#23 ナイトコール、止める声。
「待て」
自室のドアを閉めようとした僕に多賀山さんから制止の声がかかった。
「ッ!?」
ぴたり…。
(き、気付かれたッ!!?)
動画を一時停止させたかのようだ。ドアから首だけを出したまま僕は多賀山さん達の方を向く事さえ出来ない。
「なあ…、プリティ」
多賀山さん達が近づいてくる気配がする。
「は、はい」
かろうじて一言だけ返事をする事が出来た。必死の思いで視線を向けると二人はわずか数メートル先にまで接近していた。
(何かの拍子にドアの中をもし覗き込まれでもしたら…)
言い訳も何もあったものじゃない、まさに現行犯だ。西野さんがどうなってしまうか…。
切り抜けろ、
「決めてあるんだったな、相棒を」
「あ、相棒っ!?」
「ああ。免許を取ったんだ。晴れてお前も単車乗りだ。乗りたいバイク、決めてるんだろ?」
「あっ!」
そうだ、そんな話をしたっけ…。
「は、はい!連れて行っていただいた鈴木さんのお店にあった…」
「そうか、それなら練習した感覚を忘れる前に乗り慣れておいた方が良いぞ」
「そうですね、僕も早く乗りたいので明日にでも問い合わせの電話をしてみます」
「ああ、それが良い」
……………。
………。
…。
話を終えおやすみなさいと二人の刑事に挨拶し、僕はドアの内側に身を引いた。
ぱたん。
今度こそ僕はしっかりとドアを閉めた。カチリ、自動的にドアノブの上部にある錠のツマミが回る。
『PiPi♪』
(人の気も知らないでさぁ…)
ドアが施錠された事を知らせる陽気な電子音に心中で疲れ混じりの文句を言った。それから靴を脱ぎ室内に入ろうと振り向いた時、僕は再び現実を直視する事になる。
(そ、そうだ!西野さんを部屋に…)
そこには僕が先程その手を掴み、この部屋に引っ張り込んだ西野さんが
(
僕はそう決意したのだった。
「と、とりあえず中へ…」
僕は小声で呼びかけて部屋の中に西野さんを招き入れた。声を
(まだ、多賀山さんも大信田さんも部屋の外で警戒をしているかも知れない…)
そう思ったけれども、次の瞬間にはそれが
(この部屋、防音だったっけ…)
なんでも男性の生活音など、プライバシーが洩れたりしないように配慮がされているらしい。洩れ出る音があるようなら、それを聞きにこようとする
(でも…。っていう事は…)
中で何があっても誰も気がつかない…。
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