第24話 スキルアップは大切です
朝になりました。
「うおっ、待機室にオークが居やがる」
「俺も驚いたよ。でも良い匂いがするんだよな。久しぶりに花を買いたくなったぜ」
「オークって臭くないとこんなに印象が違うのね」
ティアがそう言いました。
「洗うのに数時間かけましたから。実にいい仕事をしたと思ってます」
「人をいやらしい目で見ないのもポイント高いわ」
「人は襲わないよう命令してあります」
「戦力になりそう」
うんうん、オークさんは好評のようです。
やっぱり匂いは重要です。
オークさんの目下の仕事は社員寮の警備です。
タス君もいることですし、大人が誰か居ないと。
オークさんには不審者は無傷で捕らえるよう言ってあります。
オークさんを社員寮に案内して、ロックリザードの納品を終えました。
今日は何の依頼をしましょうか。
ギルドに行って依頼の掲示板を見ます。
むっ、タス君の依頼があります。
魔法を教えて下さいとあります。
銅貨10枚です。
付箋の魔道具を確認します。
しまった今日は高額依頼を受ける約束です。
タス君の依頼を受けてやりたいですが、どうしましょう。
閃きましたマニュアル作りましょう。
それをギルドで販売してもらうのです。
ギルドの会社は全国にあるはずなので、莫大な売り上げになるはずです。
「ちょっと、約束が違う」
タス君の依頼票を持ってドミニクに出すとそう言われました。
「待って下さい。マニュアルを作成します。マニュアルを作れば会社にとって利益になるはずです」
「手引書を作るのよね。題材は何?」
「魔法です。魔法のマニュアルを作ります」
「それを読んだら魔法が使えるようになるの? そんな、馬鹿な。都市伝説の魔導書じゃないんだから」
「作れます。マニュアル作って10年の実績があります。徹夜を10日もすれば出来るはずです」
「凄い自信ね。まあ良いわ。駄目だったら、今度こそ私が指定した高額依頼よ」
「ええ、約束します」
作れないマニュアルは存在しないはずです。
物事にはなんらかのノウハウがあるものです。
ただ、言語化するのが難しいだけで。
実際に10日も徹夜で作業をやれば糸口ぐらいは見つかると思います。
「魔法教授の依頼を受けてきました」
声を掛けタス君の部屋に入ります。
「なんだ小父さんかよ」
「今日はタス君が依頼主です。頑張って魔法を覚えましょう」
「私にも教えてくれるのよね」
「ティアも居れば実験がはかどりそうです。是非、聞いて下さい」
「小父さんなら出来る気がするよ」
「まずはこれがいいですか。
水がコップの中に現れます。
「
「
タス君とティアのコップには水滴一つありません。
何が不味いのか。
発音は問題ないように思います。
ふむ、私は睡眠学習を受けています。
違いがあるとすれば知識の差でしょうか。
頭の中にある水を作り出す知識を思い出しますが、該当するものはありません。
はて?
言語は日本語の言葉を思い浮かべるとこの地域の言葉が浮かびます。
言語の知識は頭の中にあって、魔法の知識は無い。
ふむ、もしかして。
私は炊事場にタス君とティアを連れて行き魔道具コンロの火を点けました。
「なに?」
「えっ、私にも分からない」
「ヤカンの中を良く見て下さい。今、水を入れます」
さっき水を出したコップから、ヤカンに水を注ぎます。
「それで」
「もったいぶらないでよ」
「沸騰しはじめましたよね」
「うん」
「そうね」
「このままにしておくとどうなると思います?」
「えっと、無くなる」
「私もそう思う」
「ですよね。ヤカンから湯気が出ていますよね。空気に溶けていっています」
「うん、そうだね」
「そうね」
「水は空気に溶けるのです。だから常にあるのです。さあ、魔法を試して下さい」
「
「
タス君とティアのコップに水が入りました。
なるほど。
仕組みが分かってないと出来ないと。
では、聖なる光は何なんでしょう。
ふむ、聖なる光を出す時に私は何を考えたでしょうか。
太陽の光をイメージしました。
知ってますか。
ロムという記憶媒体があって、紫外線でリセット出来るタイプの物があります。
紫外線でプログラムをリセットできるのです。
太陽光には、紫外線が含まれます。
ただの光じゃなくて紫外線を含む光。
聖なる光の正体が紫外線を含む光なのかは分からないですが。
なるほど、イメージが大事なのですね。
イメージを持っていたから行使できた。
そう考えるのが一番ありそうです。
さて、どうやって説明しましょうか。
「ふむ、
プリズムを氷で作りました。
「見てみなさい。光が色んな色に分かれていると思います」
「不思議」
「綺麗」
「赤い光から紫の光まであるのが分かりますね」
「うん」
「そうね」
「実は赤い光と紫の光の外にも光は存在するのです。目には見えませんがあるのです。これが太陽の光です」
「小父さんの言った事なら信じる」
「なるほどね。聖なる光は目に見えない光も含むのね。道理でイメージできないはずだわ」
「さあ、やってみて、
「
「
ふむ、教育とはこんなにも偉大だったのですね。
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