第14話 地獄の研修の始まり
地べたで寝ている元ゲリラ達を起こします。
さあ、仕事に行きますよ。
タイムカードの退社を押してからすぐに出社を押します。
こうしておかないと勤務の計算が出来ません。
前に文句を言われて酷い目にあった事があります。
森に行くと既に薬草はゴブリンの手によって集まっていました。
お礼に露店の食べ物を食べさせます。
さて、地獄の研修の始まりです。
「では、元ゲリラの皆さん。端から番号をどうぞ」
「誰が言うかよ」
「ほら、言ったじゃない。反省なんかしないわよ」
これは手が掛かりますね。
いや仕事が増えて嬉しい。
「連帯責任です。腕立てしなさい命令です」
「くそっ、体が勝手に」
元ゲリラ達が腕立てしていると、ゴブリンさんの食事が終わりました。
「腕立て止め」
「はぁはぁ、くそう後で覚えておけよ」
「では番号を」
元ゲリラはだるそうに点呼をしはじめました。
「全員で15名ですか。では5人ずつで班を作って下さい」
元ゲリラはしぶしぶと従います。
「ラジオ体操を始めます。私の動きをまねて下さい」
「けっやってられっか」
「連帯責任です。あなたの班は全員、腕立て伏せ100回。命令です」
「このやろう。迷惑かけやがって」
腕立てを終わった後に歯向かった人がボコボコにされます。
私はポーションを作り始めました。
「飲みなさい」
「すまねぇ。こんな俺の為に」
「怪我を治して企業戦士としての務めを果たしましょう」
「なんか分からないけど無茶苦茶ね」
ぎこちない感じでラジオ体操が終わりました。
初めてやったのでしょうか。
それにしても酷い。
「仕事は常に全力で。全員腕立て100回。命令です」
元ゲリラ達はふらふらになって腕立てします。
「次は挨拶の練習です。私の言った事を繰り返して下さい。おはようございます。いらっしゃいませ。ありがとうございます」
「あのー、これにどんな効果が」
反抗せずに質問とは成長しましたね。
「大声で躊躇せずに挨拶できるようにです。しかし、質問は許してません。あなたの班は腕立て伏せ100回。命令です」
「この調子だと先は長そうね。でも何か楽しいわね」
「さあ、残りの班は挨拶です」
元ゲリラがしぶしぶと挨拶します。
「声が小さい。一番声の小さかったあなたはティアを載せて腕立てしなさい。全員腕立て100回開始。命令です」
「えっ、載るの。触ったらしばき倒すからね」
腕立て100回が出来ない者が出てきました。
「お尻、触ったわね」
ティアがげしげしと元盗賊を蹴りまくります。
ポーションをもっと作っておかないといけないかも知れません。
「腕立て出来なかった者の班は100回スクワット。命令です」
「ちくしょう、やってやる」
元ゲリラのみんなは疲労困ぱいです。
情けない。
このぐらい根性で乗り切らないと。
「さあ、挨拶です。大きな声で」
「おはようございます! いらっしゃいませ! ありがとうございます!」
うん、良いようです。
声も揃っています。
「これから今日採った薬草を渡します。これを売って来て下さい。ただしギルドは駄目ですよ。その売った金でご飯を食べなさい。ビリは罰ゲームです」
うん、返事がありません。
「返事は?」
「はい!」
なかなか分かってきたようです。
さてと、私はロックリザードを納品に行きますか。
元ゲリラ達は街に入ると走り始めました。
罰ゲームがそんなに嫌なのでしょうか。
ギルドでゲリラ達の帰りを待ちます。
元ゲリラが一人、帰って来ました。
「売ってきたぜ」
「命令です。本当の事をいいなさい」
「薬草は食っちまった」
「君の班は罰ゲーム決定です」
「許してくれ。半殺しにされちまう」
「ポーションがありますよ」
「そんな」
夕飯までには全員が戻ってきました。
嘘かどうかチェックして、ビリの人がいた班とずるをした人の班を罰ゲームにします。
「君達にはしばらく、『私は駄目な社員です。罵倒して下さい』と同僚に言って回って下さい」
「文句を言われ続けろってのか」
「さあ、行って下さい。命令です」
「私は駄目な社員です。罵倒して下さい」
「うははっ、こいつ盗賊野郎だ。よし、馬鹿で駄目駄目なお前は蛆虫にも劣る。糞からやり直せ」
「ほら、お礼を言わないと」
ティアも分かってきたようです。
「くっ、ありがとうございました!」
そこら中で笑いが起きます。
「俺は我慢できない。テイムを破ってやる」
そうなんですよね。
テイムは雇用契約。
キャンセルが出来るんです、魔力が上回れば。
「キンロウ、こいつ顔を真っ赤にしているけど、便秘かしら」
「じゃあ、お通じが良くなるように腹筋してもらいましょう。命令です、腹筋100回」
「ちくしょう、何故だ。俺は盗賊団で一番の魔力のはずだ。一日のあいだ魔力を温存したのに」
良かったですね。
企業戦士は常に仕事中です。
管理職権限は手放さないですよ。
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