おやま
小さなお山と大きなお山がありました
小さなお山はいつでもピクニックの人たちでにぎわっています
大きなお山は言います
君の場所はいつも賑わってていいな
小さいお山がいいました
草木も生えぬほど踏みしめられて
結構疲れるよ
でも人が全くいないのは確かに寂しいかもね
でもさ、君の山には鳥も獣もいるじゃないか
あるひ大きな山で山崩れが起きます
幸いそれで傷つくものは木々だけで済んだのですが
人がわいわい何人も訪れて
なにか整備をしだしました
小さいお山が言いました
えらい工事をしてるけど大丈夫なのかい?
大きいお山が言いました
なんでも植林しなおすのが面倒だから
すきー場に作り替えるらしいよ
僕の山にも人が来るようになるよ
小さいお山は
良かったねというと難しい顔をして黙り込んでしまいました
それから数年大きいお山が言います
君の言うことが分かったよ
木々は伐採され道ができ、キャンプ場ができ
別荘までできたけど
ひとはいっぱい来るのに
鳥は獣はどこかに消えてしまった
また工事が入るらしい
僕は山とは名前だけの役目をなさない山になった
地水も貯めておけない
斜面は前にもまして崩れやすい
昔のなにも開拓されてない頃が懐かしい
小さいお山が言います
君はまだいいよ
その高さがあるからね
僕は永い眠りにつく
明日から平地にする開拓工事が始まるらしい
僕はいなくなる
大きいお山は絶句してしまいました
僕が羨んだ人は
僕の唯一の友達を取り上げてしまうのか
山はそれから二度と口を開かなくなりました
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