#12 ナニが起きた?(その2)
「じゃ、じゃあ…、
「「「「ええっ!!?」」」」
数十人レベルのユニゾンが響いた。
「やるな…、メグ…」
「き、
「うん、
いやいやいや!!そうじゃないでしょ!次々と上がる女子生徒達の発言に僕は心の中で盛大にツッコミを入れる。だが、実際に出す発言は控え目だ…。
「ぼ、僕、身に覚えが無いんですけど…」
□
「ま、まあそうよね。いきなり
「ヨバイしよーにもケーサツの人がドアの前にいるしぃ…」
「部屋まで
寮暮らしの生徒達がそんな事を言っている。…と言うより、夜這いって何だ、夜這いって。
「それ以前に行為から二十四時間も経たずして妊娠は判明せんだろう。とりあえず
「
どこかで聞いた事があるような歌を口ずさみながらマイペースな感じの人がやってきた。
「野原か、ちょっと
梁緒先輩がそう声をかけ、場所を譲った。
「
周りの女子生徒が声をかける。この保険委員の人は
「う〜ん、大丈夫そうね〜。それと、さっきまでの
「これは…?」
「これは、想像妊娠ね!!(キリッ)」
□
「うっ…、こ、ここは…?」
粟原さんが目を覚ました。
「気がついたか?
「「「「メグぅ〜っ!!」」」」
保険委員の野原さんが粟原さんの交差させた粟原さんの両の手を取り、後ろにぐいっと引いた。いわゆる活を入れると言うやつか、なかなかに大胆な行動だった。
「知らない青空だ…」
「「「いや、青空は知ってるっしょ」」」
呟く粟原さんに皆のツッコミが入る。
「つーかさ、メグ。妊娠したの?」
「パパはやっぱ…佐久間君なん?」
「い、いつ…やっちゃったの?」
「どんな風に(ごくり)…?」
次々と女子生徒達が質問している。
「え…えっと…。今さっき…?」
「「「「はぁ?」」」」
粟原さんはきょろきょろと周りを見回した。
「こ、ここで…」
粟原さんは頬を赤らめながら呟いた。
……………。
………。
…。
話を要約するとこうだ。
牛丼屋さんに向けて出発をした僕達は学校の正門を出て敷地沿いの歩道を歩いていた。僕を守るように女子生徒達が周囲を囲んでいた粟原さんの手の甲と僕の手の甲がわずかに触れたのだ。その瞬間、粟原さんは大興奮とパニックを起こした。そして同時にこう思ったらしい。
「男の子に触れた!!妊娠しちゃう!」
彼女は顔を真っ赤にして粟原さんは大真面目な様子で語った。一切ふざけている様子はない。
「あ、あのさ…、メグ。
女子生徒の一人が尋ねた。
「やってない…。私、六年の三学期って
「「「あー、そん時だよ〜。多分」」」
女子生徒達が納得の表情を見せた。
「その研修で勉強するんだよ、一応さ」
「な、何を…?」
「赤ちゃんの作り方」
「えっ!?つ、作り方ッ?」
慌てたように粟原さんがガバッと立ち上がる。
「あの様子だと…知らないそうだね」
「うん」
事情を聞くとどうやら河越八幡女子高校はバレーボールの強豪校らしく全国でも名の知れた存在らしい。そう言えば校舎の屋上からは『おめでとう!バレーボール部!8年連続全国大会出場』って垂れ幕がかかっていたっけ…。
小さな頃から背が高く、バレーボールに並々ならぬ才能を示した粟原さんは周囲の勧めもありウチの学校を志望するようになったらしい。
身長も今では187センチとなり、日本有数のスパイカーとして活躍している彼女はバレーボールに全てをかけて打ち込んできた。しかし逆に言えばバレーボール以外の事を捨てて取り組んできたとも言える。
その為、学校の授業など触れたものは記憶にあるがそれ以外にはあえて触れようとはしない。小学校六年生の時に学ぶ男女の
しかしそんな中で僕という存在が現れ、粟原さんはバレーボール以外に意識する存在が出てきたのだと言う。
彼女の認識では夫婦間には自然と子供が生まれる、そのくらいの認識であったらしい。つまりはそういった事の知識が皆無だったのだ。
「メグ、とりあえず今夜はモコの部屋に集合。みんなの
「世界、変わるぜ?」
「でも、ちっと過激なんじゃね?エグいのあるし」
「「「それなー!」」」
モコ…は確か太林素子さんのアダ名だったっけ?バレーボール部の生徒達が妙に張り切って粟原さんに声掛けをしている。
「エグいのって…何?」
思わず呟きが洩れた。
「ああ、ダメダメ!佐久間君には」
「
って言うか、価値観が変わる程のコレクションてなんなんだ!?
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