第25話⁂昴と八代先生と葵ちゃん!⁂
そういえば昴が高校を卒業してからというもの、八代先生と葵ちゃん2人からの板挟みに合い散々苦しめられたものだ。
チョット携帯電話に出なかったり帰宅が遅くなると、門の前で待ちわびて「どこへ行っていたの?私に隠れて葵ちゃんと会っていたのでしょう…?それとも…もう新しい彼女が出来たの?」
一方の葵ちゃんも「昴酷いじゃないの~?どこへ行っていたの?私に隠れて八代先生のマンションに行っていたのでしょう…?それとも…もう新しい彼女が出来たの?」
2人からの執拗な追及と{又会いにいくのでは?}との不安から行く先々で、2人に待ちぼうけをされて昴も一時は、パニック状態に陥ったものだ。
とりわけ八代先生には悩まされたものだ。
「昴、私達付き合ってもう3年以上経つのよ~?それを今更若い娘に乗り換えようなんて………私もう28歳になるのよ、今更私を捨てないわよね~?私不安で不安で仕方ないの……もうだから……この際籍だけでも入れましょうヨ?」
「エエエエ———————————ッ!俺まだ大学生だし……?そんな事したら親が大学費用出してくれないし?」
「後2年半なら私が出すわよ~!いっその事もう大学辞めたら~?ラ-メン店の跡継ぎでしょう?アッそれが良い!それが良い!きっとご両親も喜ぶと思うわヨ~?」
「何言ってんだ?俺の夢は刑事になる事なんだ~!行方不明の北山のおじちゃんと兄の行方を…どうしても知りたい?」
「じゃ~?一緒に生活するってのはどう?」
「…ん~?それは‥それはダメでしょう!」
「何故……何故ダメなの~?言ってよ!言ってよ……!ああああ!やっぱり葵ちゃんとまだ付き合っているんでしょう?」
「付き合っていないヨ!」
「じゃ~?何故……?私とは只たまに会ってセックスするだけの、欲望のはけ口って訳?…アッそうだ!私葵ちゃんに電話して聞いてみる、良いでしょう?」
「ああああああ!……もうイヤだ!もう別れよう?」
「アア?やっぱり葵ちゃんと付き合っているのね?そんな事は絶対にさせないから……あなたの家庭の秘密皆にばらしてやるから?・・・あなたのお母さんが統合失調症で殺人事件を起こしているって事……でもあなたは本当の親子じゃないから関係ないかもしれないけど……?他にも色んな噂が立っているらしいじゃないの?…例えば……骨が埋められていたらしいとか…色々?全部葵ちゃんにばらしてやる!」
「ヤメロ!そんな事……でも?俺も確かに自分の周りから人が消えていくことへの不安と疑問は感じていたさ~?それから確かに現場を…俺も目撃したけど……?それでも殺されたとは聞いていないから?……ぼやけてアアアア……犯人が…思い出せない?……でも…でも…絶対に母じゃなかった?随分高齢…?だったような………また男だったような……?嗚呼あああああ!ぼや~ッとぼやけて…思い出せない?」
そんな時に事件は起きた。
それは八代先生の焦りから起きた事件だ。
昴とは7歳年上で、もう美貌にも陰りが見え始めて来た28歳。
一方の葵ちゃんは花の女子大生で、昴好みのアイドルタイプのカワイ子ちゃん。
その差は歴然だ。
おまけに葵ちゃんはおっとり系でさっぱりしたタイプ。
しつこく追及する事も無い。
でも浮気がバレれば、即刻捨てられる危険性をはらんでいる。
それに引き換え八代先生は、若いイケメン彼氏にいつ捨てられるかヒヤヒヤもん。
こんなイケメンで優秀な男の子を失ったら生きていけない。
昴を繋ぎ止める為ならどんな事もいとわない。
しつこく食い下がる八代先生。
益々昴の気持ちは冷めて行くのだ。
ある日、昴と葵ちゃんの仲を疑い、放っておけばいつ自分より7歳も年下の若くて可愛い、もう自分が逆立ちしても叶わない葵ちゃんに、奪われてしまうか分からない恐怖から、居ても立っても居られず、等々全てを電話で話してしまったのだ。
勿論英語の授業も受け持っていたから、携帯番号もしっかり把握している。
葵ちゃんの性格を嫌と言うほど熟知していた先生は{きっとあの葵ちゃんの事ならアッサリと昴を捨ててくれるに違いない!}
今まで裏切り行為をした彼氏を、何人も許せず袖にした経緯を聞いて、男子生徒の相談に乗っていた先生は{今回もご多分に漏れず昴は捨てられるに決まっている!}
そう高をくくっていたのだ。
所が葵ちゃんは、一見イケイケ女子で発展家に見られていたが、昴が初めてだったのだ。
その昴に処女を捧げたにも拘らず、裏切られたショックは計り知れないもので、等々自殺未遂を起こしてしまった。
あれだけ先生とは何も無いと言っていたにも拘らず、{先生とも関係を持ちながら並行して私を抱いていたなんて許せない!不潔!私を弄んでいたの?酷い男!}裏切られたショックで睡眠薬を煽ってしまったのだ。
思い詰めた葵ちゃんは睡眠薬を大量摂取した為に、一時は昏睡状態に陥った。
昴はショックと愛する葵ちゃんを、何としても助けたい一心で、毎日毎晩見舞いに訪れている。
そんな昴の執念が届いたのか無事に元気になった葵ちゃん。
お互いが死ぬほど思い合っていた事に気付き、今回は許して貰えた昴なのだ。
こんな結果になろうとは、想像もしなかった八代先生は、浅はかで自分の事しか考えなかった自分を心の底から反省して、泣く泣く身を引いた。
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