第7話彼女の本性
待ってくれ!」
僕は唯葉の口を手で塞いだ。
「僕から最初に言わせてくれ。僕はずっと唯葉に思い違いをしてたんだ。」
唯葉の口から手を離そうとした瞬間両手で唯葉が握った。
「わかるよ……だから綾人君が言おうとしている事。だけどもうそんなに気にしてないよ。」
僕はその時唯葉が僕の気持ちを汲んでくれた。
「だから、口に出さなくても大丈夫。もう過去に囚われないで大丈夫だよ。」
唯葉は必死に言ってくれる。
「それでも……僕は……」
しかし、唯葉の一言で全て遮った。
「私はずっと前から綾人君が嫌いだった。君はいつも自分のことしか考えてない。素直にも慣れない。そんな君は嫌いだった。」
唯葉はいつもと雰囲気が違い、違う人の様に思えた。
「だから、私は演じたんだよ。弱い私を。そして、油断させるためにいつも優しい自分でいたんだよ。」
「それが唯葉……君の本性か。」
「そうだよ!!ずっと昔から言えなかった。」
唯葉は本当は僕のことが嫌いだったんだ……
「でも今は違う……綾人君の裏を見て確信したよ。私はいつか綾人君の事を好きになるってね。」
正直どういう理屈なのか全く理解できなかった。
「その理屈はおかしくないか??」
「そうね。おかしいね。まぁ理由は本音を言える関係だから」
確かに、誰しも自分の裏の性格なんて表に出さない。
たとえ、恋人の前だって自分を完全に曝け出すことなんて不可能に等しい。
つまり、唯葉が言いたいことは、本音を見せ合い、認め合う事ができる相手こそ、友人且つ恋人にもなれる条件なのだ。
「じゃあ、今の唯葉は……」
「そうね。裏の私だよ。」
「じゃあさっき僕が何を言いたがっていたのかわかるのか?」
「ええ、もちろん!私に謝罪しようとしてたんでしょ!本当抱腹絶倒しそうだったんだから!!」
唯葉は涙目にながら腹を抱え、笑った。
(人のアイデンティティを踏みにじった挙句笑いものにしやがった。)
「そんなに面白いか?人の弱みにつけ込んで楽しかったか??」
「そうだね!!面白いよ!でも今の綾人君はつまらないや。だから、いつか私を見つけてね。」」
唯葉は少し悲しそうな顔をしながら言った。
救うとは一体どういう事なのかわからなかった。
だけど唯葉のアイデンティティはとっくに壊れていた……
そして、ずっとそれに気がつかなかった僕は後悔した。
「唯葉。君が言っている事は無茶滅茶で理解するのが追いつかない。けど人間誰しも自分を見失う事があるはずだ。だから、僕がいつか唯葉を見つける。」
「何臭いセリフ言ってるの!?」
唯葉は軽く微笑み、
「期待だけしとく……」
観覧車が下に降りるとともに夕暮れ時も終わり、日が沈み、辺り一面空が暗くなろうとしていた。
観覧車から降りた。
「ねぇ??」
急に唯葉に抱きつかれ、僕驚いた。
「さっきの言ったこと約束だよ。……」
「ああ。」
そして、唯葉は僕からそっと離れ、微笑んだ。
その後は、翔たちと交流したが雪花と話があるから先に帰っててと言い雪花を送りながら話した。
「今日は楽しかったか?」
僕は聞いてみた?
「はい!」
雪花は微笑み、僕も微笑み返す。
「皆さん凄くいい人です。ですが一人気になる人がいたんです。」
一体誰なんだろう。
「えーと誰??」
「春乃さんです。」
「なんで?」
「綾人君がいなくなってからずっと溜息をついてしましたから。」
「そうなのか。」
「はい。」
……………
何を言えばいいのかコメントに困った。
「コホン。じゃあこの間の話の続きをしましょうか。」
雪花は少し恥ずかしそうにしながら言葉を続けた。
「もう一つの噂について言います。もう一つはこの学校には十人の能力者が存在します。」
僕は誰も救えなかったけど君となら救えるはずだった 水斗 @Mizuto0831
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