「雑魚には鍛冶がお似合いだwww」と言われた鍛冶レベル9999の俺、追放されたので冒険者に転職する〜最強武器で無双しながらギルドで楽しく暮らします〜
第27話 その頃『白銀の翼』は(7)(追放者side)
第27話 その頃『白銀の翼』は(7)(追放者side)
「――まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい!!!!!!」
団員達の脱退から数日後、ジュダルはギルドホールの床を転げ回りながら頭を掻きむしっていた。
そんな奇怪な行動を咎める者はいない、今このギルドの団員は彼しかいないのだから。
「マジか、ええ、マジなのかこれはぁ!?」
ジュダルは未だに信じられなかった。
あれだけ自分を慕っていた団員達が一斉に辞めたのも、冷ややかな目を向けられたのも、自分の命令に従わなかったことも。
彼らはあくまで炎魔剣イフリートを使った比類なき強さのジュダルに魅力を感じていた。つまりマキナの武器のお陰で団員達は辛うじて繋ぎ止められており、『白銀の翼』はギルドとして成り立っていたのだ。
そんなことなど微塵も頭に浮かばないジュダルはのたうち回ることを止めようとしない。
このままクエストを達成できないままではギルドとしての活動が出来なくなる、一刻も早く挑む必要があった。
「……俺はヒネズミにも勝てないのかぁ!?」
だが、彼は今ある最低ランクのクエストのヒネズミ討伐も今朝失敗したばかりだった(ランス破砕)。
『白銀の翼』は武闘派でその名を轟かせたギルド、よってクエストも決まってモンスター討伐や賞金首が集まってしまう。
どんな相手にも勝ち目が無い今のジュダルにとって『白銀の翼』のクエスト傾向が仇になってしまっていた。
仮に1つクエストが達成できたとしてもギルド全体のノルマには程遠い、存続は絶望的だった。
「それもこれも武器のせいだ! ロクな職人がいやしねぇ!!!!」
両拳を床に撃ちつけ、不満を吐き出す。
相変わらず武器の扱いの悪さには気付いていない。
むしろ、ちゃんとした武器なら俺はどんなクエストもこなすことが出来る、今まで通りの実力が発揮できると考えていた。
ジュダルはポケットからぐしゃぐしゃの紙を取り出す。紙には国内の武器屋の名前が書き連ねてられており、サルマ武具店、ダゴン・ワークスの上には大きな×が加えられていた。
「ダゴン・ワークスの武器もガラクタだったしな……次は武器屋ヘルメスだな」
様々な店の武器を試すこと、これが彼の打開策だった。ジュダルは飛び上がり、ギルドを後にした。
◇
「武器が売れねぇってどういうことだよ!!」
武器屋ヘルメスの前で怒号を飛ばすジュダル。
彼の目の前には、強面の店主が入り口を遮るように腕を組んでいた。
「どうもこうもねぇよ、アンタ『白銀の翼』の人間だろ。サルマさんやダゴンさんから色々聞いてんだよ、すぐに武器が壊れたとかで文句言われたってな」
「だから新しい武器を手に入れるためにここに来たんだろうが! 金なら持ってるからさっさと渡しやがれ!!」
「いくらなんでも1日で壊れるなんてあり得ない。それはお前さんの腕に問題があるんだ、そんなことも分からない奴には売れねぇよ」
「ンだとぉ!!」
「大方、闇ギルドを潰せなかったのもお前らの武器の扱いの悪さからきてるんだろうよ」
『白銀の翼』の敗北は今や街を超えて噂になっている。彼らの悪行を聞いていた武器屋ヘルメスの店主にはその原因を完全に見透かされていた。
「今まで壊れることなんてなかった、どんな高難度モンスターでも一撃だ! ショートソードでガイアタウラスを倒した団員だっているんだぞ!!」
「鋼鉄の外皮を持つガイアタウラスを一撃で倒せるショートソードがあるわけねぇだろ。本当ならそれを作った奴が天才だろうな。何ならそいつ連れてきてくれ、うちに欲しいからよ」
はぁ? あのマキナが天才だと?
あんなヤツ、給料泥棒の才能しかない鉄屑弄りだろうがよ!!
一向に態度を変えない店主にジュダルの
「……俺に逆らうとどうなるか分かってんのか??『白銀の翼』総動員でこの店潰すぞ!!」
言うまでもなく虚言だ。
しかし武器屋ヘルメスの店主は『白銀の翼』の噂はともかく、内部事情までは詳しくない。
「どうすんだよ? ぶるって声も出ないか?」
「何が何だろうと、俺らは売らねぇぞ」
「ああん?」
「職人には職人のプライドがあんだよ、帰りな」
店主は睨みを効かせる。
「な……まだそんなこと言いやがるのか!? 本当に潰しちまうぞ!!」
予想外の迫力にジュダルは思わずすくんでしまう。
「お前らが本気で潰すってんなら俺達は全力で戦うぞ、ここを守るためならギルドだろうとな」
屈強な職人達が武器を握りしめ、店の奥からゾロゾロと向かってくる。そして全員が店主と同じようにジュダルを睨み付ける。
「鍛冶師なめんな、小僧」
彼らは本気だ、
「あ、ああ……!?」
対する今の『白銀の翼』はジュダル1人。
彼は想定外の事態に膝が震えていた。
安易な策に走った結果、最悪の事態になってしまった。
「お、覚えてやがれっ!!」
ジュダルはおぼつかない足取りのまま、一目散に駆けるのだった。
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