第27話⁂実父と実母の正体!⁂
タワーマンションやダウンタウンは、ディ-プブル―の夜空に⋆*・☆*
アーチを描いたオーシャンブル-の築地大橋と——
・☆*花火のような色様々なイルミネーションが、墨田川の水面に宝石のようにキラキラと輝き・・✨*。✶
初めて父親と名乗る男と出会った日の事だ。
この時昴は高校1年生の15歳。
そこで一緒に帰宅したこの2人は一体何者なのか?
実は株の個人投資家だと噓を付いておきながら、この父親と名乗る徹は警察官で、42歳のキャリア組の警視正なのだ。
現在は神奈川県の横浜警察署長として、神奈川県に転勤中。
一方の弓枝は現在刑事課の警部補。
女性加害者、女性被害者の増加、性犯罪の多発により近年は女性の採用も急増している。
その為女性殺害犯の事情聴取を、細部に渡り聞き出す役割を、男性では分かりえない、女性ならではの視点で聞き出しているのだ。
こんなエリ-ト家族の弓枝が、何故そこはかとなく不気味なオ-ラを放っていたのか?
また殆どが、東大法学部卒でしめられる選りすぐりのキャリア徹が、何故チンピラ風情の格好をしなければならなかったのか?
そこには恐ろしい事情が関わってくるのだ。
あの夜昴が見たバッグに入った証拠品袋の中身だが、あれは現場に有った微かな物的証拠品でも何かの証拠になるかもしれないと思い、弓枝が現場で見付けて携帯していたのだ。
また徹は家をよく留守にしているが、それは今現在勤務先が横浜市だから仕方ないのだ。
その為しょっちゅうは帰って来れないので、休暇になると車を走らせ、夜遅く帰宅していた。
一方の弓枝は、警視庁刑事部捜査第一課勤務だから日夜飛び回っている。
その為翔が幼少の頃は母が面倒を見てくれていたのだ。
あんなに17歳で妊娠していた事を両親には恐れていたが、、、何ともあっけないものだ。
もう噓を付き通せないと観念して、後はどうなれ全てをぶちまけた日の事。
「お母さん私は徹さんと結婚したいと思っているの、勿論徹さんも一緒の気持ちよ。お母さんどう思う~?」
「な~にを言っているの~?いつもお父さんが連れて来る感じのいい好青年でしょう……?勿論賛成よ!お父様だって絶対賛成よ!」
「……あの~?…実は……もう子供も居るのよ~」
「エエエエエエ———————ッ!何故そんな大事なこと言ってくれなかったの~?」
「……ん~ん……それが~?……それが…実は17歳の高校三年生の時に妊娠が発覚して…生まれたのが……6月だったのよ~……きっとお父さんにバレたら……絶対勘当だけで済まない……徹さんも・・どんな目に合うか分からない……?ひょっとしたら…首になるかもしれないと思って言えなかったの」
「……まあ~?お父さんの様な厳格な人は‥多分???でも私がちゃんと話して置くから」
母が父に全てを打ち明けたのだが、父の態度は殊の外温厚で2人は喜び半分、今までのあたふたぶりは一体何だったのかと後悔しきり。
6月にめでたく双子を産んだ弓枝は、10月採用だったので警察学校でのハ-ドな訓練も難なくクリア出来た。
それでも10月採用なのに、3月から独り立ちして徹のマンションに転がり込んでいたら親に直ぐバレるのでは……?
いえいえ実は、以前父親が仕事の為に買い上げた、ワンルームマンションが有ったのだ。
もう父が使わなくなった為に、放置されているそのワンルームマンションは、学校から近い事もあり、スポーツ特待生の弓枝は、高校生になってからバトミントンに打ち込むためにそのマンションをちょくちょく利用していた。
そこで3月から、ワンルームマンションで独り立ちすると言って、徹のマンションに転がり込んで半同棲状態になっていたのだ。
という事で、あれだけ2人は四苦八苦したにも拘らず、孫を手にした両親の変わりようときたら尋常なものではない。
この変わりようときたら異常だ。
もうデレデレで「アアアア~!俺達はな~んて浅はかな事を~?こんな事になるんだったら最初から全て話しておけばよかった?」
大切な昴の事が悔やまれてならない。
そして仕事の傍ら昴の成長を陰から見守っていたのだ。
父も孫の顔を見た途端に人格崩壊で孫可愛さに「こんな可愛い孫を(ててなしご)には出来ない」との強い思いから、トントン拍子に事が進み結婚と相成った訳だ。
父親が警視庁のキャリアで、この時警視長という事もあり、また夫婦共々警察官という事ももあり、警察官が多数列席してまるで軍隊の様な、荘厳で盛大な結婚式が執り行われた。
それでもそんな大切な翔を、何故あの恐ろしい三郎軒一家の家に送り込んだのか……?
あの翔は一体どういうなったのか?
果たしてもうこの世には存在しないのか……?
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