第21話⁂燃え盛る炎!⁂
琉生は父親を傍に有ったハンマーで殴り付けはしたが、ハッと我に返り途中でやめて、今日、本屋で会ったばかりの木下と名乗る男の子と、祖母の家を足早に出た。
「俺全くビックリしたよ!…急に人が入って来たので…?二階はもう何年も空き家になっていたから泥棒かと思って傍に有ったハンマーで殴っちゃったんだ………ああああ!………実は父親なんだよ~俺心配だから…今日はもう帰ってくれない?」
「ああ!分かったよ、じゃ~ね!」
そう言い残し木下と名乗る男の子は去って行った。
そして急いで二階に上がった琉生は「パパ!パパ!しっかりして!起きてよ~?」と言いながら揺すり起こす。
幸い軽い脳振盪で済んだのだが、一応病院で検査を受け一週間の静養ののち、又仕事復帰を果たした。
家族は忙しい最中に恐ろしい現実を知ってしまい、どうしたら良いものか?考えあぐねている。
(この恐ろしい現実を何としても脱却しなくては……?)と死に物狂いで暇を見つけては連日連夜話し合いを続けている。
一方の琉生はあんな事件が有り、もう祖母宅には忍び込めないと観念して暫くはおとなしくしている。
それでも、あれだけ琉生を散々虐め、邪険に扱っていた北山が、最近はすっかり打ち解け合い、琉生の格好のカネズルとなっていた。
そんなある日の事、いつものように北山から「何処かで美味しい物でも食べないか?」と誘われた。
ドライブがてら夜のハイウエーをユーミンの♬中央フリ―ウェイ♪をかけながら走り抜けていく。
暫く走らせていると小じゃれた中華料理店が目に入った。
そこで食事を取った後「琉生これからどこに行きたい?」
「おじちゃん僕が高校生の時に、通学の為に使っていた渋谷区のラ-メン倉庫に行きたい!」
「だけどあそこ、もう高校卒業したから入れないだろう?」
「大丈夫!しっかり鍵持っているから」
「可笑しい子だな~?あんな倉庫何が楽しいんだ~?」
「いいんだよ!懐かしいから」
何故こんなにラ-メン倉庫に行きたがるのかというと……。
琉生は最近両親の執拗な監視で、身動きが取れない状況なのだ。
それでも青少年を絞殺し、その後に屍姦、死体切断、人肉食を行う。
その突出した残虐行為を止める事が出来ない。
血が騒ぐのだ。
「ああああああ!抑えきれない……嗚呼~!アアアアアアアア!我慢できない!」
もう街中で男の子を誘う事も出来ない。
親の目が光っているから……。
そこで最終的に行き付いたのが、北山のおじちゃん。
もう祖母の家には出禁になっているので、渋谷区のラ-メン倉庫でしかあの残虐行為は行えない。
それでも以前、母親が二階のラ-メン倉庫で猫やネズミにウサギ、更にはシマリスなどがホルマリン着けにされて居たのを見て、出禁になっていたのでは?
そうなのだ。
だが、北山と一緒なら問題は無い。
それはそうだ。
忙しくてかまってやれない父親に代わって、第二の父親代わりで大切にしてくれる北山とだったらどこに行こうが問題は無い。
感謝してもし切れないと思っている幸三郎なのだ。
まさかあんなオジサンにまで手を出すとは到底思えない。
それからあれだけ分別のある優秀な男が、たかが20歳そこそこの若造にそんな目に合うなど到底考えられない。
(琉生は北山を第二の父親と思い慕っているだけの事)そう思っていた。
そして二人はラ-メン倉庫の二階に上がって行った。
二人はお酒を飲んだりテレビを見たりして束の間の自由を謳歌している。
北山はほんの一瞬でも、こうして疑似親子体験が出来て夢心地だ。
(ああああ!可愛いな~俺にもこんな思いが出来る日が来るなんて・・・夢のようだ!)
一方の琉生は{ああああ!……久しぶりにアアアアアア!・・ゴックン👿嗚呼~!血がアアアア!・・騒ぐ…俺を苦しめた・・こいつの……嗚呼~解体は・・・憎しみの分だけ・・余計に血が騒ぐ…ああああああ!}
そして隠し持っていたダンベルで残虐に殴り付けた。
””ピシャ———ッ!””血しぶきが吹き出るが、なおもダンベルで北山に投げ付けている。
だが、その時むっくりと起き上がった北山は、傍に有った箱型パソコンを勢い良く琉生の頭目掛けて投げ付けた。
「ギャギャ——————————————ッ!」
その後二人はどうなったのか……?
だが、そのラ-メン倉庫は真夜中に勢い良く炎が燃え上がった。
火の不始末が原因なのか?
それとも誰かの手で放火されたのか?
夜中に勢い良く炎が燃え上がり、燃え盛る炎の中から一体の丸焦げになった遺体が見付かった。
一体その遺体は誰だったのか?
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