第11話⁂昴誕生経緯!⁂

 昴は遠い過去に思いを馳せて…………。

 それは3歳くらいであろうか?

 ぼ~んやり思い出す事があるのだ。

 でもそれが現実なのか?はたまた只の悪夢なのかさえ分からない程の、幼い日の事なのだ。


 あの時は母琴美が(ルイ・・・だったと思うが……?『ルイ兄ちゃんと仲良くお留守番していてね?』と言って随分年の離れた男の人?少年・・・?今思うと多分?高校生ぐらいのお兄ちゃんと留守番させられていたような???すると決まって……?

『子供は見ちゃダメだから!』と奥の部屋の鍵を掛けられて…暫くすると???ドスン〷ψΨ//xx//バタンΨ//〷///x//と物凄い・・・誰かに暴力を奮っている音なのか?『ヤヤヤ ヤメテクレ———ッ!』と叫ぶ男の声がよく聞こえていたような・・・?そんな事が続いたある日、偶々うっかりカギを掛け忘れたのか………?冬だというのにやたらと熱いので・・・その方向に幼子ながらに導かれるがままに歩いて行ったんだ・・・余りにも温かいので…戸を少しだけ開けて中を見ると炎が上がり誰かが焼かれて……???ああああああ!嗚呼!アアア———ッ!怖い!怖い!怖い!・・・でも?子供過ぎてあれが本当の事なのかすら分からないんだ?・・・あの少年は一体誰だったのか?・・・いつの間にかあのお兄ちゃんは居なくなってしまったが、どこに行ったのか?)


 昴は時々この悪夢に苛まれている。


**********************


 15年以上も前の事になる—————

 昴がお腹に宿っていると知った昴の実母17歳Aは、厳格な家庭に育ったお嬢さんで、尚且つ父親が警察官の幹部で警視正。


 日頃から色んな難事件を解決している父親を尊敬し、憧れていたAは、スポ-ツ万能で動き回る事が大好きな少女。

{人の役に立ちたい、それには警察官!}

 自然と警察官への憧れが湧いて来ていたのだ。



 その時付き合っていた9歳上の彼が居たのだが、まさか赤ちゃんが出来て居る等努々思わず試験を受けた。


 父親からは「大学卒業してから警察官になってもいいんじゃないか?」

と口が酸っぱくなる程言われていたのだが、勉強があまり好きではないAは、一刻も早く憧れの警察官になりたくて高卒で受験した。


 そして夢にまで見た採用試験に合格したのだが、何かお腹の張り、腹痛、更には何かお腹が出て来たような?体調に違和感を感じて病院に行ったのだ。


 すると「オメデタです!」の言葉に愕然となったA。

 まさか赤ちゃんが出来ていよう等………。

 ちゃんと避妊対策も万全だったつもりだが………?


 父は警察官の幹部、もしそんな事が分かったら半殺しの目に合う。


「この野郎!俺の顔に泥を塗るつもりか———ッ?警察官になりたいと思っている人間が全く不届き千万!出て行け———ッ!」

あの父の事なら絶対に勘当されると思い、怖くて言えなかったのだ。

それどころかもう中絶する事も出来ない、妊娠中期以降に差し掛かっている。


「ああああ!どうしよう?もう生む手段しか残されていない!ああああ!困った!やっと夢にまで見た警察官になれるのに~!嗚呼どうしよう?」


 もう出産の道しか残されていない!Aは産む事を決意せざる負えない状況に、追い詰められた。


 どんな事をしても警察官になりたかったAは、その当時からラ―メン界きっての貴公子と持て囃されて、チョクチョクテレビ出演を果たしていた、腕の確かなこの男に目を付けたのだ。


 たとえ捨てられた子供でも、食うに困らない稼ぎの出来る男である事を確信して、三郎軒の店先に捨てたのだ。


 それでも子供にして貰える確率は低いのでは?


 いえいえ、その当時から「子供は欲しいがいない!」と言っていたので、捨てるならあの店しか無いと思い捨てたのだ。


 また社長の幸三郎も何故?琉生という息子が居るのにそんな事を言ったのか………?

 そこには深い事情があって、琉生は祖父母宅で一時生活していた。



 そしてAは父親が怖いあまりにバレないように、また世間の目を欺く為に、彼に訳アリ妊婦が受診できる病院、要は闇病院を探してもらい無事出産した。


 朝露で銀のように光る、草花の生き生きとした生命力の美しさに、一瞬目を止めて………そんな6月某日、三郎軒の店先に生まれたての赤ちゃんを捨てたAなのだ。






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