第3話本当の和解
返事が無い……しかし、鍵は開けっ放しだった。
(不用心だなぁ……)
1001号室に入り、某名探偵……だったら絶対人が死んでいるがどうやら誰もいない。
ホッとしたが空き巣に入られた可能性も…ん?……
浴室の方から人型のシルエットが見える。
これは良くあるパターンでシャワーから上がったら下着姿か真っ裸の彼女に理不尽な暴力と罵詈雑言の嵐に打ちのめされるのがオチと決まってる。
ガチャ……
ゴクリ……
「嘘??綾人君?」
そこには後者の真っ裸の彼女いわゆる産まれたの姿の白石唯葉しらいしゆいはが存在していた。
唯葉は慌てる素振りを見せ、浴室からタオルを身体に巻いて戻ってきた。
だが、先ほどの裸体が目に焼き付いて離れない。
ショートの黒髪が水に滴り、床に少しこぼれ落ち、髪から柑橘の甘い香りが漂う。
程よい胸にスラっとした身体、小柄だが出るところは出てる。
タオル姿からも先ほどの裸体のイメージができてしまう。(平常心平常心!!)
唯葉は真っ赤に顔を染めながら謝罪した。
「ごめん。見たく無いもの見せて……」
それは流石に謙虚すぎる。
ラッキースケベをしたことに対して悪い事をした気分になってしまう。
アニメとか漫画とかラノベだと彼女に殴られるのがオチだけど……
「いや、僕の方が悪い。勝手に部屋に上がってしまい、挙句の果てに唯葉の裸体を拝んでしまって……」
「忘れて!!でも私は……嬉しかった。綾人君が会いにきてくれて……」
(あぁーーびっくりした。裸体見てもらえて嬉しかったのかと……流石にそれは変態だ。)
「良かったよ。唯葉に何かあったのかと思って……」
先程凄いくさいセリフを吐いてのを思い出して恥ずかしくなった。
「それで、私を迎えに来てくれたの??……」
「あ、うん。そうだよ。話があって、今から部室来れる?みんな待ってる。」
「ごめんね綾人君。迎えに来てくれたのは嬉しいけど私はいけない……」
その時僕と唯葉の間には壁がある感じがした。
「そっか……わかった。」
このまま引き下がって良いのか……多分引き下がればきっと謝る事が出来ずじまいで終わる。
今までの経験が脳裏に浮かぶ。
過去を振り返らなければ過ちを繰り返してしまう…僕はもう引き返さない。
「やっぱり一緒に来てくれ!」
僕は彼女の手首を手で握りしめた。
「ちょっと待って……服着させて。」
「あ、すまん。風邪引いちゃうよな。」
僕は手を離し熱くなった頭を冷やした。
「ごめん。待った?」
唯葉は私服の状態で戻ってきた。
清楚系の少し長い白いスカートに!上も白をモチーフにした半袖のワンピース。
「答えを聞かせてくれ!」
唯葉少し俯き目を閉じ、覚悟を決めたように目を見開いた。
「わかった。でも条件がある。一緒に部室に行く代わりに私と明日デートして!!」
予想外の言動に僕は大きく見開いた。
(あの内気な唯葉が……)
唯葉は成長し、僕は過去に囚われていた。
「わかった。てか、この前の僕の真似してお返しか!」
少し僕は微笑み唯葉も微笑んだ。
「じゃあ部室に行くか!」
「うん!」
(必ず謝って今までのお礼をこのデートで清算しよう。)
僕たちの波乱のデートが始まろうとしている……
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