第2話⁂事件の真相?⁂
赤や黄色のカラフルな色彩の綿雪を、辺り一帯の山々に散らしたような、深まりゆく美しい自然のキャンパス。
***そんな2010年11月。
正確には10月31日の夜、山田隆君は何者かによって体育館の倉庫で殺害された。
あの日山田君は卓球部の副部長という事もあり、顧問の八代先生と全国高校選抜新人合宿が、11月30日から12月2日まで行われる為の打ち合わせに、いつもの打ち合わせ場所の体育館脇の事務室に向かった。
その時に、いかにも誰かに気付かれては困ると言わんばかりに、大木に隠れて何やらひそひそ話をしている先生と生徒を目撃した。
人間と言う者は可笑しいもので、秘密にすればするほど聞きたくなるもの。
山田君はこの星友学園きってのモテ男山本昴と、男子生徒全員の憧れの八代恵子先生2人の只ならぬ様子に、{あの様子は普通ではない。あの先生の切羽詰まった、まるで愛しい男を見る目、絶対何かあるに違いない!}
どんな事をしても2人の話を聞き出したかった山田君は、かなりの近距離の物置小屋の陰に隠れて、聞き耳を立てて聞いている。
何故そこまでするのかというと、山田君も実は、恋愛とはまた別の憧れ………?
(こんな大人の女性なら良いな~!)
八代先生を密かに思い焦がれている、隠れ八代信者なのだ。
「あなたが高校を卒業さえすれば私達は、何の弊害も無く付き合えるのよ!だから
葵ちゃんとは、付き合わないでお願い!」
「僕は……僕は……そんな事嫌です!」
「何を言っているの?あの日私達は一つになったじゃないの?学校側に知れたら懲戒免職処分が下されるから、あれっきりになっているけれど、もう少しあともう少し1年ちょっとで卒業じゃないの。それまでは女の子とは付き合わないでお願い!ウウウウッ( ノД`)シクシク…」
「僕は葵ちゃんの事が・・・・」
””ガサガサ バッターン””
何と山田君が立て掛けてあったフェンスを倒してしまった。
勢い良く逃げる山田君。
「アアアア————!何て事を!こんな事が噂になったら私は首を宣告される!」
「僕だってどんな目に合うか?」
その事件から5日後に山田君は、変わり果てた姿で校舎裏の倉庫から、マットにグルグルに巻かれ遺体で発見されたのだ。
八代先生は女性だからこんな大仕事など出来る訳がない。
だが、先生は大柄でスポーツで鍛え上げた身体が有るから???
それから…八代先生は、懲戒免職という重い処分が下される可能性は大きいのだが、一方の昴は18歳未満だから大した処分は下されないのでは?
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山田君が無残な死を遂げた事によって昴の彼女?葵ちゃんには、先生との関係を知られずに済んだ昴は一安心している。
(まだ彼女ではないが両想い!)
「スバル———!待って~!一緒に帰りましょう」
「ウフフ そうだね!」
「ところでさ~!八代先生と昴が付き合っているって山田君が親しい友達に話していたらしいよ?それって本当?」
「アハハ!そんな事デマに決まって居るじゃないかアハハ!アハハハ!」
「でも~?一つになったんでしょう?それって関係を持ったって事でしょう?」
「違うよ!絶対違うから!」
「じゃ~?私の事どう思っているの?いつも一緒に帰るのにまだ友達以上恋人未満?もうこの際だからハッキリ言って!」
「アア~!ずっと前から葵が好きだったよ!」
「例え間違いでもあの先生とそんな噂が立つなんて・・・?じゃ~!私を好きだったらその証拠に私にキスして!」
「ああああああああ!アアアア————!嗚呼!うるさい!ウルサイ!うるさい!先生が怖い!しつこい!俺を付け狙っている!怖い!怖い!もうバカな事を言うな!」
昴はわめき散らし、うずくまり頭を抱えている。
こんな常軌を逸した、喚き散らす昴を見たのは初めてだった葵は、ショックの余りその場で泣き尽くした。
一体何があると言うのか???
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