第242話●ビックリの連続!?

 織田クリスさんが急に手を挙げた。なんだろう?と思っていたら身を乗り出して、未亜のことを見つめてきた!


「あの!早緑さん!大ファンです!お目にかかれて嬉しいです!」

「えっ!?」

「実は……私も……。」

「ええっ!?」

「ちなみにクリスちゃんもこはくちゃんも超有名Vだよ。」

「彩春が超有名っていうくらいそんなすごい人に!?」

「いえいえ、世間的な知名度からいったら私たちより早緑さんの方が圧倒的に上じゃないかと思いますよ。」

「早緑様は何しろ紅白出場歌手だからね!」


 赤梅さんがおっしゃるとおり、日本全体での知名度でいったら確かに未亜が一番ということになるのか。


「うーん、まだ一回出ただけなんだけどねえ。」

「やっぱり紅白歌謡祭って大きいですよね。なんだかんだいって、国民の半分くらいが見てるわけですし。」

「しかも早緑さんのステージ、本当にすごかったですもん!司会者さんたちも審査員の皆さんも泣いてましたけど、私たちも大号泣しちゃいました。」

「実は4人で紅白見ながら赤梅ちゃんのおうちで年越し配信していたんです。感動しすぎでしばらく話出来なかったもんね。」

「あれはちょっと事故でしたよね。」

「ナインメイツのみんなも『泣いた』っていうコメで埋まったから事故じゃないよ!」


 いやあ、どこでもその話だよ。俺のフィアンセは本当にすごいよな!


「ないんめいつ、って?」

「あっ、ご存じないですよね!私たちの所属事務所ナインショート所属ライバー4人を箱推ししてくれているみんなのファンネなんです!」

「あー、なるほど!」

「ねえねえ、こはくちゃんは早緑様のファンだって知ってたけど、クリスちゃんはいつの間に!?」

「悪徳週刊誌を撃退した会見からだよ!」

「あの会見、ほんと、ファンの数増やしたんだな。」

「本当だねー。」

「それで、実は渋谷の公演、ファンクラブ先行で無事にチケット取れたので参加させていただきます!」

「えっ!ありがとうございます!」

「いいなあ、私はまだ取れてないから頑張るよ!あと、私、実は雨東先生の作品が大好きなんです!」

「そうなんですか!?ありがとうございます。」

「今日も来るときに読んでました。」


 そういうと虹色さんはバッグからせまじょの四巻を取り出してきた!


「それで、実は……。」


 取り出した四巻の表紙をめくる虹色さん。なんだろうと思って覗くとなんとサインが!


「えっ!サイン本ですか!?」

「はい!この前の伊予國屋書店のサイン会にいったんです!」

「あれ、当選してらしたんですね!?」

「配信でも嬉しくて語っちゃいました!」

「それは、ありがとうございます!」

「こはくちゃん、雨東作品を好きになったのって、へべすの配信きっかけなんでしょ?」

「うん!」

「朋夏さん、本当にありがたいよ。」

「えへへー!好きは共有したいからね!そうやってどんどん自分の好きが広がって、末永く続いてくれたら私も嬉しいからさ!」

「へべすは本当にその姿勢を絶対に崩さないよね。」

「そりゃ、私のポリシーだからね。お金をもらえるから褒めるとかそういうのは本当に嫌いなんだよ。」

「日向夏さんは企業案件でも率直な感想を言ってますものね。」

「お世辞ってばれちゃうからね。」


 そういえば、さっきは二人とも敬語だったのにVTuberの名前になったらすごい砕けている。ちょっと聞いてみようかな?


「ふと思ったんだけど、さっき本名で呼び合っていたときは彩春さんも朋夏さんも敬語だったのにいまは砕けた感じで話しているんだね?」

「あー、それは赤梅ちゃんに説明してもらった方がいいかも。」

「そうですね。クリスちゃん、実年齢いっちゃってもいいですか?」

「いいよー!」

「実は私とクリスは皆さんから見るとリアルではかなり年上なんです。私は34歳で、クリスちゃん29歳。見た目からして年齢差があるので、馴れ馴れしく話していると奇異な目で見られることも。それでリアルでは、普通に敬語で話してもらっています。でも、配信者としては、赤梅は20歳、クリスちゃんは18歳ということになっていますし、コラボ配信をするときとかは親しい関係性が大事。だから配信の方では普通に友達感覚で話してもらっています。」

「なるほど、そういうことなんですね。」

「私もへべすもVでのやりとりがメインじゃない。敬語なしでやりとりすることの方が多いからさ。リアルでは仕方がないからちゃんとしているけど、正直、丁寧に話をすると違和感がすごくてね。」

「実は私たちもそうなんです。それで、知らない人がいないところでは配信者名で呼び合って、普段の話し方にしています。」

「でも、赤梅さんは敬語なんですね。」

「年齢でおわかりのように社会人経験を積み重ねてしまっているのでなんか敬語が抜けないんです。」

「赤天使さんは配信も敬語だよ!ですます調でゲーム実況しているんだけど、すごいよ。バトルロイヤルゲームでガンガン敵をなぎ倒していくのも全部敬語だからね。一度見ると判るけど、それがものすごい楽しいんだ!」

「沼館さん、ありがとうございます。なんか照れますね……。」

「梅エキスの華菜恵がいうなら間違いないよねー。」

「そういえば、先ほどランチを取られていた皆さんと西陣さん、日向夏さんの関係って同じ事務所つながりですか?」

「表向きは同じ事務所ということで間違いはないんだけど、実はへべすも含めてほぼ全員大学が同じなんだ。」

「えっ!?みなさんですか!?」

「つむぎのいうとおり、今日、スキーに来ているメンバーは、全員ではないけど、ほぼ同じ大学だよ!」

「そうなんだ!?つむぎちゃん、へべすちゃん、すごいね!」

「本当に偶然なんだけどねー。」

「おっと、そろそろみんなが帰ってくる時間だね。ディナーのあともまたみんなで話そう!」


 彩春さんのかけ声でいったん解散となった。今日は面白い人たちと知り合えたなあ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る