第240話●初心者コースをロングラン!

 美味しい中華を堪能したあとは、いよいよ本格的なゲレンデデビュー!

 みんなスキーなのかな、と思ったら、彩春さん、明貴子さん、瑠乃さんはスノボをやるみたいで板がスノボ用だった。雪国出身者はスノボの方が好きなのだろうか?

 基本的にみんな中級者コースや上級者向けの非圧雪コースを楽しんでいるようで、初心者向けののんびりコースを滑るのは未亜と俺だけみたい。紗和さんも誘ったんだけど、上まで行くと怖いから下の広いコースを滑るということだった。三人以外のメンバーは早々とリフトに乗って山頂へ向かい、紗和さんも臨時運行している中央第一リフトで中腹まで行ってしまった。


 二人だけ取り残された感じがするけど、まあ、未亜と一緒に滑ることが出来る、というだけで楽しくなってくるから不思議だよね。


「いやあ、初めてだから緊張するなあ。」

「ちゃんとスキー教室を受けてきたんだから大丈夫だよ!私も一緒に付いて降りるからね。」

「とりあえずその前にリフトだね。上手く乗れるかなあ。」

「最長コースはゴンドラで一直線に上がれるからリフトじゃないんだよ!」

「そうなのか!?」

「ナイターは下のゲレンデだけだからリフトだけど、とりあえずそれまではゴンドラだから気にしなくて大丈夫だよ。」

「ちょっとほっとしたよ。」


 未亜に案内されて、ゴンドラ乗り場へと向かう。それなりの行列があるもけっこう回転が速いみたいで、すぐに順番になる。ゴンドラは8人乗り。なるほどだから回転が速いのか。

 昨日も今日もとても天候が良く、ゴンドラから眺める安比の全景はとてもきれいだ。せまじょには雪国って出てこないけど、次章あたりはいままでと変えて、雪国で雪の魔神たちとの戦いを描く展開も面白いかもしれないな。

 15分くらい乗車すると山頂付近まで到着する。ゴンドラの眺めもなかったけど、山頂からの眺めは最高だ!


「すごいいい眺めだなあ。」

「本当だよね!」

「じゃあ、早速滑ろうか。」

「うん!一緒に滑るの嬉しいなあ。初心者向けのタータルダーブルートはこっちだよ。付いてきてね!」

「うん!よろしく!」


 最初はまだ平らなのでストックを使いながら前に進んでいく。少しずつ斜めになっていくようだ。未亜が少し先に行って、こちらを見上げてくれている。ボーゲンの姿勢で少しずつ滑っていく。すぐに未亜の所までたどり着いた。


「うん、いい感じだね。ここから少し斜めになっていくからね。」

「ボーゲンでゆっくり滑っていくよ。まずはスピードに慣れるところから。」

「そだね!また少し先に行って待っているね。」

「よろしく!」


 未亜に追いつくと未亜が先に進んでいく感じで少しずつ降りていく。かっこよく滑るなんてもちろん無理だし、まだ景色を楽しみながら、という感じではないけど、少しずつ角度とスピードにも慣れてきた感じがする。


「だいぶ慣れてきたんじゃない?」

「うん、スピードの感覚に慣れてきた感じがする。」

「すごいね。私、最初はかなりへっぴり腰で全然だったよ。」

「慣れるまでの感覚なのかもしれないね。」

「かもしれない!そうしたら少し先だけど、あそこに見えるロッジまで行こうか。また、私、先に行くね。」

「うん、ゆっくり滑っていくよ。」


 未亜はすすーっと降りていく。俺も無理しない程度にスピードを出して滑っていく。身体に感じる風が気持ちいいなあ。慣れたらもう少しスピード上げると楽しそうだ!

 ゆっくり滑っていくとロッジが大きくなり、未亜の姿もだんだん大きくなってきた。しばらく滑って、未亜の隣に到着!


「すごいいい感じだね。」

「おかげさまでだいぶ慣れてきたよ。」

「そうしたらここからはスキーセンターまでほぼ直線で、一番眺めが良いコースだから私は一気に降りちゃうね。圭司は無理のない感じで、降りてきて。さっきのゴンドラのところで持っているね。」

「うん、判った!」

「そうしたらまたあとで!」


 未亜が颯爽と滑っていった。いやあ、俺のフィアンセはかわいいだけじゃなくてかっこいいなあ。俺の方はなだらかなところで直滑降を試してみたりしながらのんびり降りていく。ものすごいゆっくりした感じだけど、コースも広くてマナーの悪い人もいないので安心して滑ることが出来ている。建物がだんだん大きくなってきたぞ。えーと、初心者コースはここで右に曲がって、そのあとは中央ゲレンデで一直線か。無理なくいい感じに滑ってこられたぞ。えーと、おっ、未亜はあそこだな。


「お待たせ。」

「いやあ、すごいいい感じに滑ってきたね。今日、初めて滑った人とは思えないよ。」

「そうかな?」

「そうだよ。」

「未亜がそういうなら間違いないな。」

「じゃあ、また、上に行こう!」


 その後は、未亜がペースを落としてくれたおかげで一緒に滑ってこられるようになった。途中、休憩をしながら何往復もしたけど、眺めも楽しめるようになって、安比の雄大な自然を堪能出来た。初めてやったけど、スキーって楽しいなあ。また来年のスキーシーズンにみんなで滑りたいよね!

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