第12話 福利厚生は大事です
午前の薬草採取はゴブリンさんの活躍もあり上手くいきました。
ロックリザードを納品。
本屋へと出かけます
「製薬に関する本と魔道具化の本と知識授与の本を下さい」
「製薬に関する本は多いよ10冊を超えるがどうするね」
「もっとも基本的な物を」
「はいよ、魔道具化は一冊しかないね。知識授与関連はないよ」
「では魔道具化をお願いします」
なるほど、魔石にパスワードだけを登録しておくのは簡単に出来ます。
魔法を切り替えて発動する事も出来るようです。
但し、魔石の魔力だけではすぐに空になる事が書かれていました。
魔石を持っている人物から魔力を吸い取ると、魔石に蓄えないで発動できるようです。
この方法の欠点は魔石を介している分、魔力の効率が悪くなるみたいです。
10発のファイヤーアローを放てる人物が、魔石を介して発動すると8発しか撃てない。
ですが、仕事中の私の魔力は無尽蔵みたいなので、魔石を介しても特に問題がありません。
ロックリザードの魔石で切り替えスイッチを作りました。
聖なる光と聖なる矢と炎の矢を切り替えて撃てます。
詠唱も必要ないので楽ちんです。
製薬の本をひもときます。
基本は薬草に魔力を注ぐとポーションと言う物が出来るようです。
ナノマシンと漢方の融合とは恐れ入りました。
奇抜ですね。
全く融合できなさそうなんですが、どうなっているのでしょう。
出来ている技術に文句を言っても仕方ありません。
そういう物だと思っておくしかないのでしょう。
「午後の仕事は薬を作ります」
「えっ、大丈夫なの。薬師でないと成功しないって聞いたわよ」
「物は試しです」
ゴブリンの森へ行き、一番簡単なポーションの薬草を集めて貰います。
みじん切りにした薬草を煮て濾します。
ここからが重要です。
ナノマシンとの融合です。
仕事が終わりナノマシンが抜ける感覚は掴んでます。
あれを意図的に起こせば出来ると思います。
「魔力さん、出てきて下さい。駄目ですね」
出る穴がないと駄目なのかも知れません。
「
光の矢で指先をちょこんと突きます。
穴が開いた気がします。
指を薬草の煮汁に付けます。
おー、薬の色が緑から青に変わりました。
成功したようです。
いちいち毎回、聖なる矢を使うのはめんどくさいです。
効率化の観点からも改善を模索するべきでしょう。
毛穴からナノマシンを出すイメージでやってみます。
駄目ですね。
イメージ的には排泄孔が簡単そうですが、薬ですからね。
口も鼻も耳もちょっとです。
目が一番無難でしょうか。
薬草の煮汁に目を近づけて目から魔力が出るイメージをします。
おお、出来ました。
「出来たみたいね。どうやったの」
「最初は魔法で指先に穴を開けるイメージです。今のは目から魔力を出すイメージでやりました」
「目から魔力を出すなんて聞いた事がないわね。なんで手の平じゃないの」
「手に穴が開くというイメージがどうしても出来なくてですね」
「手のひらに目を作ったらどうかな」
「えっと出来る訳が……出来ました。手のひらから魔力が見えます」
「なんか変な能力が開花したみたいね」
「魔力も出せます」
「良かったじゃない。私には出来ないみたいだけど」
「ところで薬はどこに売ったらいいのでしょうか?」
「信用がないから、まず売れないわね」
「オーノー。ゴブリンさん並んで下さい。薬をさし上げます」
ゴブリンさん達は大人しく薬を飲みます。
心なしかゴブリンさん達のお肌がツヤツヤになった気がします。
午後の仕事は福利厚生をしたという事で。
ゴブリンさんに花を集めてもらいました。
これは後で使います。
ギルドに帰社してドミニクに午前中に採った薬草を検査してもらいます。
「ロックリザードの魔石はどうしたのよ。1日1個手に入るはずでしょ」
「あれは魔道具にしました」
「えー、もったいない」
私はゴブリンさんが集めた花束を差し出します。
銀座の女の子に聞いたのです。
安い物で嬉しいプレゼントは何かと。
花束という答えが返ってきました。
消耗品みたいな物ですからね。
「やだなー、もう。えへへ」
「ティアさん、何か不味い事をしましたか」
「花を贈るのは恋人よ。ラブコールなのよ。始末は自分で付けなさい」
「ドミニクさん、今回の花は感謝の気持ちという事でひとつお願いします」
「いいわよ。分かっているから」
まんざらではない様子のドミニクと膨れた様子のティアがいます。
さっさと門の警備の仕事に行って忘れますか。
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