第3話


「そう。本気でマズいのよ。かなり」


 無論、公表はしていないし、こんなヤバいことが公表できるワケはないんだけど。

 真実、ガチで国家存亡の危機が逼迫ひっぱくしていると言っても過言じゃないくらいに、ヤバ過ぎな状況よ!!


「虚弱極まれり、だわ。女児は育つのにね。それを鑑みて、他国に嫁いだ王族の子を引っ張って来るとしてもねぇ……ほら? 継承権やら外交やら、乗っ取りなんかもあるし。色々と厄介な問題があるでしょ? 他国にはできるだけ弱味を晒したくないし」


 まぁ、調べればわかることではあるけど。他国へ気軽に助けを求めてはいけないわ。友好国だとしても、弱味を見せればすぐに付け込まれる。親切面してどんな不利な条件を突きつけられるか、わかったもんじゃないもの。


「もう本っ当、頭痛くなっちゃうわぁ」

「それで、なぜ婚約解消か白い結婚、愛人を。という話に繋がるのですか?」

「このまま男子不足が続いて行けば、直ちに王族男子を増やすか……それができなければ、女王陛下の戴冠、ということになると思うのよねぇ……」


 わたし的には、女王陛下即位の一体なにが悪いんだって思うんだけど……頑なに女王即位を認めようとしない一派がいる。頭カチカチの石頭かっての。全く……嫌になっちゃうわ。


 姉達は既に他国や臣下へと嫁いでいるので、国に残っている下の妹達の誰かを即位させるにしても、それは絶対に茨の道確定だもの。


 そんなことになったら、妹達が可哀想じゃない。


 だから、妹達より年上で、現時点で独身のわたしが即位しなきゃならない。可愛い妹達には、酷い苦労を背負わせさせたくないもの。


 そして、わたしの即位後には、女王戴冠へ向けての下地作りをして行かなきゃならないと思っている。場合に拠っては、わたしの在位期間は、とても・・・短く・・なる・・かもしれない。


 敵だって増えるだろう。


 こんなことに、巻き込みたくない。


「はあ、それで?」

「あのね、これはまだわたし個人の見解なんだけどね。多分、血族婚しまくりで、病なんかに弱くなってると思うワケ。ほら、実は子供を生む分、男より女の方が生物的に強いじゃない? 小さな頃の病気には、男の子の方が弱いって言うし。それで、男が産まれ難くて、産まれたとしても、凄く育ち難くなっていると思うのよ」

「成る程」

「あなたに瑕疵かしは無い。それは、わたしが絶対に保障するわ。でも、あなたは、わたしの……イトコじゃない。血が近過ぎるわ」


 イトコであり、王妹を母に持つわたしの婚約者も、こないだの風邪で寝込んだうちの一人。


「……理解、しました。それで、どうなさるおつもりでしょうか?」


 僅かな瞑目。そして、深い溜め息を吐いた婚約者が頷いた。


 あぁ……頷いて、くれた。

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