カエルはどこへ

毎晩、うるさいほど聞こえてた

かえるの歌声が

10年の間に消えた


周りは田んぼで

カーテンを開け放ち窓をあけて過ごしてた


今はカーテンを開けれない


周りには住宅が立ち並び

田んぼは消えた


毎年、大概の花火が見えてたのに

それも建物に隠されて見えなくなった


街は自分のものじゃないし

田んぼも自分のものじゃないし


農家の人も跡取りがいなくて

採算がとれなくて

仕方なく手放したのだろうけど


この10年で変わった風景は

街のゆとりの無さに思えてしまう


昔に戻ることはなく

今をよくしていく方法を考えるしかない


でも

忘れないよ

ずっと聞いてきたかえるの声


                    2023.6.30

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御等野亜紀短編集2 御等野亜紀 @tamana1971

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