授業開始〜先生って、特徴的だね〜

#1  クセが強過ぎ先生方。


 一時間目に続き二時間目の授業が始まった。二時間目は英語の海原先生、年配の先生だが独特の緊張感がある。


 しかし、なんで着物姿なんだろう。まあ、服装は自由なんだろうけど…。多少不思議には思ったけど、ここまではよくある普通の授業だった。


 ちなみにクラスメイトの人達が言うには、何故か担任の山岡先生と海原先生は互いをライバル視しているらしい。


 うーん、国語と英語…。科目は違うけど競い合う事により良い授業内容を作り上げていこうとするのは良い事だろうし、切磋琢磨しているというのは良い事なんだろう。



 三時間目、数学。九条先生。


 ちょっと骨太な、男性的な印象も受けるような先生だ。


「正確で精密な処理、そしてスピード。これが出来たからと言って良い気になるな、テストで5点にしかならねえようなたった一問を解いただけで満足するな。もっと行くぞ、オラ!オラオラオラ…」


 数学なんだよね?普通、なかなかオラオラって言葉は出てこないんじゃないだろうか。


……………。


………。


…。


 四時間目、体育。出井女でいお先生。


 出井女先生はイギリス出身で日本人に帰化したんだそうだ。確かに金髪だし、日本生まれではなく外国出身の方とは思ったけど、帰化しているとは思わなかった。入学式で見た時は英語の先生かと思ったんだけど…。


「フッフッフッフッ。最終ラップだ」


 ストップウォッチを片手に先生は妙に悪役っぽい声で僕達に声をかけてくる。現在、僕達は持久走の真っ最中だ。


「つ、ついに…男の子の前で旧式体操服ブルマーを着る日が来るなんて…」

「だめだよ、ちゃんと陸戦型戦闘服って言わないと…」


 持久走をやると聞く前の女子生徒達は、なにやら授業よりも服装に気合を入れて授業にのぞんでいた。しかし、そんな風に言ってられたのも最初だけ。持久走、確かに面倒くさいし疲れる。


 ジョギングより速い、いわゆるランニングなので軽い会話も厳しくなってくるペース。僕達はとうの昔に『おしゃべりはそこまでだ状態になっていた。


「余計な動作をしたり、気を回したり…それじゃ疲れるのは当たり前だ。無駄な動きを無くせ、それも無駄だ。無駄無駄無駄…」


 そう言って出井女先生は無駄な動作を指摘していた。


 僕はと言えばとりあえず平均的なペースで走っている。男子としてはいかがなものかという気持ちがなくもないがこれには理由がある。


 体育の授業は僕のいる一組だけでなく、二組の生徒と合同で行う。そして二組には真唯ちゃんがいる。だから真唯ちゃんのペースに合わせて隣で走った。お互い申し合わせた訳ではいないが気付けばそうしていた。


「よおーし、もう少しだ。頑張って走り切れ!10…、9…、………」


 出井女先生がカウントダウンを始めた。


「………2、…1、…ゼロ。時は止まる!」


 そう言って先生はストップウォッチのボタンを押した。


「急に止まるな。ゆっくりスピードを落として最後は歩いてグラウンドを半周するつもりでな」


 先生の声に従い僕らはゆっくり体をクールダウンさせていく。隣には真唯ちゃんがいてくれる。


「お兄ちゃん。私、お弁当作ってきたんだ」


 実は今朝、真唯ちゃんからスマホにメッセージが届いていた。授業が終われば昼休み、兄妹きょうだいで食べる昼ご飯。楽しい時間になるだろうなと僕は期待に胸を膨らませた。


 

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