第223話●岡里いろは公式チャンネル定期配信第11回前半戦

「21時になりました!こんばんは!岡里いろはです!いつもの定期配信の時間だよ!この配信は大崎エージェンシー20階にある『配信スタジオ大崎』から今日は生配信にてお送りします!」


 今日の未亜は、OSAKI WEB CLUB会員先行受付中なのでライブの宣伝をするために彩春さんの公式配信にゲスト出演、俺はその立ち会いで来ている。


「まずはお礼です。MeTubeのチャンネル登録者数が100万人になりました!スマイルの有料会員も順調に増えていてね、いやー、ありがたいことだよ!実はそれもあって、事務所から自宅でも好きなときに配信していいっていう許可ももらったんだ。一回離れて、改めてこうやってはじめてみたらやっぱり配信って楽しいなあって思ったんだよねー。それでこの前、片づけていた配信用の機材を改めてセッティングしてね。ついでにパソコンの中身をいじって、最新のパーツに組み替えて、つよつよな感じにしたんだ!暇を見て突発で配信するから良かったらまだ登録してない人はぜひチャンネル登録してね!」


 未亜の公式チャンネルは紅白を経て50万まで増えたけど、基本的にCDやライブの宣伝動画と月一回の定期配信しかしないから、あまり増えないよね。

 そしてコメントを見ていると西陣つむぎの復活を望むコメントも結構ある。自宅環境を整えたっていうだけでこれだけの期待の声が挙がるんだからすごい。ん?なんかカンペが出たな。


「いつも、つむぎ復活希望のコメありがとうね。みんなからいつももらっているので事務所といろいろ検討してます。まだ詳細は発表できないんだけど、楽しみに待っていてね。」


 あのカンペはそういうことか。コメントがほぼ歓喜の声だ。中の人が判っていてもこれだけ期待されるんだからキャラクタの造形も含めて愛されていたんだなあ。


「そんなところで今日はゲストがいるから紹介するね!まずは二回目の登場、早緑美愛!」

「みんな、こんばんは!早緑美愛だよ!あっ、コメントありがとう!発表から少し経ったけど、改めて婚約おめでとうっていわれると嬉しいね。」

「美愛の人徳だよ!」

「えへへ、そうだといいなあ。」

「じゃあ、続いて私の左ですごい緊張している初登場、最近デビューした新人アイドル柊瑠乃さん!」

「みなさん、こんばんは!柊瑠乃です。よろしくお願いします!」

「この前、へべすの配信にも出たけど、そこでお誘いして、ゲストにきてもらいました!」

「ゲストに呼ばれました!」

「瑠乃は実は大学の同級生でね。早速だけどもういつ通りな感じでいかせてもらうよ!瑠乃、今日は来てくれてありがとう!」

「こちらこそ!こんな感じでいろはと話す日が来るなんてびっくりだね!」

「これから機会増えるよ。」

「うん、増やしていきたいな。」

「今日はこんな三人でお届けする配信、最後まで楽しんでいってね!」


 彩春さんのアニメデビュー作となる「赤い月と青い太陽」のCMが流れる。考えてみれば、「赤い月と青い太陽」の原作者であり、せまじょのコミカライズ作者である桜内先生も関係者になったんだよなあ。しかも幸大の幼なじみで彼女とか本当に世間は狭い。


「はい、『赤い月と青い太陽』のCMを見ていただきました!ナレーションは主役の赤谷さんなんだけど、私のセリフがあったのも判るかな?あっ、けっこうみんな判っているね。うれしいなあ。まだアフレコは始まっていないんだけど、原作がとても素敵な作品だからきっとアニメも面白くなると思うので、気合い入れて頑張るよ!それで、今回の配信は、コーナーとか全部すっ飛ばして、美愛と二人で瑠乃について深掘りしていこう、という感じ。美愛は瑠乃とこうしてスタジオで話をするのは初めてなんだよね?」

「うん、スタジオで話をするのは初めてだけど、実は瑠乃とはマネージャさんが一緒なんだよね。そのマネージャさんがスカウトしたんだよね?」

「うん、そうなの。」

「美愛のマネージャって本当に手広いよね。雨東先生もそうだもんね。」

「そうなんだよー。そんなこともあって、事務所でも何度も話させてもらっていてね。」

「なるほど顔見知りなんだね。」

「実は、美愛とは何度も食事に行っていてね。この世界のこととか教えてもらったり、自主レッスンの仕方でアドバイスもらったり、本当お世話になっているんだ。」

「お世話できているかは判らないけどね。」

「そっか、顔見知りというかもう親友みたいな感じだね。」

「うん、デビュー前からよく知っているから私もなんかすごい嬉しいんだよ。」


 三人とも本当にトークが上手いな。ウソをつくことなく、それでいて視聴者が一緒のマネージャだからデビュー前から知っているって勘違いするような感じに話の流れを持って行っている。その後もいい感じに三人の関係性がそれぞれ親しい感じなのを暗に示すいいトークができている。未亜も自分から主導してそういうトークができるようになってきたんだな。


「今度、三人で食事にも行きたいねー。」

「それいいね!へべすにも声かけよっか。」

「それもよさそう!」

「私、すごい先輩たちに囲まれてご飯が喉を通らないかも!」

「ほら、私は新人声優だから全然先輩じゃないよ。」

「トップライバーだったときもカウントすると偉大なる先輩だよ!」

「それで行くと私から見てもいろはは大先輩だね!先輩、よろしくお願いします!」

「もう、二人ともやめてよー!なんか壁ができた感じがするよー!」

「まあこんな感じで仲良くやってます。」

「コメントがなんか興奮しているけどみんな落ち着いてね。」

「二人ともこのコメントの早さでよく読めるね。」

「うーん、慣れかな。」

「いろはに比べると私はまだまだだけどね。だいぶ慣れては来たかな。瑠乃も多分慣れれば読めるようになるよ。」

「なるほどなあ、二人の配信を見て、コメントの早さに慣れる自主レッスンもしようかな。」

「そういう方法もあるね!私もいろはの配信で訓練しようかな。」

「コメントの流れる早さなら私よりへべすの方がいいかもよ。」

「確かにへべすの配信って一番コメント流れる速度が早いよね。」

「三人の配信で勉強する!」

「まあ、それが一番かもね。」

「じゃあ、後半行く前にこのMVをどうぞ!」


 おや、何が流れるのかな?

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