13. 歳上の恋人
「玲依ちゃん、髪乾かそう?」
「うん」
「あの……降りてくれないとドライヤー取りに行けないんだけど……」
「ゆうは離れたいの?」
「そんなことないけど」
今週も泊まらせてもらうことになって、玲依ちゃんの家に帰ってきてから、甘えん坊な歳上の恋人は離れようとすると悲しそうな顔をする。まだお酒が残ってる……? それか眠いのかな??
玲依ちゃんが飲み会の時は絶対迎えに行こうと誓った。こんな可愛い玲依ちゃんを1人で帰らせるとか無理。
もう夜遅いし、疲れてるだろうから何とかお風呂には入ってもらったけど、ソファに座る私の膝の上に座って見つめてくる玲依ちゃんの髪は濡れたままだし、パジャマから覗く鎖骨が色っぽいし、見ないようにしてるけどボタンが全部閉まってないから豊かな胸の谷間もくっきり見えるし、私は耐えるのに必死。
「ゆう、シよ?」
「んっ……!?」
私が我慢してるのに、言葉とキスで誘ってくる玲依ちゃん……髪を乾かさないと、って思っていたのにもう無理。こんなに可愛い恋人に誘われて断れる人がいる? 私には無理。
「きゃっ!?」
抱き上げて寝室に連れていって、優しくベッドに押し倒して玲依ちゃんを見つめる。
「玲依ちゃんが誘ったんだからね? 疲れてるだろうから我慢してたのに。私はドSで変態らしいし? 今日もいっぱい啼いてね」
「ゆー……まっ……んぅっ……」
私の笑みに怯えた表情を見せた玲依ちゃんに余計興奮するなんて、玲依ちゃんの言う通り変態らしい。
気絶するように寝てしまった玲依ちゃんに服を着せようか迷うけど、部屋も暖かいから大丈夫かな。
布団をかけて、お風呂を借りようと寝室を出る。よく寝てるし、起きる前に戻ってくれば大丈夫だよね。
それにしても、甘えん坊な玲依ちゃん、最高に可愛かったなぁ……
「おわっ!? 玲依ちゃん起きたの?」
シャワーを浴びてドアを開ければ、バスタオルを抱えてムスッとした玲依ちゃんと目が合った。凄く可愛いんだけど、大変不機嫌そうですね……?
今回も調子に乗って攻めすぎた? キスマーク付けすぎ? 置いて行ったから? 他にも心当たりがありすぎる……
「あー、バスタオル貸してもらってもいいですか?」
「……はい」
「ありがとうございます……そんなに見られると恥ずかしいんですけど……」
脱いで、って言われて私も脱いだからもう見られてるけど、きっと玲依ちゃんは余裕なかっただろうし、こんな風にまじまじ見られるのは恥ずかしい。
というか、玲依ちゃんが着てるのって私のTシャツ? もしかして中は裸?? 見えそうで見えない……エロい。
「なんで敬語?」
「玲依ちゃん怒ってるから……」
「起きたら侑がいなかった」
あー、置いて行ったからか。怒ってる理由が可愛すぎ……
「ごめんね。よく寝てたから……起きる前には戻ろうと思ってたんだけど」
「寂しいから、今度は起こして?」
「可愛い……うん」
服を着て、髪をタオルで拭いている間も玲依ちゃんからの視線を感じる。
「ごめんね、お待たせ」
「お風呂上がりの侑、かっこいい」
「ほんと? 嬉しいな」
自分の容姿は好きじゃないけど、玲依ちゃん好みなら嬉しい。
手を繋いで寝室に戻って、玲依ちゃんが先にベッドに入って横になったけど、私はずっと綺麗な足に釘付けです……
「侑? 来ないの?」
「……失礼しまーす」
空いたスペースに横になって玲依ちゃんを抱き寄せれば、足を絡めてくる。素肌が触れて気持ちいいんだけど、ドキドキして眠れないかも……
日差しが眩しいな、と思って目を開ければ、すっかり寝ていたみたいで部屋は明るかった。
昨日寝たのが遅かったからか、玲依ちゃんはまだぐっすり眠っている。寝顔可愛い……
置いて行った、ってまた拗ねちゃうから玲依ちゃんが起きるまで寝顔を眺めているけれど、あまりにも可愛いからこっそり写真を撮った。思ったよりシャッター音が大きくて焦ったけれど気づかれなくて良かった。ロック画面にしよ。
「んぅ……ゆー?」
可愛いなぁってニヤニヤしながら写真を眺めていたら玲依ちゃんが目を開けた。起きてすぐ名前を呼んでくれるとか、嬉しすぎるんだけどどうしよう。
「ちゃんと居るよ。起きた?」
「うん……」
まだ眠いのか目を擦っている姿が可愛すぎる。普段のお姉さんな玲依ちゃんとのギャップが堪らない。
「侑、苦しい……」
「玲依ちゃん、可愛すぎるよ」
「え?? 朝から何??」
思わず抱きしめてしまったけど、すっかり目が覚めたのか、もう普段通りの玲依ちゃんみたい。今度はいつ見られるのかな?
「もう甘えん坊な玲依ちゃんはおしまい?」
「……嫌じゃなかった?」
「全然!! 大歓迎!!」
ちょっと不安そうに見てくる玲依ちゃんも可愛いです。歳下の私に甘えてくれるとか、ご褒美でしかないです。
「うわ、もうお昼じゃん……食材何があったかな」
「え、今日も作ってくれるの?」
「そのつもりだけど、食べに行く?」
「玲依ちゃんが嫌じゃなければ、玲依ちゃんのご飯がいいな」
「じゃあ何か作るね」
「やったぁ!!」
外食が多かったから、玲依ちゃんのご飯が食べられるのは幸せ。作ってくれる、って人も居たけど家に行くことになるから断っていた。
前に泊まった日に私のためにご飯を作ってくれるのが幸せすぎて離れなかったら邪魔だったみたいだけど、一緒に料理をするのも楽しかったな。
「玲依ちゃん、そのまま行くの!?」
「え?」
「その……足が」
ベッドから降りて、部屋を出ていこうとする玲依ちゃんを呼び止める。
「足? あぁ。油はねるかもだもんね。あ、昨日Tシャツ借りたよ」
玲依ちゃん、違うよ……確かに油がはねたら危ないけど。
「……Tシャツはいつでもどうぞ」
「これ、侑の匂いがして落ち着く」
もー!! 誘ってるの?? わざと? わざとかな?? もう1回ベッドに連れ込んでもいいかな?
「侑、下履いたー!! これでいい? あ、Tシャツはまだ貸しててね」
「はい……」
葛藤する私には気づかずに、昨日私が脱がせたパジャマの下を履いて、満足気な顔をして部屋を出て行った。
何あれ……彼女が可愛くて辛い……
「玲依ちゃん、何作るの?」
「んー、冷凍ご飯があるから、チーズリゾットとかどう? 好き?」
冷蔵庫を覗き込んでいる玲依ちゃんに後ろから抱きついてお腹に手を回せば、上から手を重ねてくれた。
「好きー!! でも玲依ちゃんの方が好き」
「ふふ、私もー」
あー、もう好き……!!
「私に何か出来ることある?」
「離れて欲しいかな?」
「それは無理」
「嫌、じゃなくて無理なの?」
「うん」
邪魔なのは分かってるけど、柔らかいしいい匂いがするし、くっついてると安心する。
「あと1分ね」
「短っ!」
「ご飯作らないよ?」
「玲依ちゃんひどい」
「侑、離して」
まだ1分経ってなくない? ウザかった??
「侑、なんて顔してるの? ちょっと屈んで」
「うん……っ!!」
「いい子で待っててね」
チュッと音を立ててキスをされて、頭を撫でられた。玲依ちゃんイケメン……
大人のお姉さんな玲依ちゃんも、イケメン玲依ちゃんも、甘えん坊な玲依ちゃんも大好き。もっともっと色んな顔を見せてね。
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