#4 署長さん、署員にキレて発砲す。
「
「はい、署長。しっかり警護してきます!それにしても若い男の子が何を買うのか気になっちゃうわね!」
「
僕の警護と若い美晴さんや尚子さんのお目付役を兼ねるといった感じなのかも知れない。
「あの二人がハメを外し過ぎるかも知れない。その時は遠慮なくシメてやって欲しい」
一山さんが浦安さん達にそう声をかける。あ、間違いない、お目付役の意味合いが濃いようだ。そんなやり取りをしながら出入り口に向かうと何やらその付近で『うおおおおっ!!』と歓声が上がった。その歓声は高い声、黄色い声、女性のものだが^_^なぜだか妙に野太い声…、様々な声だった。そして『わあああっ、わあああっ』と絶え間無く歓声は続く。
何事かと出入り口に急ぐと正面入り口前にパトカーを用意して署内に戻ってきたのだろう、美晴さんと尚子さんがいる。しかも何やら興奮した様子で。
しかし、興奮しているのはその二人だけではない。入り口すぐの受付のようなブースやその付近にいる人達も歓声を上げている。
「お前ら、浮かれてんじゃねーぞ!それと瀧本、武田!噂ばらまいてんじゃねーぞ!コイツら仕事になんなくなるだろーが!」
うわついた雰囲気を署長さんの一喝が引き締める。
「で、でもぉ
「そうそう!男の子と一緒に寝泊りするんだし…」
「なんで同棲するみたいな感じで言ってんだ!署はお前らの
「だ、だって佐久間君は柔道場にお布団敷いて寝泊りするんでしょ!?」
「あそこなら二十人くらいなら布団並べて寝られるしぃ…」
「わ、私達、夜も寝ずに警護ヤリますから!」
「も、もし布団を敷く場所が足りなくなったら私が佐久間君の布団に入りますし!」
「あっ、テメッ!シュウはオレが!」
「わ、
わーわー、ギャーギャー。署長さんに談判していた婦警さん達だが、いつの間にやら内輪揉めの様相を呈すようになってきた。そしてなんだか目がギラギラしている。
「いい加減にしろー!!」
ぱぁん!
署長さんが発砲、一瞬で喧騒がシーンと静まり返る。
「良いかッ!少年はまだ未成年だ。そんな少年と夜中まで一緒にさせる訳ねーだろ!」
「その通りだ。それに何するつもりだ。署内から性犯罪者を出す訳にはいかんッ!」
署長さんと一山さんがピシャリと言い放つ。
「よし。
そう言って署長さんは僕達を送り出したのだった。
□
「あっ、出てきました、出てきました!佐久間修さんが警察官に伴われて河越八幡署から出てきました!おそらくこれから宿泊先に向かうと思われます。我々、取材班はこれからその宿泊先までの道のりを…」
「はい、現場の
芸能リポーター達だろうか、何やらそれらしき人達の声がしている。
「シュウ、何にも応じなくて良いからな」
「そうですわ。目を合わせないようにして車へ…」
美晴さん達のアドバイス通りにして、浦安さんに続いて後部座席に乗り込む。後には崎田さんが続いた。運転席には美晴さん、助手席には尚子さんが乗った。
無線でのやりとりを尚子さんがしている。どうやらこの一台だけでなく、複数台の車両で移動するようだ。そして車で十分もしない場所にあるドラッグストアに到着した。先行していた婦警さんや私服警官の人が車を降り配置につくところだった。
僕達の後ろからも警察関係車両が続いた。車から降り警備に加わる。先程、受付の辺りで見た婦警さんが何人かいた。その中に一人、遠慮がちに小さくこちらに手を振っている人がいる。
「うーん、婦警さんはマスコミ関係者じゃないからスルーしなくても良いですよね」
そう言って僕はその婦警さんに手を振り返した。婦警さんは『キャッ』と小さな声を上げ嬉しそうな顔をした。
「ま、まずい!!」
浦安さんが声を上げた。
「えっ!?」
驚く僕に崎田さんが声をかけてくる。
「あのね、佐久間君。明日から研修していくけど、基本的に女性は『天然』の男性にリアクションを返されると嬉しいものなの」
「はい」
「でも、相手と同じような動作をしてリアクションを返すというのは考えものなの」
「え、それはどういう…?」
今の手を振り返したのは良くなかったという事だろうか。
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