第20話⁂琉生の胸の内!⁂
琉生は現在東京六大学、H大学3年生。
ある日いつものように、大学の帰りに男の子を祖母宅に誘い込み、いつものルーティンを行っていると、どこで不振な行動を嗅ぎつけたのか、何の前触れもなく急に父親が、部屋に上がり込んできた。
ビックリした琉生は、(折角これから又いつものようにお酒に睡眠薬を混入して残虐に殺害した挙句、屍姦しようと思っていたのに……?)
欲望を抑えきれない琉生は””カ———ッ!””となって今自分が何をしているか分からない程に苛立ちと興奮を抑える事が出来ない。
そして自分の傍にあったハンマーで父を殴り付けた。
すると父親が、頭から血を流しながら勢い良く””バタン””と倒れる。
鮮血を見て「ああああああああ!キ・レ・イ!」
興奮する琉生だが…ふと我に返る。
「ああああ!あああああ!微かに残る………そういえば……父……父だけは…どんな時も……俺の心の隙間に……入り……ああああ!抱きしめてくれた……いつも………どんな時も……俺の味方」ハッと我に返った琉生なのだ。
幾らケダモノになり下がったと言えども、幼き日に、堪え切れずに人知れず涙していると……どこからともなく現れ「どうした~?琉生」
どんなに忙しくても、ふと笑顔で現れ抱きしめてくれた父親を思い出した。
「ああああああ?俺は……嗚呼~?俺はなんて事を~?」
過去の思い出が走馬燈のように蘇ったのだ。
それはどういう事かと言うと?
幾ら忙しいからと言っても、こんな仕事人間の父でも、しっかり父親としての役目を果たしていたのだ。
おぼろげに……あれは確か……?まだ琉生が三歳ぐらいの頃だろうか?
あんなに忙しい父親だが……いつも決まって日曜日の夜中に琉生を連れ出してくれていた。
明日が定休日という事もあり、よく連れ出してくれたものだ。
仕事で疲れ切っているにも拘らず、よく夜中に叩き起こされた事をしっかりと覚えていた。
子供ながらに(こんな時間にまったく~?)と眠い目をこすりながら付いて行ったことを覚えていた。
車であちこち連れて行ってくれたのだが、ことのほか鮮明に覚えているのが、養沢川周辺(東京都/あきる野市)
シ~ンと静まり返った静寂の中に**・。☆一瞬にして闇夜から現れる幻想世界⋆*✶それはまるで満点の星屑のようにキラキラ✨舞うホタルたち。
余りの美しさに……一瞬ホタルに乗り移って闇夜を飛び回っているかのような⋆*・そんな錯覚を覚えた事を、昨日の事のように思い出す琉生なのだ。
都心からそう遠くない場所にある別世界・養沢。
緑深い山の中、この贅沢な夏の夜を父の背におぶられながら幾たび訪れた事か……?
それから———あれは確か琉生が5~6歳ごろだろうか……?
父もいつの間にか、何とも言えない……どことなく………深い闇?陰?を放つ琉生に不安を感じ(俺がかまってやれなかったから、寂しさも手伝ってこんな暗い子供になったんだ!)自責の念に苛まれて、疲れた体に鞭打って無理も承知の上で出掛けていたのだ。
そこで小動物好きの琉生の為に、とりわけあの当時琉生が欲しがっていたカブトムシ取りに出掛けた。
あの当時琉生はカブトムシ取りに出掛けるのが楽しみで、父が店を閉めるのと同時に母の琴美に店まで送って貰い、深夜にも拘らず野山に出掛けたものだ。
デコボコしたクヌギやコナラといった樹木の広葉樹から染み出る樹液を吸っているカブトムシを捕まえ大はしゃぎの琉生。
琉生にもこんな幸せな瞬間が有ったのだ。
「嗚呼~?俺の考え過ぎだったんだ!」
ホットして胸を撫で下ろす幸三郎。
まだ小さいのに、父親のやる事にはなんでも挑戦したがる琉生には、感心させられたものだ。
例えばパチンコや魚釣りにも「僕も行く!行く!」とよく付いて来た。
それは只々休みの日だけは一分一秒たりとも父から離れたくない一心の、琉生の気持ちがそうさせたのだ。
今考えると子供ながらに(直ぐに暴力を振るう怖いおじちゃんと、すっかり母親を忘れて女として生きて行く事しか出来ない、どうしようもない母親から一刻も早く逃げ出したい)
その一心だったのだろう。
また北山と琴美からは「ここであった事をお父さんにしゃべったら、また痛い目に合うからね!」と釘を打たれていて、辛い思いを告白も出来なかった。
自分の逃げ場を失った琉生は、子供ながらに自分では抱えきれないほどの辛い思いを抱えていた。
その為一刻も早く母親から逃げ出して、唯一の休息の場所である父の胸に飛び込み 一週間分の愛情を一心に浴びて明日からの悲しい日々に備えていたのだ。
こんなどうしようもない殺人鬼、シリアルキラ—達は幼少期に親から、想像も付かない程の酷い虐待や母親が売春婦だったケースが、非常に多い。
当然一概には言えないが?
遺伝的要素もあるだろう。
又持って生まれたその子供の素養も大きいだろう。
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