第303話 姥捨て山

 俺は、さっそく領主と今後の対応を相談した。


 「そうか、君はあの国のことを良く知らないんだね」

 「あそこの国は、特殊で50歳までに、国家に貢献のなかったものは、

ダンジョン送りになっていたんだ」


 「だから50歳近くになると、他の国に逃げる」

 「で、いろいろ問題を起こす」


 「理由は、まず言葉が違い、宗教が違う」


 「あそのこのシャンヒー教は、今のこの世が仮の姿で、

死んだ後に本当の極楽が待っているという教えだ」


 「当然、今も生きている教祖がいる、ドラゴン教とは相容れない」


 「それに、国家に貢献というが、それほど条件は厳しくはない」

 「結婚をして、子供を作れば貢献したことになるし」

 「ある程度定職についていれば、国家に貢献したことになる」


 「つまり、50歳にもなって、国家にまったく貢献してこなかったんだから、

最後に国家に貢献してくれと、ダンジョン送りになるのだ」

 

 「ところが、そのダンジョンがなくなり、

要らなくなったやつを多分放出しただけだろう」


 「そんなやつを、仮に受け入れても、当の本人は感謝されず、

この運命に感謝しますと、シャンヒー教に感謝するだけだ」


 「絶対に受け入れは、止めたほうがいい!」


 筋金入りの穀潰しという訳か、まああの山を越えられれば面倒見てやるか?


 しかし異世界での姥捨うばすて山か、あんまりいい気分じゃないな・・・。


 おれ自身にいくら力があっても、人の不幸が最高の幸せ、

というやつもいて、百人十色だからしょうがないか。

 

 

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