第13話⁂琉生の異常性⁂
三郎軒の店主一家幸三郎夫婦は、結婚当初は幸三郎の実家での、新婚生活が始まった。
まだ生活の安定しない三郎軒一家は、仕方なく結婚当初は幸三郎の実家に身を寄せていた。
琴美は性格のキツイ姑に散々泣かされ通し。
そんな時に琉生を身籠った。
姑との折り合いが悪い琴美は、琉生を妊娠中に情緒不安定気味で、更には激しいつわりにも悩まされ、医師からバルビツールなどの投与を受け、妊娠中にもかかわらず一日あたり26錠の錠剤を服用していた。
医師からも難色を示されていたにも拘らず、薬物依存になってしまった琴美だが、幸せな事に無事に琉生は誕生した。
それでもあれだけ口うるさかった姑も、初孫誕生に今までとは打って変わって嫁への態度も緩和されて行った。
そんな時に、勤務するファストフード店の店長を任された幸三郎は、店舗移動の為に、実家を出てアパ-ト住まいになった。
そして元々腕に自信のあった幸三郎は、独立を決意して岩手県の人気ラーメン店に、修行に出掛けたのだ。
やっと幸せな家庭生活を送れるようになった母子だったのだが、あの北山と言う男のせいでガラリと生活が一変して行く事になるのだ。
それは北山の、琉生に対する容赦ない暴力と暴言の数々。
それと母の生々しい女の部分を、嫌と言うほど見せ付けられた琉生は、精神的な安定を欠いた少年として成長することになるのだ。
6歳の時、琉生は1日中ぼさっと座って動かなくなるという、不思議な行為を見せるようになる。
このような歪んだ家庭環境から、琉生は幼少時からほとんど笑わない、不気味な少年に変貌して行った。
その為、小学校の心無い悪ガキ同級生から、性的な虐待を受けてしまったのだった。
それは小川で真っ裸にされて股間を乱暴にしごかれて、小川に突き落とされるという酷い暴挙。
幸三郎夫婦は「可愛い息子に何て事をしてくれたんだ!」
暴れてその子の家に怒鳴り込んだが、双方の両親が話し合い、今回は警察には不問ということになった。
父親は店を出したばかりで一番大事な時期。
仕事人間で年がら年中ラーメンの事しか頭にない。
母は北山との愛欲に溺れ切っている。
家庭にも学校にも完全に居場所を失った琉生は、不気味な少年へと変貌して行った。
小学校時代には、物静かでふさぎこみがちな一匹狼として知られ、その不気味さは更に増すばかり。
それは昼夜を問わず一人で森をぶらぶらして、小動物の死骸や変死体に異様に高揚し探して過ごす琉生なのだ。
家族もまさか琉生が、そんな事に興味を示していようなど、努々思ってもいない事。
琉生は動物好きだから森を散策するのだと、良い方向に考えて興味のある事は伸ばしてやりたいと考えている。
そして父から、昆虫採集用の科学薬品セットをもらった琉生は夢中になり、何やら森中から拾って来るのだった。
それは何と猫や鼠の死骸。
猫やネズミをホルマリンの瓶に採集して回ったのだ。
小動物の死骸を強酸で溶かし、白い骨を取り出すのが面白く、事故で死んだ動物の死骸を集めて回っている琉生。
犬や猫のほかに、シマリスやアライグマ、さらにはゴキブリやクモのような虫の死 体も集め、それらの死体をホルマリン入りの瓶に詰めて保存している。
更には死んだ動物の首を木の枝に突き刺すという、残忍な行為まで行っている。
それでも生きた小動物や昆虫に対する虐待は、行わなかったので、今考えると、それだけが救いだ。
彼自身のネクロフィリア(死体に性的興奮を感じる異常性欲。死体性愛。屍姦症)の兆候はこの時すでに始まっていた。
琉生は女性には全く興味が湧かなくなっている。
{一体どうしたんだろう・・・?}
その苦悩と孤独を紛らわせるため、隠れてアルコールに逃避することも覚えてしまった。
益々危険な琉生。
一体どうなってしまうのか???
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