第34話⁂山田君殺害犯!⁂





 それではいよいよ山田君の殺害事件の真相に迫ろう・。**


 あの日山田君は卓球部の副部長という事もあり、顧問の八代先生と全国高校選抜新人合宿が、11月30日から12月2日まで行われる為の打ち合わせに、いつもの打ち合わせ場所の体育館脇の事務室に向かった。


 その時に先生が思いも寄らない言葉を発せられた。

「卓球強豪校である我が校からの選出者だけれど、1年生のエ-ス木村君を何としても選出したいのよ……山田君…山田君は……今回は皆の援護として学校を守って欲しいの。お願い!」


「僕は副部長で、今まで結果を残している筈ですけど?」


「それでも……?それ以上の男子が居たら仕方ないじゃないの?学校で皆の指導に当たってね!やはり木村君を今度の合宿に参加させたいの」


「…………」


「そういう事で今回は木村君に合宿に参加して貰うから」


「……先生そんな事言って良いんですか~?……僕聞いたのです。先生と昴の関係、僕がこの事を学校中に広めたら先生は淫行条例違反で捕まりますよ。それでも良いんですか?」

「先生を脅迫するつもり~?」


「僕結果を残しますから、合宿に参加させて下さい。お願いです!」


「何を言っているの?実力の世界でしょうが?……今回は木村君に譲って‼…きっとまたチャンスはあるから」


「先生・・僕‥僕頑張りますから」


「…………」


 山田君がここまで強引に出るのには訳があるのだ。

 当然の如く自分は絶対出来ると言う、確たる自信を持っているからなのだが、、、全くうぬぼれの強い、何を根拠にここまで自信満々なのか?


 あわよくばインタ―ハイにも出たい。

 良い成績を残してスポ-ツ特待生で、自分の希望大学に進みたい。



 これだけ言ったにも拘らず、いい返事を貰えなかった山田君は、頭にきて八代先生と昴の関係を友達に話してしまった。


 その噂はあっという間に広がる。

 それはそうだ。格好の餌食となったのだ。

 我が校きってのイケメンと美人で評判の八代先生の噂は、一瞬で学校中に広まった。


 八代先生はその後、校長先生に呼ばれて、こっ酷く忠告を受けた。

「例え同意の元での行為にしろ17歳の未成年と、その様な如何わしい関係を持つなど言語道断、先生なら言い聞かせるのが筋……それを未成年に手を出すとは、懲戒免職も致し方ない」


 そのように校長先生に言われてしまった八代先生は{父親を小さい頃に亡くしており母子家庭で育った身の上、自分がいま首になれば母共々どうやって生活して行けばよいものか?}

 不安で不安で押し潰されそうなのだ。

 どうしても首になりたくなかった八代先生は、咄嗟にとんでもない事を口走ってしまった。


「昴君が強引に迫って来て抵抗出来なかったのです。でも決してそのような関係にはなっていません」


「両方の言い分をを聞かないと正確な事は分からない」


 校長先生にそう言われて追い詰められた八代先生は、昴に頼み込んでいる。


「私達はそんな変な関係ではありません。そう校長先生にキッパリと言って頂戴ね!」


「アア!分かった!」


 こうして八代先生は無事、懲戒免職を逃れる事が出来たのだが、この噂を聞いて心穏やかじゃない人物がいる。


 今年転任してきた体育の水嶋先生なのだ。

 転任初日から、この学校の習わしを親切に色々教えてくれる八代先生に、心奪われていたのだ。


 教員仲間で出掛ける事も度々あった水嶋先生は、一方的に思いを募らせていった。

{例え噂であっても、よりによって星友学園きっての美男子昴とそんな噂になるなんて、子供と言えども強敵どころか、こんな俺では歯が立たない}


 諦めきれない水嶋先生は、八代先生を取られたくないばかりに、とんでもない強行に出る。


 ある日の事。

 誰もいなくなった職員室で、待ってましたとばかりに「俺は八代先生が…八代先生が………好きだ!・・誰にも渡さない!」そして強引に唇を奪った。


「ナッ何をするのよ!・・ヤッ止めて!」


 そして水嶋先生の頬っぺたを””ピシャリ””と叩いて、逃げるように教室を後にした八代先生。


 そこで何とか八代先生を振り向かせるために、水嶋先生は山田君にとんでもない頼みごとをした。

 その2日後に変わり果てた姿で発見されたのだ。


 それから卓球部の実力ナンバ―1のエ-ス木村君も、全国高校選抜新人合宿が満場一致で決まっていたにも拘らず、参加メンバ-から外されていたのだ。

 そしてその代わりに山田君が選出されていた。


 八代先生は、もうこれ以上証拠が出て来ては懲戒処分間違いなしと踏んで、口封じの為に山田君を参加メンバ-に加え、止む無く木村君を不参加にしたのだ。

 この様な自分の為なら、どんな手段も選ばない山田君を恨んでいる人物は、木村君だけではない。


 また元演劇部員の中にも、山田君を恨んでいる河野君と言う男子が居るのだが、実は山田君の発した言動によって、半年前に河野君の彼女が自殺していたのだ。


 そこには思いも寄らない事件が隠されている。


 それから幸三郎家の離れに上った時に、山田君は重大な過ちをしていた。

 やがて恐ろしい事件の真相が浮かび上がって・・・

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