#8 一日違いの転入生。
「
僕の後に入ってきた女子生徒…、僕に続いて現れたもう一人の転入生の人は静かな口調でそう言って一礼した。
その浮世離れした白さ、髪も白と言うか銀髪だ。もしかするとアルビノの方だろうか。モデルとかしてるのかな、そんな事を考えてしまうくらいの美人さんだ。
「はい、ありがとうございました。西野さんは最近海外から帰国してこの学校に編入しました。将来、海外で仕事をしたいとか興味があるという人はお話を聞いてみると良いかも知れませんね」
海外生活の経験があるんだ…。凄いなあ、それだけで僕の知らない世界だ…。
「では、西野さんは一番後ろの…。空いている窓際の席、あそこがあなたの席になります」
「はい。分かりました」
そう言って西野さんはこちらに歩き始めた。
「よろしく」
改めて聞いた西野さんの声はとても理知的な印象を受ける。そつなく周りのクラスメイトに声をかけながら近づいてくる。そして僕のすぐ近くでも同じように声をかけてきた。
「よろしく」
「こちらこそ、よろしく」
僕と西野さんの視線が交差した。整った顔立ちに神秘的な雰囲気、心奪われるような印象を受ける。あまり喜怒哀楽を表に出すタイプではないらしい。だけどどこか印象に残る、そんな眼差しだった。
「では、これでH《ホーム》・R《ルーム》を終わりにします。一時間目は私の授業だからこのまま引き続き授業に入りますよ」
「「「「ええ〜っ!!!」」」」
「センセ、ちょっと待ってよ〜」
「そうだよ〜、聞きたい事とかあるしぃ!」
「人生初の男の子なんだからあ!」
クラス中から不満の声が上がる。
「はいはい、みんな静かに!」
パンパンと手を打って先生はクラス中から上がった声を制した。
「確かに一時間目の授業を早く始める事になります。その代わり、一時間目を少し早く終わらせてあげます。長くまとまった休み時間になりますよー。さあ、早く授業の用意して」
先生がそう言うと仕方ないとばかりにみんなが授業の用意をし始めた。妙な一体感がある、あるいは連帯感か…。これが女子校なのかな、小学校から中学校…そしてわずかに過ごした高校とずっと男女共学だったから僕は違和感のようなものを感じた。
「それでは一時間目を始めますよー。佐久間君、西野さん、今日はゆっくりと授業を進めていきますから焦らず慣れる感じでね」
「「はい」」
僕と西野さんの声が同時に響いた。
こうして本格的な学校生活がが始まった。
そしてもう一つ。共に一日違いで河越八幡女子高校に入学した新入生、僕と西野さんの出会いでもあった。
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