」


 青森だけじゃなくて、岩手にも林檎のオリジナル品種があるのか!圭司も驚いているようだ。そして、気がつくと明貴子は何やら一品ずつ熱心にメモを取っている。朱鷺野先生の作品にきっとこの辺の経験が生きてくるんだろうね。明貴子は現代ドラマが多いから本当に毎日が取材なんだろうなあ。


「アントレは八幡平牛のヒレ肉ロッシーニ風です。大変に柔らかく美味しい八幡平牛をレアで焼き、ソテーしたフォアグラを乗せ、フォン・ド・ヴォーをベースにマデラ酒を煮詰めてからトリュフのみじん切りを加えたペリグルディーヌソースをたっぷり掛けております。こちらもソースが余りましたらバタールに付けてお召し上がりください。バタールがない方はおかわりを持って参りますのでお申し付けください。」


 ものすごい贅沢な一品が出てきた!!!!!!昨日の肉料理は手間を掛けるという点で贅沢だけど、こちらは素材の豪華さで贅沢な一品だ!もちろんとても美味しい……。圭司も満面の笑顔。そりゃそうだよね……。


「デセールはいちごのモンブランです。いちごは一関市で採れたさちのかという品種になります。このあとはコーヒーか紅茶になります。皆様、順番に伺いますので、お申し付けください。」


 イチゴのモンブランもものすごい美味しかった!贅沢なディナーを二日続けてしまって、本当に私は未成年なんだろうか、と自問自答したくなるよね。これも彩春とみんなのおかげだよ。感謝しかない!

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