第141話 モンスター確保

 俺はミノタウロス、名前はない。


 俺たち3体は、人間たちが来るのを待っていたが、最近では、誰もこない。

俺たちでさえ、こんな暇なんだから、最下層とか寝ているだけか?


 そこへ突然冒険者があらわれた、実に久しぶりだ、

しかもこの冒険者、変だ剣も盾も持っていない、

まるで、どこからか迷い込んできたみたいだ。


 まあ、俺たちの前に現れたのが運のつき、遊ばせてもらおう。


 「スタン」


 どうしたんだ、体が動かない、まさかこいつがやったんしゃないよな?

その冒険者は、近づいてきて、俺の口の中に何かを入れた。


 くそ、体が動けば叩き殺してやるのに・・、

時間が経つにつれ、少し頭が動くようになってきた。

 

 口の中に何を入れたかわからんが、飲み込んでやる、

俺たちに、毒はほんんど効かないからな。


 「うめえ」


 ん、うめえってなんだ? 体がもっと食べたいと要求している。

食べたいてなんだ? ・・・頭の中に、昔の記憶が蘇る。


 そうだ、俺達は昔、獲物を狩り肉を食べていたんだ。


 目の前の冒険者は、なにやら台みたいのを出して、おおきな肉の塊を置いた、

何をしているんだ? どこからか出してきた剣で、肉を切り分けている。


 やがて冒険者はいなくなった、いなくなったのと同時に体が動くようになった、

目の前には、切り分けられた肉が並んでいた。


 おれたちは、お互い顔を見合わせたが、すぐに目の前にある肉にかぶりついた。


 うめえ・・、太古に失われた記憶が、ドンドン蘇ってくる、

そうだ俺達は、昔は自由だったんだ。


 俺たちの記憶を呼び起こしてくれた、さっきの冒険者は神だったのか?


 目の前には、さっきの冒険者が立っていた。


 「どう、美味しかった? どうやら記憶の呼び戻しには成功したみたいだね」

「肉とソースの方に、ベタヒスチン(ヒスタミン神経系を活性化するヒスタミンH3 受容体逆作動薬)

が入ってるからね」


 「それで君たちは、もっと肉を食べたくはないかい? 外の世界を見たいとは思わないかい?」

「そして、もっと強くなりたいと願わないかい?」


 「返事が、はい、だったら首を縦に振ってくれ」


 ミノタウロスたち、3体は首を縦に振った。


 餌付けは、完了だ。

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