詐欺師の眼鏡
「まず相手を見極めることだ」
「相手、ですか」
「詐欺師の器量は上手く乗せる口と、よく回る頭、それから相手を見極める目、これに尽きる」
「ははあ」
「口と頭は素質だが、目に関しては良いものがある」
「良いもの?」
「この眼鏡をかけてみろ」
「……なにも見えません」
「それはお前が半人前だからだ」
「いったいこれはなんなんです?」
「これはなあ、
「ああ、一時期話題になりましたね。すぐ回収騒ぎが起きましたが」
「これはそのとき回収を免れた眼鏡だ」
「へえ」
「詐欺師がかけると、ひっかかりそうなやつは鴨に見える」
「えっ」
「俺がかけると、そこら中葱を背負った鴨ばっかりに映る」
「ほ、本当ですか?」
「だから俺は今まで仕事をしくじったことがない」
「そんな秘密が……」
「詐欺師にとって
「なるほど」
「お前も早く、この眼鏡をつかいこなせるようになれよ」
「はいっ! 一日も早く
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