第43話 森の異変
そしてマキナ達は森に到着、お互いがはぐれないようにしつつフォレストホーンを探す。
「う〜ん、いないねー」
アリアは辺りを見渡しながら言った。
「小さくても体高2メートルはあるから見つけやすい部類らしいけどな、油断しちゃダメだぞ」
「は〜い!」
森では鬱蒼と生えた樹々がすぐ先の視界を遮ってしまう為、知らぬ間にモンスターと急接近して不意打ちを喰らってしまう冒険者が後を立たないのだ。
「それらしい足跡も見当たらないわね」
「もう少し先へ進んでみよう、獣道くらいは見つかるかもしれない」
マキナ達は森の中を更に進んでいく、すると。
グェ〜!
遠くからモンスターの鳴き声が聞こえてきた。
「……今の聞こえた?」
マキナは3人に確認を取る。
「うん、聞こえた」
「アタシも」
「間違いない、あれは鳴き声だな」
グェ〜!
鳴き声は等間隔で聞こえてくる。
4人はその方向へ向かうと、小さな泉に出た。
「あれってもしかして……」
「ワイバーンだ!」
ワイバーンが泉の側で鳴き声を上げていた。
紋章の印字された前掛けを付けているので、間違いなく騎士団が所有しているワイバーンだ。
「こんなところに来てたのね」
「戻った際にギルドに報告しよう、帰る途中で騎士団員達に出会えれば1番良いのだがな」
グェ〜!
ベローネがワイバーンの顔を撫でる。
その時、
すぐ近くの茂みからガサガサと音が聞こえた。
「!?」
4人は武器を構え警戒する。
そして1体のフォレストホーンが、樹々を薙ぎ倒しながら現れた。
ブモオオオオオオ!!!!
その眼は赤く光り、鼻息を荒くしている。
既に3本角が生えている様子を見るに、明らかな激昂状態だ。
「え、何で、もう怒ってるよ!?」
アリアがあたふたしながら言う。
フォレストホーンはマキナ達になりふり構わず突撃する。
ブモオオオオオオ!!
マキナはイフリートを強く握り、剣身の炎を強めた。
そして、今まさに突進中のフォレストホーンの横に着き、その胴体を両断した。
斬撃の痕に炎が発火し、フォレストホーンは絶命する。
「危なかった……」
マキナは額の汗を拭き取る。
迅速な判断のお陰で全員に怪我はなかった。
「すまないマキナ、助かった」
「よく反応できたわね、アタシは全然だったわ……」
「突然だったから俺も驚いた」
マキナはフォレストホーンの討伐証明となる右角を剥ぎ取る。
「でもどうなってるんだ? フォレストホーンは滅多なことじゃ激昂状態にならないんじゃないのか?」
疑問は残るが、何にせよこれで全てのクエストを達成した。
その時、
ブモオオオオオオオ!!!!
ブモオオオオオオオ!!!!
ブモオオオオオオオ!!!!
周りから複数のフォレストホーンの大きな咆哮が轟いた。皆例外なく激昂状態なのが分かる。
遅れて、冒険者達の叫び声が至る所から聞こえた。
「うわぁあああ!!!!」
「きゃああああ!!!!」
森の中は瞬く間にパニックに陥る。
「……マズイな」
「このままじゃ皆大変だよ!」
「4人が固まって1体ずつ倒すんじゃ間に合わない。俺とアリア、ベローネとステラの二手に分かれよう」
マキナは冷静に指示を出す。
「そうしよう。いくぞステラ、私と君の最高の連携で皆を助けるぞ!」
「やってやるわ! あと、アタシとアンタはあくまでライバルだから!」
ベローネの後を追う様にステラは駆け出す。
「俺達は反対側だ」
「うん、ワイバーンくんはそこで待っててね!」
グェ〜!
マキナとアリアは共に森の中へと走り出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。