第6話⁂母親と名乗る女?⁂
昴はスポ-ツ万能で天真爛漫なクラスの人気者だが、人知れず隠れては自傷行為にふけっている。
その行為は、2年前のコスモスが燃え立つ炎のように揺れる秋の、あの電話から始まっている。
それはあの女の存在によってもたらされる事となるのだ。
時たま襲ってくる悪夢。
(一体俺は何故こんな夢を見るのか?ああああ!アアアア!苦しい!)
それはいつの間にか頻度を増して襲い掛かって来る。
(ああああああ!ううううう~!ガ———ッ!ああああ!今日も真っ赤な炎が勢い良く爆発して、その塊が物凄い勢いで襲ってくる夢を見た!一体何なんだ?何かが焼ける???それは……?人なのか……?ああああ!怖い!怖い!怖い!)
そしてその恐怖から逃れるために、家にある使い捨てライターでスポーツ焼けした健康的な黒褐色の腕をじりじりと焼いている。
(ああああ!こうしている時だけが嫌な事から解放されてスッキリする!命を絶とうとは思わないが、死んだらどんなに楽か~?)
こんな天真爛漫な人気者でみんなの憧れの的の昴に、自傷行為をする程の深い闇があるとは到底考えられないのだが?
この行為を行うきっかけとなったある日の事だ。
””トゥルルルル トゥルルルル トゥルルルル トゥルルルル””
「アッ!やっと繋がった!…………アッ・・あの~?三郎軒の次男のす・ば・る……昴君ですか~?・・・携帯番号が分からないので、有名な三郎軒の社長の名前はテレビでも度々耳にしていたので電話帳で調べたら直ぐ分かりました。……それで自宅の電話に掛けていたのですが、やっと繋がった!」
「ハイ!昴です。僕に何か御用ですか?」
「( ノД`)シクシク…ワァワァ~~ン😭私は今から15年前……( ノД`)シクシク…あなたをワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭三郎軒の店先に……( ノД`)シクシク…捨てた悪い母親です。あの時私は17歳であなたを妊娠して...私生児のあなたをどうしても育てる事が出来なかったの!・・・私もまだ高校生だし・・身を切る思いで捨ててしまったの!( ノД`)シクシク…ごめんなさ~い!………あの~?・・・ひとめ………一目だけでも会いたいワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭会って下さい!お願い!」
「そそっそんな事を言われても今更~?」
「じゃ~?携帯番号だけでも教えて!お願い~!」
「もう?仕方ないな~?090-○○○-○○○……じゃ~これで?」
ある日学校の校舎の前に謎の女性の姿が………。
スラリとした長身美女で、ド派手な如何にも水商売風のその世界にどっぷりと染まった、年の頃はどう見ても30代前半にしか見えない女性の姿だ。
何か怪しげなその風貌は辺りを不気味に………一気に深い闇に誘い込むような、何とも言えない独特の世界観を創り上げている。
この女は一体誰なのか…………?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます