第36話⁂山田君の死!⁂


 山田君が殺害された経緯が徐々に紐解かれて来た。

 あれは確か2010年11月15日に行われる学園祭に向けての、衣装合わせの日の事。


 演劇部の部員たちは、本番に向けて全力で日夜練習に余念が無い。

 あの日は舞台衣装担当者達が製作した、新着衣装のお披露目も兼ねての練習が行われていた。



 でもあの日、魔法使いのA・B・C・D・Eの5人の中のA君が、具合が悪くて学校を中途で帰っている。

 その代わりに親友の元演劇部員の河野君に、演劇部に連絡して貰った。


 その時に演劇部の部長とも親しい河野君は、細部にまでこだわりの強い部長に「どうせ暇なんだろう?背景と衣装の対比、更にはロウソクの明かりもチェックしたいから衣装着て入ってくれる?」

 そう頼まれた。


 1人欠けても、背景や雰囲気がガラッと変わって来るから、背丈も体系もよく似ている河野君に頼んで、頭数合わせの為に着用させられたのだ。


 だが、このA君容態が急変して家に帰ったふりをして、実はあの日山田君を呼び出していたのだ。


 そんな噓を付いてまで山田君を呼び出すとはよっぽどの事。

 目的は何だったのか?

 やはり山田君殺害に何か……関与しているのか?


 またどこに呼び出したのか?

 携帯電話で連絡を取り合うと履歴が残るので、お昼の給食時間に口約束をしていたのだ。

 これは絶対に何かある。

 用意周到過ぎる。


 2人の間に何が有ったのか?

 これを誰かが、千載一遇のチャンスと思い紛れ込んでいたのでは………?

 そして着々と山田君殺害に向けての準備をしていたのでは?



 山田君は人当たりの良い、誰からも信頼されている人物と思われているが、実際は全く違った。

 確かに、一見山田君は温和で優しそうな人物に移っているが、反面裏では酷い暴力と暴言で弱い者虐めをしていた。


 要は良い恰好しいの最低男子。

 利用価値のある相手や強い相手には、とことんへつらい弱者にはその反動から、陰で散々弱い者虐めをしていたらしい。


 柔道教室に通っていた柔道2段の山田君は、その腕力で散々弱い者虐めをして、その挙句言葉の暴力も相当なもので「バカ、死ね、カス」と手が付けられない暴君ぶりだった。


 まあ~?山田君も家庭環境に問題があり可哀想な一面もあるのだが、そうだからと言って弱者に当たり散らすのは如何なものか…………?


 あの日容態が急変して家に帰ったふりをしていたA君だが、実は山田君に標的にされ酷い虐めの被害に合っていた1人だったのだ。


 どういう事かというと、山田君は一見温和で優しい、スポーツ万能の人物で生徒からの人望は絶大だが、実は成績があまり振るわないのだ。


 意地の悪い継母からは、高校を卒業して実家の和食店を手伝うか?

 スポ-ツ推薦で大学に入るか?

 それか国立大学か公立大学に入るように強要されている。


 要は大学に入るにしても{お金の掛からない大学に入りなさい}という事なのだ。

 自分のお腹を痛めた子供には、お金を出来るだけ沢山使いたいのだが、継子なので山田君が邪魔で仕方がないのだ。

 早く食いぶちを減らし働かせたいばかり。


 こんな同じ兄弟でも天と地ほどの待遇の違いで育った山田君は、親に愛されなかった反動で、すっかり外面のいい2面性のある愛されキャラに代わって行った。


 それは{家では愛されないので、どうにかして愛されたい、そうだ外に目を向けよう外で愛されればいいんだ!その為には愛される努力をしないと?}


 こんな気持ちが災いして、外面の良い愛されキャラの一面と、どうにもならないうっぷんを弱者や又一方で、恵まれ過ぎた人への羨ましさ妬みが爆発して、虐めが加速して行った。


 A君は文学少年で成績優秀な上、大変大人しいお金持ちのお坊っちゃん。

 方や山田君の家庭は、母が早くに亡くなり後妻の継母は冷たく、自分のお腹を痛めた子供達だけは大切にするが、継子に辛く当たり散らしている。


 それと言うのも、父が経営する商店街の和食店が大型ショッピングモ-ルに押されて、最近売り上げが落ち込んでいる。

 そこで余計に山田君虐めが加速しているのだ。


 山田君は幸せを絵に書いたような大人しいA君が羨ましくて、妬ましくて、仕方ない。

 その行き場のない怒りと、うっぷんをA君にぶつけていたのだ。


 A君を柔道で培った腕力と言葉の暴力でコテンパンに虐める事で、心の安静を保っていたのだ。

 だが、A君の方は堪ったものでは無い。


 あの日山田君といつも行くカラオケボックスで、PM4時に待ち合わせをしたA君。


 そのカラオケボックスは、星友学園の生徒が滅多に行かないカラオケボックス。

 何故星友学園の生徒達が使わないカラオケボックスに、山田君達は行っていたのか?


 それは、山田君がやりたい放題できる場所だからだ。

 一見友達に見える自分の下部たちを従えて、恐喝まがいな行動を行っていた。


 そしてそこで下部達にカラオケ代金や飲み食いする代金まで、毎回の如く払わさせていた。

 その挙句お金の要求。

 言う事聞かない奴やチョット鼻に付く奴らも、このカラオケボックスに引っ張り込んで恐喝まがいな行動や暴力を振るっていた。


 だから誘った誘われたの問題ではなく、いつもの場所なのだ。

 たまたま今回はA君が誘っただけの事。

 そこにはハロウィーンという日にちが関係している。


 又、そこには思いも寄らない人物の姿が有る。

 それは河野君なのだ。


 実は河野君とA君は遠い親戚。

 お互いに一人っ子という事も有り、想像以上に濃密な付き合いなのだ。

 言ってみれば兄弟以上と言っても過言ではない。


 この高校も2人で相談して決めたぐらい。

 この星友学園は由緒ある、東京でも指折りの進学校。

 毎年有名大学に多く輩出している偏差値最高峰の私立高校なのだ。


 2人はこの機会を狙っていた。

 そしてハロウィーンの儀式にのっとって、いたぶりながら山田君をジワリジワリと苦しみ悶える姿を、あざ笑いながら少しずつ手を加えて殺して行った。


 カラオケボックスに、酎ハイをペットボトルに入れて持ち込んみ、グデングデンになるまで飲ませて、学校の体育館脇倉庫に連れて行き、倉庫のキ-はこの日の為に合いカギを作成して置いたのだ。


 指紋が付かないように、手袋をはめてビニ―ルシ-トを敷き、そこに山田君を転がして、細心の注意を払って夜のPM10時頃に残酷な儀式を始めた。


 たまたま体育館脇は民家も少なく、少々手荒な事をしても住民は昔からの住人が多く、ほとんどが高齢者だった事も有り気付かれなかったのだ。


 A君が100円ライターを両手で持ち焼き付けて行く。

 ””ジュジュ””


「ギャ———————————ッ!暑い!暑いよ!キャ――――!タッ!タスケテ…助けて……助けてくれ――――!」


「フン!何が熱いだ!・・お前は……お前は今まで・・どれだけの生徒を・・酷い目に合わせてきたと思う・・今度は俺達が・・お前を苦しめる番だ!……エエ!分かったか!」


 河野君もライタ―に火を付け四方八方焼き付けて行く。


 ””ジュジュジュジュ””

「ヤッヤメテクレ――――ッ!」


「よくも俺達を今まで散々苦しめてくれたな~?……謝れってんだ!・・アア!何とか言えよ!………この野郎!ウッフッフッフッ!・・苦しめ!・・もっともっと…アアアアアア――――――――ッ!」


「ユッ!ユルシテ…ユルシテクレ――――ッ!」


「この野郎!良くも俺の大切な直美を死に追いやってくれたな――――――――ッ‼許せん!許せん!許せん!ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭火炙りにしてくれるわ~!」



「ギャギャ——————————————ッ!タッタッ助けてくれ――――ッ!もう・・もう・・シッシしないから~!」


「アアアアアア直美が・・嗚呼!直美が……可哀想だ!ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭許せない!・・俺は見たんだ!・・わあああ!直美が電車に飛び込んだ‥後の真っ赤に血に染まって・・クウウ(´;ω;`)ウゥゥ‥粉々になった・ワァワァ~~~ン😭あの姿‥肉の断片‥アアアアア!………死んでも死んでも忘れない!・・クッソ――――ッ!呪い殺してやる!……クッソ――――ッ!目ん玉繰りぬいてヤル――――ッ!」


「ウフフフフフ!ウフフフフ!苦しめ!クルシメ!」


 棒でぐっさし目ん玉も抜き取り……。

「ギャギャ——————————————————ッ!」


 じわじわと2人で紐で首を絞め……。

「クク苦しい‥クルシイ~!」


 やがて息絶えた。

 そしてマットでぐるぐる巻きにして逃げた。


 気候も**・。*・もう晩秋死亡時刻には多少のズレも*⋆*・。




















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