霊界の輪

夜は長い

雨の日の夜は特に長い

大好きなあの人は雨に向かうのが仕事

私は雨の日を持て余す


何でもない

日常のひとコマに

織り込められた

雨の日


私は不思議に出会った

雷が光る

少しだけピクっとして音に身構える

その瞬間

私は何か違和感を感じた


目を開くと自室からほぼ遠い古い日本家屋の中に居た

 

ここは何処だろう


見慣れない場所

多分、始めての場所

窓辺で少年が何かしてる


「ぼく?何してるの?」

反応はない

何かに夢中になってるというより私の存在が感じ取れてないようだ。


多分、私が異質でここに存在しないはずなのだろう。私は少年を眺めていた


少年は窓から乗りだして落ちそうな勢いで、獅子舞を見物している


そして窓から少年は落ちた!

慌てて窓へ駆け寄る私

少年の周りに人だかりができている

少年は無事なようだ

土埃を払うと皆んなにペコペコして建物に入った


また、ここに戻るかと思ったが中々来ない

私は畳に寝転んだ

どうせ、誰にも見えないのだろうし

少し眠ってしまったのだろう


「お姉ちゃん誰?」

「つっ!」

なんで今度は見えるんだ?


その男の子は上半身を起こした私の隣に座ると

「雨振らないかな、そしたら誰にも涙見られないのに」

「!ここの住所!教えて?」


聞き出すと119する、男の子はもたれ掛かって涙目だ

「悔しいな、ここまで気付かれなかったのに」


少年は母につきそわれて救急車で運ばれて行った

起きたときたぶん私のことは覚えてないだろう


少年は霊界のはざまに私を見たのだとおもう


夜になり、また眠気に負けて寝てしまう


起きたときは病院の中だった


「びっくりしたよ、部屋に近付いたらガスの匂いがしてくるから」


ガス?私は別に死のうとしたわけではない

考えて・・・


「あ、お湯いつまでも沸かなかった」

「そそっかしすぎるよ、電気にしろとまではいわないがコンロも今は安全装置ついてるから買い替えてくれ」


おばあちゃんが私の為に勝ってくれたコンロ。長い事使っている。買い替えを拒否してきたが今回ばかりは買い替えざるえない理由を作ってしまった。


「呼ばれたのよ、男の子にきっと」

「男の子?」


私は今の不思議な体験を話した

すると父がびっくりして、よく父の父から聞かされた話だと言う


私はどうやら祖父を助けたらしい。

そして今の私がいるのだから何とも不思議な話である


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