第3話 「最近のマクナルは、注文する前に冒険者になる必要があるのか」
「これでギルド登録は完了になりますが、冒険者としての説明はどうなさいますか?」
「ぜひ、お願いします」
俺はクレオパトラですら発情大満開間違いなしの決め顔をしたまま女店員の話の続きを促す。
すでにギルドカードとやらを発行してもらって、俺は見事に冒険者なる謎の存在になっている。
冒険者。
どうもこの店で会員になると、その会員のことを冒険者と呼ぶらしい。
会員証を無駄にカッコよくギルドカードなんて言っているが、これもつくるのは簡単だった。
名前とサインを書くだけ。
身の安全がどうのこうの記してあった気がするが、何にサインしたのかがよく覚えていない。
それに加えて一年後に会員料金を支払う必要があるとのことだったが、そんなものは初めから払う気などサラサラないのでどうでもよかった。
「わかりました。それでは冒険者となることで可能になることを説明させて頂きます。まずは私たちギルドが管理しているダンジョンに入ることが可能になります」
「はい。なるほど」
そして俺は熱心に話を聞くふりをして女店員を頭から爪先まで舐めるように観察する。
つかマジでスゲェ可愛いなこの子。
ハーフかなにか?
とりま乳デケェ。
「ダンジョンにはランクがあり、下位からE、D、C、B、A、エクストラとなっています。エクストラ以外のダンジョンは冒険者であれば誰でも入ることができますが、高位になるほど命を落とす危険性が上がるので相応の実力を求められます」
「ふむ、そうなんですね」
やっぱり女は巨乳に限る。
よくただカッコつけたいだけの天邪鬼が、大事なのは形だとか、柔らかさだとか、乳首の感度だとか言っているが、そんなもんは全て間違いだ。
大きさが全てに決まってる。
まあ、当然限度はあるし、デカすぎでもあれだけどな。
よく男の身長に例えられるが、その点に関しては真理を突いてるぜ。
「冒険者の方はダンジョン内にのみ生成されるクリスタルを収集し、私たちギルドに提出して頂ければ報酬とギルドポイントを手に入れることができるようになっています。当然、高ランクのダンジョンに生成されるクリスタルになればなるほど報酬とギルドポイントが大きくなるわけですね」
「へえ、そういうことなんですか」
ここで俺は思う。
では、ケツはどうなんだと。
女の胸は男の身長と同価値。
では女のケツは男の一体なにと同価値なんだ?
まず間違いなく男のケツではない。
男のケツなんて一部のスペシャリストを除けば何の役にも立たないからな。
じゃあ何だ?
まさかナニか?
ナニなのか?
けっ、所詮どいつもこいつも俺のナニにしか興味のないメス豚ってことかよ。
「そしてもう一つ冒険者に与えられるのは、オープン大会に参加する権利です。オープン大会とはダンジョントライアルとは違って、冒険者同士、つまり対人間のトーナメント戦になります。基本的にベスト8以上に入ると賞金が貰えるようになっています」
「なんと、これは驚きだ」
豚といえば最近豚肉食ってねぇな。
てか豚肉どころか鶏肉も牛肉も食ってねぇよ。
あー、お肉食べたい。
肉汁のプールに入りたい。
というかむしろ肉サイドから俺の口の中に入ってこいよ。
受け身は駄目ね。
これマメね。
「オープン大会は基本的に自由参加ですが、四大大会と呼ばれるビッグトーナメントのみギルドからの推薦という形でしか参加が認められません。推薦されるためには地道にダンジョントライアルで結果を残す必要があります」
「うーむ。なるほどそうなんですか」
というか久し振りの外出でもう体力ゲージがなくなってきたわ。
立ち話とか何週間ぶりだよ。
この店員が可愛くなかったら秒で帰ってるぞ。
仕方ねぇ。
これはもう一旦家に帰るしかないな。
俺はたしかに住所不定無職だが、現在は妹の家に勝手に住み着いているため、帰る家がないわけではない。
まったくこんな素敵な兄がいる妹が羨ましいぜ。
「これで説明は以上ですが、何か質問などはありますでしょうか?」
「いえ、特にありません。ありがとうございました」
そしてやっとクソ長げぇ話が終わったようだ。
俺はマリーアントワネットでも欲情大放出間違いなしの決め顔で礼を述べる。
こりゃこの店員完全に俺に惚れたな。
「それではまた来ます。アディオス」
「え? あ、はい。またのお越しをお待ちしています」
俺にゾッコンとなった女店員を残し、俺は店の外に出る。
空はいまだ青く、二つの太陽がギラギラと輝いている。
そんな快晴を仰ぎ見ながら、俺はご機嫌に口笛を吹く。
ぶっちゃけあの店員の話はほとんど聞いていなかったが、一つだけわかったことがある。
俺くらいのスゥパァIQメェンによる理解力からすると、つまりはそういうことらしい。
「最近のマクナルは、注文する前に冒険者になる必要があるのか」
ま、よくわかんねぇし結局水も飲めなかったけど、可愛い女の子とお喋りできてハッピーだからオッケー!
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