第2話 薬草採取の仕事

 依頼の掲示板を眺めます。

 害獣駆除が主な仕事みたいです。

 それと雑用。

 薬草採取というのがあります。

 たぶん山菜採りみたいなものでしょう。

 山菜採りを馬鹿にしてはいけません。

 毒草を間違って採って死亡したりする事もあります。


 ですが、スキルの要る仕事というのは覚えておいて損がないはずです。

 薬草採取、これに決めました。


 受付に薬草採取の依頼票を出して私は思っていた事を口に出しました。


「マニュアルはないのですか?」

「はっ、手引書が確かあったような」


 ボロボロの冊子を出されたたので手に取って読みます。

 なるほど根ごと採って来ないといけない物や色々とあるようです。

 今回の薬草は茎を千切ってくれば良いみたいです。

 葉っぱの特徴も覚えました。


「ありがとうございました」


 冊子を返却してスタンプの押された依頼票を貰います。

 いよいよ初仕事です。


 人に聞きながら森へと急ぎます。

 街には外壁があり、立派な門があります。


「ご苦労様」


 守衛さんと思われる人に声を掛けました。

 守衛さんは首から掛かった私の社員証に目をやると頷きました。


 守衛さんは槍を持っていて、あの先からビームが出そうです。

 スタンガンなのかも知れません。


 今回の職場の街では銃火器の使用は認められてないようです。

 その代わりに剣は持っています。

 刃物の携帯は法律に触れないようです。


 門の近くにいた同僚に森への行き方を聞きました。

 行き方も何も見えているだろ、あれがそうだと指されました。

 確かに森ですね。

 ですが、私有地などがある場合がありますので、確認は必要です。


 とにかく森に到着しました。

 ところが、角がある緑の肌の人に取り囲まれました。

 とんがった耳と角と肌は特殊メイクか何かでしょう。

 彼らはなんなのでしょう。

 ぐぎゃぐぎゃわめいてますが、言葉が分からないのではどうしようもありません。


 緑の肌といい、もうしわけ程度の服といいなんでしょうね。

 抗議の服装にも見えます。

 もしかして薬草採取に反対されてなさる。


 困りました地域住民の説得は業務内容にもマニュアルにも書かれていません。

 彼らを刺激しないようにそっと移動してみました。

 彼らは遠巻きにしてつかず離れず状態です。


 薬草を探す事にします。

 おっと、矢を撃ちましたね。

 私は矢を素手で掴み取ります。

 こんなに反射神経がいいのは睡眠学習の成果でしょう。


 それにしても、過激ですね。

 デモでなく過激派なのかも知れません。

 めんどくさい団体でない事を祈りながら、薬草採取に励みます。

 矢を時々放たれますが、睡眠学習の効果でしょうか、手で楽々防げます。


 こん棒をもった方も見られます。

 錆びた剣を持った方も。

 ですが、直接攻撃はしてこないのですね。

 彼らなりのルールがあるようです。


 蚊が飛ぶ職場と思っていれば楽勝ですね。

 やっとの事で薬草13本が集まりました。

 片手で持つにはこれが限界です。

 不測の事態の為に片手は開けておかないと。


 緑の人の輪を突破して帰りたい。

 緑の人の身長は胸の辺りです。

 飛び越えられないでしょうか。

 レッツトライ。

 助走してジャンプ。

 おお、楽々と飛び越えられました。

 睡眠学習は偉大です。


 あばよとっつぁんとばかりに走り出して彼らを振り切りました。

 どうやら、追っては来ないようです。


 街に無事到着。

 冒険者ギルドと書かれた会社に帰社しました。

 カウンターに薬草13本を提出。

 銅貨13枚を得ました。

 まさかの130円ですか。

 これは残業確定ですね。

 夜の仕事を探します。

 飲食業のフロアー係は全て女性です。

 料理人の依頼はありません。

 皿洗いもありません。


 墓場の警備と言うのがありました。

 銀貨2枚です。

 200円ですか。

 いや、1000円ですよね。


 会社の食堂のメニューを見ると、パンが銅貨1枚。

 ソーセージの盛り合わせが銅貨3枚。

 エールが銅貨3枚。

 スープが銅貨2枚。


 銅貨13枚で食事できるどころか余ります。

 さすが社食。

 安いですね。


 ぼそぼそしたパン。

 硬い筋が入ったソーセージ。

 ぬるいエール。

 だしの効いてないスープ。

 味はよろしくないですな。

 安かろう悪かろうなんでしょう。

 社食が美味いなんて、幻想です。

 客寄せパンダです。

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