第3話⁂悲劇の幕開け!⁂
1993年6月某日
朝露で、銀の雫が光り輝き✯✯✯それは透明なコバルトブルーの、キラキラ光るまるで海と銀河のしずく💧
そんな朝露がキラキラ輝く朝に、まだその当時はラ―メン店三郎軒は南砂町の駅前に一軒だけだった頃の事だ。
当時35歳の幸三郎は、朝方ラーメンの仕込みをしようと早々と店にやって来た時に、赤ちゃんの泣き声に気付き慌てて駐車場から店に向かった。
すると店先にタオルケットに、くるまれた赤ちゃんを発見。
びっくりした幸三郎は直ぐに琴美に電話をした。
実は当時、既に、この家族には14歳の息子琉生がいたのだが、2人目の赤ちゃんを授かる事が出来ずに諦めかけていた矢先の事なのだ。
実はこの琉生は反抗期という事も有り、時折不審な行動をとる事も有った為に、夫婦は精神的に追い詰められていたので、あえて兄弟の誕生に消極的になっていた感も否めない。
可愛い息子琉生の事で諸々の悩み事を抱えていた2人は、これはきっと窮地を脱出する為の神からの贈り物に違いない、それだけ切羽詰まった状態だった。
そしてこの生まれたばかりの赤ちゃんを引き取り育てた。
それが昴なのだ。
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笑門来福(しょうもんらいふく)
笑う門には福来る
いつも笑っていて
笑顔を絶やさない人のところへは……
福、つまり幸せがやってくるよという意味
素敵な言葉。
1979年1月3日🎍
こんなめでたい日に誕生した琉生は、当時21歳の幸三郎と高校の同級生琴美との間に出来た長男。
2人の喜びはいかばかりだった事か。
琉生もすくすく成長していったのだが、その当時ラ-メンの修行の為に地方に出掛けていた幸三郎はほとんど家に居ない。
妻の琴美はそれをいい事に、3歳になったばかりの琉生を鍵のかかった部屋に一日中放置する事も多かった。
じゃ~?琴美はどこに行っているかって?
実は高校時代に琴美は、本命の男子生徒で成績優秀な北山君にフラれていたのだ。
成徳高校きっての美人をふった男こそ、結婚した今現在琴美が会いに行っている男なのだ。
何故フラれたのに今更???
それが男の心理。
逃がした魚は大きいとはよく言ったもので、失って初めて琴美の存在の大きさに気付いたのだ。
当時は携帯電話などなかった時代、修行の為に岩手県の人気ラ―メン店に修行に出掛けている事を知った北山君は、待っていましたと言わんばかりに電話攻勢。
最初は琴美も突っぱねていたのだが、一流大学卒業のイケメンで商社に内定したばかりのエリ-ト中のエリ-ト。
方や夫の幸三郎は、まだ海の物とも山の物とも分からない高卒のラ―メン職人。
比べてみれば天と地程の差があるのだ。
そんな憧れの商社マンに頻繫に誘われて断れる女性が居ようか?
それに尚且つ、超イケメン。
琴美はすっかり北山君にハマって行った。
それでもまだ3歳になったばかりの坊やを、度々ほったらかしてはおけない。
そこで当時はまだアパ-ト住まいだった、幸三郎と琴美のアパ-トに半同棲状態で転がり込んで来た北山なのだ。
まだ小さい琉生は甘えたい盛り。
「ママおんもに行きた~い!」
だが、北山にすると、まだ若い身体を持て余して暇さえあればセックスをしたい盛り。
欲望に任せて求めるばかりなのだ。
子供が邪魔で仕方がない。
「このうるさいガキが———!」
まだ小さい坊やを蹴り倒し、殴り付けるのだ。
まだ赤ちゃんに毛の生えた幼児の琉生は、怖くて怖くて蜂に刺されたかの如く「ギャア―ギャア―」泣き叫ぶのだった。
琴美は助けようとはするが、このイケメンエリ-トをどんな事をしても失いたくない、もっと言うなら(いつか結婚して貰えるかもしれない?その為なら琉生が例え死ぬ事になっても仕方ない!この北山に捨てられたら私は生きていけない!)
北山に身も心も奪われている琴美には、琉生の虐待など目に入らないのだ。
北山が全て。
いよいよ悲劇の幕開け。
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