第5話始まりの衝動


「まずどこから回る?」

僕は唯葉に尋ねた。

唯葉は少し困っていたが唯葉なりにプランがあったらしい。

鞄からメモ張を取り出す。

「えーとまず、もう12時だしお昼食べよ?」

「そうだな。」

僕たち二人でとりあえず昼食を食べに店内に入った。

そういえばここがどこの遊園地なのか言ってなかったな。

ここは桜ヶ丘高等学校に存在している遊園地だ。

まぁ学園都市内である。

先生がざっくり説明したように(1話参照)学園都市内は

充実した(遊園地やデパートなど)多種多様な施設があり、ほぼ7割の学生が住んでいる。

「ねぇ?あれ食べない?」

彼女が指指した方を振り返ると恋人限定と書かれたポスターが貼ってあり、昼食屋さんにしては派手目な甲板をしている。

(怪しい……)

「なぁ違う店の方がいいと思うんだが……」

「でも……ここが良い。」

唯葉は目を泳がしながら頬を赤く染めている。

(なんか怪しいがしょうがないから入るか。)

僕は店内に入ろうとした瞬間……

「―――……ッ」

「綾人君!!」

急に店舗から出てきた客に腹を思いっきり拳で殴られた。

なんだ……今の……

「リア充発見!!」

と茶髪で色黒のサングラスをかけ、タンクトップの男が言ってきた。

「悪いなぁ!少年!俺は相澤領さんの命令で恋人を潰すように言われたんだ!」

「どういうことだ……」

僕は腹を抱えて言った。

「さぁ?いつもの気まぐれじゃね?お前に言ったところで意味ないけどなぁ〜ー!」

「ぐはぁ〜ー……」

横頬殴られ、痛烈な痛みが走る。

「お、やってるなぁ!!店内にいる客は全員連行しましたぜ!!」

店舗からまた一人出てきた。

金髪で耳にピアスをして、奇抜な格好と髪型をしている。

「そうか!ご苦労だった!!」

「領さん一体何がしたいんすっかね。まぁまた大勢でゲームして主導権を握るんでしょうけど!!次のゲームが楽しみっすね!!」

何言ってるんだ……こいつらイカレる。

「綾人君大丈夫……?私のせいだよね??私が調子を乗ったせいで……」

唯葉は今でも泣き出しそうな声で言った。

「いや、唯葉のせいじゃない……ただ運が悪かっただけだ。」

「さーてそろそろ!」

「こいつらも連行しやそう!」

二人掛かりで殴りかかりにくる。

俺はもう駄目だ……ドックンドックン……

「君は私に似ているね。何かを心の奥底に隠している。まるで本来自分を覆い隠すために偽りの自分を演じているみたいだね。」

誰かが囁いてくる。

耳鳴りが激しく、頭がズキンズキンし、気も遠くなっていく……僕は闇に落ちていった。

タンクトップの男が腕を大きく振り上げた。

「綾人君……」

「おせぇよ…」

タンクトップの男を右拳を軽く避け、僕はほくそ笑み相手の手首を掴み地面に身体ごと叩きつけた。

「ぐはぁー〜!!」

タンクトップの男は軽く脳震盪のうしんとうを起こした。

「嘘だろ!?領さんの幹部が一撃で??クソがぁー!!」

金髪ピアスはナイフを振り回しながら近寄ってくる。

「きゃぁぁー!」

「「ナイフを持った男がいるぞーー!!」

「警察に電話しろー!!」

と言いながら周りの客は走って避難を開始している。

その間に僕は相手に話を持ち掛ける。

「なぁ??お前は知ってるか?弱者はすぐ凶器に手を出す理由。」

「知るかぁぁぁボケェェー!!」

「それはな。何かに縋らないと生きていけない弱者だからだ……」

声のトーンが急に低くなった。

「消えたぁ…いや上か!!」

高くジャンプし、右脚で前蹴りをして顔面に叩き込む。

「ぐぁあーー!!」

彼は鼻血を出し、鼻を押さえながら少し身体がよろめく。

ナイフは手に持ったままだ。

「まだダァ〜ー!」

彼はすかさず、何の策も無しにナイフを持ったまま突っ込んでくる。

僕は立ち止まり、相手が近寄るまで待つ。

「死ねやぁぁー!!」

「きゃぁぁー!!」

他の人たちもそれを見て逃げ出す。

「フッ」

僕は少し笑い、軽く横に避け、相手のTシャツの首襟を掴みそのまま地面に叩きつけた。

「グハァぁ……」

背中と頭を強打し、気を失った。

だが、それを見ていた一人の少年には綾人の姿がこう映った。

まるで何かに取り憑かれているかのように……

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